St. Trinian’s(聖トリニアンズ女学院)あらすじと感想

「St. Trinian’s(聖トリニアンズ女学院)」は、2007年に公開されたイギリス映画。2009年には続編「聖トリニアンズ女学院2」も公開されています。

アナーキーな全寮制女子校のコメディで、女子生徒たちが一丸となって学校を救済するストーリーです。
伝統ある全寮制の女学院と思いきや、規律が崩壊しており、無法地帯のようにふるまう生徒たち。裕福な家庭の子が多いせいか下品に見えないところが魅力。清々しくてそれぞれが個性豊かです。

キャストは、ジェマ・アータートン、タルラ・ライリー、コリン・ファース、ルパート・エヴェレット、タムシン・エガートン、セリア・イムリー、ジョディ・ウィテカー、スティーブン・フライ、トビー・ジョーンズ、ルーシー・パンチ、ラッセル・ブランド、ミーシャ・バートンなど。

原作はロナルド・サールの漫画「St Trinian’s」シリーズで、1954年~1980年で5作映画化。最初の映画から女性校長役を男性俳優が演じており、2007年版ではルパート・エヴェレットがフリットン校長とアナベルの父を兼ねています。

画像のオープニングタイトルの背景は、聖トリニアンズらしい無秩序さや反骨精神、自由で個性にあふれた雰囲気が伝わってきます。(画像は引用目的で使用しています)

ジェマ・アータートン、タルラ・ライリー、コリン・ファース、ルパート・エヴェレット、ミーシャ・バートン
目次

St trinian’s(聖トリニアンズ女学院)あらすじ

真面目な優等生アナベル・フリットン(タルーラ・ライリー)は、父(ルパート・エヴェレット)に強制的にチェルトナム女子高から聖トリニアンズへ転校させられることに。転校先の校長カミラ(同じくルパート・エヴェレット)は父の姉、つまりアナベルの叔母です。

森の奥へ車が進むにつれ不安を募らせるアナベル。やがて現れた「聖トリニアンズ女学院」の看板には骸骨にナイフが刺さったオブジェが飾られ、二人が建物内へ入ろうとすると上階から机が落ちてきます。

受付のベバリー(ジョディ・ウィテカー)はヘッドホンで音楽を聴いていてなかなか二人に気づかず、アナベルは女子生徒たちにじっと見下ろされているような気がします・・・が、その予感は当たっていました。(ジョディ・ウィテカーは「ドクター・フー」の13代目ドクター役(初の女性ドクター役)、ドラマ「クランフォード(Return to Cranford)」ではペギー役です)

校長室の窓からは、生徒が運転するトレーラーが別の生徒を地面に引きずり回す光景に衝撃を受けるアナベル。「置いていかないで!ここは下品な連中のためのホグワーツよ!」と必死に訴えるものの、父はカミラに家族割引の学費を頼むと、あっさり車で去ってしまいます。

学校内のグループとは

アナベルは生徒会長ケリー・ジョーンズ(ジェマ・アータートン)に校内を案内されます。父大好きのアナベルは「私の父はメイフェアで美術商をしてて、校長は叔母よ」と誇らしげですが、ケリーは関心がありません。

ケリーが校内の派閥について説明します:

  • チャブス(派手で強気)
  • ポッシュ・トッティ(グラマラスでセクシー)
  • ギーク(理系・ITオタク)
  • エモ(内向的でアート系)
  • ゴス(黒装束・厚化粧のダーク系)
  • 可愛らしい1年生たち(すでにアナベルの生存日数を賭けて盛り上がっています)

シャワー中に突然お湯を止められ、タオルも服も隠され、裸のまま廊下を走って部屋に戻る様子が全校ライブ配信されてしまいます。荷物をまとめて父に電話すると「今忙しい」と言われ、背景にはパーティの騒ぎが聞こえるうえに、回線が悪いふりまでされてしまいます。

激怒したアナベルがホッケースティックでスマホを叩き壊すと、その勢いで近くの銅像を破壊してしまいます。その様子を見ていた体育教師(フェネラ・ウールガー)から、ホッケーチームに入るよう要請されます。

詐欺師フラッシュ

女子生徒たちは詐欺師フラッシュ・ハリー(ラッセル・ブランド)とさまざまな取引をしています。理科室の器具でウォッカを蒸留し、フラッシュから「苦すぎる」「二杯目で失明」「死者が出た」と苦情を言われます。今回の新バッチの品質チェックでは、ロシア人生徒がショットを一気飲みし「これは大丈夫」と確認した瞬間に倒れます。彼女のロシア語の「乾杯」がかっこいいです。

フラッシュはケリーにベタ惚れのようですが、相手にされていません。ビジネス相談もケリー頼みで、彼女はどの方面からも一目置かれています。

フラッシュが「車をシルバーに塗り替えておいて」と乗り付けた車は、取引の話をしている間に生徒たちが完璧にシルバーに塗り替え作業を済ませます。無法地帯の学校なのに、ウォッカ製造から即席塗装まで完璧にこなす技術力の高さに、実は生徒たち優秀なのでは?と思ってしまいます。

