日本で使っていたような石けんがないので自作することに

10年ぐらい前から自宅で石けんを作っています。
日本にいるとき「化粧品に含まれる成分についての本」がきっかけで石けん洗顔・洗髪に目覚め、通信販売で石けん成分100%に近い石けんを何年も購入していました。ブロック状の無添加石けんで、届いたら使いやすい大きさに切ります。とても気に入っていたのですが、渡英することになり、こちらでいろいろ石けんを探してみたものの気に入るものが見つからず・・・。

日本から持ってきた石けんも底をつき、オーガニックの石けんや、OLIVOというオリーブオイル石けん、ドクターブロナーを何年か使っていました。

石けんを自作してみようとも思いましたが、子供が小さかったので苛性ソーダの取り扱いや保管が心配でした。そこから数年経ち、子供たちがまあまあ大きくなり(自分たちのことで大忙しで笑)そろそろ挑戦してみることに。まずは家の廃油で練習してみたら簡単に石けんが出来上がり、今ではオリーブオイルの石けんを作っています。

目次

石けんを手作りしてみる

家で使うだけなので切りっぱなしの不揃いな形でしたが、きちんと石けんになりました。食器を洗ったり、バスタブの掃除に使えます。以前は揚げ物をしたときの油を空のボトルにためておきましたが(再利用せずに)、最近は使う油の量が減ったので、結果として廃油石けんを作ったのは2〜3回だけでした。

その後はOLIVOやドクターブロナーの代わりに使えるものとして、ヴァージンオリーブオイルの石けんをずっと作っています。購入する油はセインズベリーズで2Lサイズのもの。以前は7ポンドぐらいでしたが、今では価格が2倍に。光熱費が高騰していたので「いつか値上がりするだろう」と心の準備をしていたら、あっさりと倍になりました笑。とはいえ、オリーブオイルの石けんには変わりありません。大量に作れるので買い置きを切らすことがなくて便利です。旅行用に小さく切ったりもしています。

石けんづくりはとてもシンプル

石けんを作るときには、アメリカのYoutubeの配信者であるJonさん(https://www.youtube.com/@unclejonssoap)のレシピをいつも参考にしています。この方の配合だと失敗がなく作ることができます。Jonさんによれば石けん作りにエクストラヴァージンオリーブオイルを使う必要はなく、普通のオリーブオイルで十分とのことです。でも気分的にエクストラヴァージンを使いたいのでそうしています。

最初に参照した動画は「廃油での石けんの作り方」でしたが、このレシピでオリーブオイル石けんも作れます。他にもレシピはたくさんありますが、私はこのレシピしか使っていません。今ではすっかり工程を覚えてしまいました。

油の割合をベースにして、油の重さを入力したら水と苛性ソーダの割合を算出するエクセルファイルを作っておくと便利です。

苛性ソーダは危ない?

あちこちのサイトを読んで「苛性ソーダの取り扱いが難しそうだ」と躊躇していましたが、Jonさんは「手についたりしても慌てず水でよく流せば大丈夫」とおっしゃっています。使うときに細心の注意を払い、使残った苛性ソーダはしっかり包んでから保管すれば問題ありません。

Jonさんは、石けんの製作と販売をしているので手慣れており、手袋も眼鏡もマスクも着けず、石けんの原液の温度も測らずに5分ほどで作業を終えてしまいます。私も彼のように手早く作れることを目指しています笑。私は念のため手袋はしますが眼鏡とマスクは使っていません。今では10分以内に1バッチを仕込めるようになりました。

苛性ソーダ(Caustic soda)は以前はアマゾンで入手できましたが、最近ではセラーが少ない印象です。でもオンラインで探せば販売業者は色々と見つかります。(画像は「https://www.thesoapery.co.uk/」で購入したもの)

苛性ソーダ

私の作業手順

私の作業手順は以下の通りです。

1. はかりの上にボウルを乗せて油の重さを量る。前述した配分を算出するためのエクセルファイルに(もちろん自分で計算してもOK)、油の重さを入力して水と苛性ソーダの割合を出す。廃油を使う場合、あらかじめ数回濾してきれいな状態にしておく(異物が混ざった石けんになってしまうので)。廃油に炭、茶葉、紅茶、コーヒーなどを入れると匂いが消えるらしい(これは日本のサイトからの情報)。