教育大臣ジェフリー

教育大臣ジェフリー・スウェイツ(コリン・ファース)は全国教育改革を推進し、最も問題視される学校から着手する方針で、聖トリニアンズ女学院が選ばれます。会議では、5年前に潜入捜査した役員が今も重いトラウマを抱えていると告白します。

学校訪問の日には、ちょうどチェルトナム女子高とのホッケー試合が開催。チェルトナムはアナベルのかつての学校で、キャプテンのヴァリティ(ルーシー・パンチ)はアナベルをいじめていた張本人であり、ジェフリーの実娘。(ルーシー・パンチは「ドクター・マーティン」の怠惰なアシスタント・エレイン役です)

チェルトナムのバスが近づくと、顔にペイントした低学年たちが林から飛び出し、カラーボールを投げつけバスを塗料まみれに。ヴァリティは先に到着していた父ジェフリーに激怒し、教師も「なぜこんな学校を放置してきたのか、むしろ校長のほうが問題だ」と非難します。

そこへ愛犬を連れたカミラが優雅に登場。ジェフリーとカミラはかつては恋人同士。二人が教育論で対峙すると、かつての恋心が再燃しそうになります。そんなときには、いつも背景にザ・フォー・エイカーズの「Love Is a Many-Splendored Thing」が流れます。これは続編でも同じです。

ちなみにカミラの愛犬の名前は「ミスター・ダーシー」。 イギリスでコリン・ファースといえば「高慢と偏見」のミスター・ダーシー役(Mr. Darcy)のイメージが圧倒的に強く、彼はジェーン・オースティン原作「高慢と偏見」のBBCドラマでその役を演じ、国内だけでなく世界中で人気に。特に、池に飛び込んで白シャツがびしょ濡れになるシーンは伝説的な名場面として今も語り継がれます。若いころのコリン・ファースはハンサムで魅力的だったのです。

試合では会計係バーサー(トビー・ジョーンズ)が審判を務め、「噛みつき、引っかき、蹴り、体当たり、頭突き、殴打、平手打ち、唾を吐くなどはすべて禁止」と事前に警告。さらに聖トリニアンズの生徒がスティックの先を鋭く削っているのを見て、「規定外の用具もダメ」と念を押します。(バーサー役のトビー・ジョーンズは、「ハリー・ポッター」シリーズで妖精ドビーの声、「ミスター・ベイツvsポストオフィス」のアラン・ベイツ役、「骨董屋」のダニエル・キルプ役など多数に出演)

試合中、ジェフリーは校内を視察し、次々と目に飛び込んでくる実態に愕然とします。宗教の教室では生徒がはりつけられ、美術室には気味の悪い作品がずらり、水槽の中に浮かぶ生徒・・・笑。理科室でのウォッカ製造も見つけ、ジェフリーは「ウォッカ100」とラベルが貼られた液体をひとなめしただけで足元がふらつきます。危険なウォッカだ笑。

さらに、ポッシュ・トッティたちが違法チャットラインで荒稼ぎしている事実も発覚。ジェフリーは驚くほど手際よく、次から次へと学校の闇を把握していきます。しかしトッティたちに見つかってしまい、窓から池へと放り出されます。ずぶ濡れになったジェフリーは、まさに「ミスター・ダーシー」なのです笑。

消えてしまうかもしれない学校

聖トリニアンズが試合に勝利し、どんちゃん騒ぎのパーティーを開いた翌日、銀行から学校に差し押さえ通知が届きます。カミラは銀行からの最終通告をずっと無視しており、4週間以内に返済しないと破産・閉校が決定的となるというのです。

銃を取ったカミラ。銃口をこめかみに・・・まさか自殺・・・と思いきや、それはライターでした。たばこに火をつける横顔が男前で美しいです笑。

学校へ訪れたアナベルの父が、学校をブティックホテルに改装して売却すれば借金が返せるだけでなく、利益も山分けできると提案します。アナベルの居場所を守ろうと反論するカミラに、アナベルのことはどうでもいいと本音を吐露する父。

この会話は生徒たちだけでなくアナベルもモニターで盗み見ていました。父が迎えに来たと喜んでいたアナベルはショックで放心状態に。生徒たちは一致団結して学校を救うことを誓います。

犯罪についての授業

学校を救うためのフラッシュの「犯罪授業」が行われ、ナショナル・ギャラリーのフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を盗むことに。

(双子の生徒が「バンク・オブ・イングランドの窃盗」というと、フラッシュに「規模が大きすぎる」と言われ、次に「ウールワース?」と答えます。「ウールワース」が出るあたりが可愛らしく、懐かしく感じました。ウールワース(Woolworths)は、イギリス国内に点在していた雑貨店で、2008年、この映画の1年後に経営破綻し、全807店舗が閉鎖されました。)

(ケリーが壁のフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のポスターを指差すと、ポッシュ・トッティのチェルシーが「スカーレット・ヨハンソンを盗むの?」と反応。スカーレット・ヨハンソンは、2003年の映画「真珠の耳飾りの少女」でこの絵の少女役。フェルメール役はコリン・ファースでした)

生徒たちは課外活動としてナショナル・ギャラリーに行き、展示室や監視状況を確認。
バスから勢いよく飛び出した生徒たちは、トラファルガー広場を一気に駆け抜け、観光客のあいだをすり抜けながら、叫び声をあげてギャラリーへ突入。遠くにはビッグベンが見え、また美しい館内は観ているだけで元気になります。

フェルメールの絵画を見たポッシュ・トッティのクロエは、その美しさに「コリン・ファースが彼女と寝たがった理由が分かるわ」とつぶやきます笑。

作戦は、ナショナル・ギャラリーで開催されるクイズ番組「スクール・チャレンジ」決勝の日にフェルメールの本物を盗み、それが全国ニュースに流れたところを、美術商のアナベルの父にカミラが描いた贋作を売りつけるというもの。本物は返却して謝礼金を得るという二重詐欺。アナベルは父へのリベンジも兼ねて、フラッシュにドイツ人アートディーラーになりすますよう依頼します。

クイズ番組決勝当日、司会はスティーブン・フライ(本人)。ポッシュ・トッティチームは特殊カンニング眼鏡を使い、圧倒的な速さで勝ち進みます。

アナベルのメイクオーバー

教育大臣ジェフリーが記者団を連れて再び聖トリニアンズを視察に訪れて学校の闇を暴こうとします。生徒たちは即座に警報を鳴らし、校内を急遽「模範校モード」に偽装します。

美術室では真面目にデッサン、外国語教室ではモーパッサン先生が修道女姿で授業中。ジェフリーが強盗計画に使用している部屋に近づくと、アナベルが飛び出し「あなたの娘にチェルトナムでいじめられた」と告白して記者団の注目をジェフリー本人に集中させます。

そこへカミラが愛犬と現れると、苛立ったジェフリーが犬を遠くへ蹴り飛ばし、犬はそのまま天国へ。翌日の新聞は「教育大臣、犬を蹴り殺す」の大スキャンダルに。さらに後日、ジェフリーは聖トリニアンズで全裸でスクープされてしまいます。

一方、アナベルは機転を利かせた功績で生徒たちから完全な仲間認定を受け、チャブ、ポッシュ・トッティ、オタク、ゴス各派閥によるメイクオーバーを施されます。どれも似合っていて可愛いです。就寝前にフルメイクをされると落とすのが面倒くさそうですが・・・。

ネタバレせずにここまでで・・・。

「聖トリニアンズ女学院」の主題歌(曲)は?

「Theme to St. Trinian’s(聖トリニアンズのテーマ)」はガールズ・アラウド(Girls Aloud)によるもの。

ラストシーンでは彼女たちがスクールバンドとして登場します。メンバーのサラ・ハーディング(Sarah Harding)は、続編の「St Trinian’s 2」でロキシー役に扮します。

登場人物のモデル?!

トリニー・ウッドール
左の人です

「St Trinian’s」のキャラクターは、イギリスのファッションアドバイザー「トリニー・ウッドール」がモデルとの説があります。原作者ロナルド・サールがウッドール家と親しく、トリニーのいたずら好きな性格がモデルとこのと。

トリニーは、スザンナ・コンスタンティンとともに一般人にファッションアドバイスをする番組で人気に。モデルの一般人に合わない洋服は容赦なく処分し、「胸をアップさせた方がいい」と、その人の胸をわしづかみにする豪快なタイプ。一方で、ダメ出しした洋服を自分で着て、ダサいファッションショーをふざけて披露するお茶目さも。

彼女のアドバイスで女性たちは美しく変身します。出版した本はベストセラーで、センスも抜群でした。モデル並みにスレンダーで美しい彼女には多くのファンがいます。

おわりに

聖トリニアンズの生徒たちは、全員が個性的で魅力的です。年下の生徒は制服と麦わら帽をきちんと着用するのに対し、年上の生徒は服装や振る舞いに個性が現れます。バラバラに見える彼女たちも、必要なときには一致団結するのが頼もしいです。

ルパート・エヴェレットが演じるカミラは、男性にしか見えない瞬間も多いのですが笑、スカーフを頭に巻くスタイルは可愛いです。スカーフと髪が風に揺れます笑。

エンドロールでは、カミラとジェフリーがジョン・ポール・ヤングの「Love is in the air」を歌います。途中でしゃべったり、合の手が入ったり、ミュージカル調になったり、だんだん乗ってきたりとコミカルです。コリン・ファースの歌声も良いです。

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