2. はかりの上に計量カップを乗せ、算出した量の水を入れる。
3. 計量カップを置いたままはかりをリセットし、算出した量の苛性ソーダを加える。
4. 計量カップの中身を泡だて器でよく混ぜる。このとき中身に直接触れないように注意。よくかき混ぜたら安全な場所にしばらく置く。苛性ソーダと水が混ざると中身が熱くなり透き通ってくる。5分ぐらい放置する。

苛性ソーダ


5. 油をブレンダーで混ぜ始め、計量カップの中身を3~4回に分けて投入。さらに撹拌を続けると原液は濁り、マヨネーズ状に。原液にトレースが出るくらいの硬さになるまで攪拌したら、スパチュラを使ってきれいに容器に移す。これで仕込みは完了。

必要な材料と道具は?

材料は油・水・苛性ソーダの3つです。
私はオリーブオイル石けんしか作らないので、エクストラヴァージンオリーブオイルのみ。水はブリタ、苛性ソーダは前述とおりオンラインで購入しています。

道具はすべてスーパーで入手できる手ごろな価格のものです。
はかり以外はすべて石けんづくり専用にしています。使っているものは、大きめのボウル、計量カップ、泡だて器、スパチュラ、ブレンダー、トレイ、お玉。石けんの型(長方形の容器)はパウンドショップ(Pound Shop、百均のような店)で、新聞はかのスーパーで無料配布しているもの(木曜日発行のあれです笑)を利用しています。

普通の泡だて器でも作業はできますが、40分ほどかかります。ブレンダーを使えば5分ほどで済むので、こちらの方が断然お勧め。ブレンダーもスーパーで買える安価なもので十分です。

熟成させる

容器に入れた原液は、トレイにのせて通気性の良い場所に置きます。私は、自分のコンピューターデスクの後ろに2、3日並べておきます。3日目くらいすると型から外れるくらいに固まるので、容器から出して切り分けてトレイの上に並べて熟成させます。ここから1か月ほどは置いておきたいので、本棚の上の方に移動させます。

廃油石けんの場合、攪拌している間に多少油の匂いがすることがありますが、出来上がった石けんは油の匂いはしません。廃油も、エクストラヴァージンオリーブオイルも、泡立ちや洗浄力は市販の石けんと変わりません。

初めて作るときは慣れていなかったため、準備から片付けまで少し時間がかかりました。しかし、2回目からは1時間以内(おそらくもっと早い)にすべて終わります。

片付けのコツ・・・


「原液がついた道具はよくすすぐように」とのことですが、私は使った道具は1週間ほど放置します。
これにはコツがあり、原液にトレースが出た時点で、お玉で原液をすくって水と苛性ソーダを入れた計量カップに入れます。計量カップの原液を泡だて器でよく混ぜ、その原液をボウルに戻します。

さらに、ボウルの原液をブレンダーで2~3分混ぜておきます。こうすることで、ボウル、ブレンダー、スパチュラ、お玉だけでなく、苛性ソーダを混ぜるのに使った計量カップや泡だて器にも石けんの原液がつきます。1週間ほどすると鹸化して固まるので、そのタイミングでシンクで洗い流します。

まとめて放置します

Jonさんの動画では、攪拌する前に油を少し温めていたと思います(うろ覚えですが)。最初の石けん作りではそれにならって油を温めましたが、2回目以降、それさえも行いませんでした(忘れていました)。熱くなった苛性ソーダを投入すれば油が温まるし、鹸化の過程でも温かいので省略してもいいかなと。それでも問題なくマヨネーズ状になるしトレースもできます。

おわりに


原液が鹸化すると苛性ソーダの成分はなくなります(「それ、化学の授業で習った」と子供も言っています)。

私は実用派なので、安全でシンプルな石けんならそれで十分であり、形にはまったくこだわりません。使っているうちにどうせ形も変わるので。切りっぱなしのゴロゴロした状態で、そのままビニール袋に入れて知り合いにあげたことも(色気なし笑)。その方は敏感肌でOLIVOを使っていますが、差し上げた石けんは問題なく使えたそうです。

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