Enchanted April(魅せられて四月)イギリス映画 美しいイタリアの風景 ネタバレ

「Enchanted April(魅せられて四月)」は1992年のイギリス映画。

エリザベス・フォン・アーニムの小説「The Enchanted April」が原作で、何度も舞台化・映画化されています。日本では1993年公開。

第一次世界大戦後のロンドンで抑圧された生活に疲れた4人の女性が、イタリアの別荘「サン・サルヴァトーレ」で1か月の休暇を過ごすことで、それぞれが心を開き、友情を深め、自己発見と人間関係の再認識を体験します。イタリアの自然や風景が息をのむほど素晴らしく、こちらまで心が癒されてしまうおすすめの映画です。

オープニングタイトルは、ロティが女性クラブに向かう途中のバスの中の様子。バスには軍服を着た人も同乗しており、戦争がまだ身近だった時代であることがうかがえます。現在ではマナー違反とされる喫煙も、当時では普通に行われていました。(画像は引用目的で使用しています)

※ ネタバレしています!

ジョシー・ローレンス、ミランダ・リチャードソン、ポリー・ウォーカー、ジョーン・プロウライト、アルフレッド・モリーナ、ジム・ブロードベント、マイケル・キッチン
目次

「Enchanted April(魅せられて四月)」あらすじ

深緑色ののDVDが素敵です

第一次世界大戦後のロンドン。退屈で不満の多い結婚生活を送るロッティ(ジョージー・ローレンス)は、「女性クラブ」へ向かうバスの中で、新聞に掲載されたイタリアの古城「サン・サルヴァトーレ」の賃貸広告を目にします。

興味を持ったロッティは、同クラブ所属で話したことさえないローズ(ミランダ・リチャードソン)に声をかけ、費用を折半して1か月の休暇を共に過ごすことを提案。最初は戸惑うローズも、次第にその気になり、二人は賃貸契約のためブリッグス氏(マイケル・キッチン)を訪れます。視力の悪いブリッグス氏は、ローズの声や話し方から二人が良い人だろうと推測し、戦争直後ということもあって、二人を戦争未亡人だと思います。

ロッティたちはさらに費用を抑えるため、同行する女性を募ります。一人は高齢の未亡人フィッシャー夫人(ジョーン・プロウライト)です。彼女は厳格で気難しく、ヴィクトリア時代の書籍を読み返して思い出に浸っていました。もう一人は社交界の美女キャロライン・デスター(ポリー・ウォーカー)で、つきまとう男性たちにうんざりし、男性のいないサン・サルヴァトーレで1か月の隠れ家を求めていました。

ローズが夫フレデリック(ジム・ブロードベント)にイタリア行きを話すと、彼はあっさり承諾します。信心深いローズは、偽名で官能小説を書く夫に反対しており、二人の関係は冷え切っていました。フレデリックはキャロラインの母が主催する文学サロンや社交界に出入りし、既婚者ながらキャロラインを誘っていました。妻のローズはそれを知りません。キャロラインはフレデリックをうっとうしく思い、また「美しいのが面倒くさい。私を放っておいてほしい」と感じていました。羨ましい悩みですね笑。

一方、ロッティがメラーシュに旅行のことを話そうとすると、彼は猛反対し、行ってはいけないと命じます。しかしロッティは珍しく夫に反抗し、サン・サルヴァトーレ行きを決行します。

イタリアへ旅立ったロッティとローズ。船と電車を乗り継ぎ、夜のひどい雨の中で駅に到着します。迎えに来たサン・サルヴァトーレの使用人たちを二人は強盗と勘違いし、到着した別荘は薄暗く不気味で、二人はまるで幽霊屋敷に来てしまったかのような表情。二人が入った後に閉まるドアの音も、まるでホラー映画のようでした・・・笑。

共同生活を始める4人

翌朝、目覚めたロッティが窓を開けると、そこに広がっていたのは別世界。暗い部屋とまばゆい外の景色が対照的で、美しい鳥の声も聞こえます。光り輝く海を目の前に、ロッティは何が起こっているのか理解するのに時間がかかるくらい驚いている様子。庭にはすでにローズが出ており、美しい自然を堪能していたところでした。

主要な撮影地はイタリアのポルトフィーノにあるカステッロ・ブラウンで、原作者エリザベス・フォン・アルニムが1920年代に滞在した場所とのこと。緑豊かな庭園や色鮮やかな植物がとても素晴らしいです。本当に天国のようです。

フィッシャー夫人とキャロラインは前日に到着していました。優雅な二人はどちらもイタリア語を話し、フィッシャー夫人は自身のイタリア語はダンテから学んだ古い英語だと説明します。

パンをほおばりながら席を立つロッティ。ロンドンでこのようなマナーをすることはないでしょう。誰よりも早く城の魔法にかかったようです。ローズはフィッシャー夫人に気を遣い、ゲストであるはずのフィッシャー夫人はまるで自分が招待したかのように振る舞います。そんな夫人の態度を気にするローズに、「ここは天国だから気にしなくていいし、何かをしなければならないこともない」とロッティはいいます。

ランチの時間にきちんと席に着くフィッシャー夫人。イタリアなのでスパゲティが出されており、当時のイギリス人は慣れていないのか、フォークとナイフでとても食べづらそうです笑。ロッティとローズは席に急ぎますが、キャロラインは皆から距離を置きたいし放っておいてほしい様子。理解を示すロッティの、楽観的なところが滞在者たちの変革を促していきます・・・。

フィッシャー夫人は、二つあるリビングルームのうち一つを一人で使いたいと主張。いら立つローズに、ロッティは「夫人はすぐに皆と共有したくなるから」と、また理解します。そして、ロッティは夫メラーシュを呼ぶための手紙を書きます。夫たちから離れたくてイタリアまで来たというのに、その行動が理解できないローズ。ロッティは「こんな天国を独り占めできないし、彼を置いてきたのは自分勝手だった」というのです。そしてローズにも夫に手紙を書くよう勧めます。

美しい城と大自然が彼女たちを癒し始めます。フィッシャー夫人の心が少し軽くなり杖を使わずに歩けるように。ローズは、手紙を書いても来ないだろうと一人泣きます。

メラーシュとブリッグス氏の到着

ロッティの夫メラーシュがサン・サルヴァトーレに到着します。彼はロッティの手紙から、自分の人脈作りのためにキャロラインと知り合っておきたいと意気込んでいます。それを聞いたロッティは少しがっかりしますが、じきに彼も変わるはずだと楽観的です。

家政婦が持ってきた請求書の束をめぐり、フィッシャー夫人とキャロラインの間で揉めそうな雰囲気になると、メラーシュは間に入り、事態を収めます。キャロラインは彼の冷静で媚びない態度を気に入ります。

ついにローズも夫フレデリックに手紙を書くことに。彼女も次第に、イタリアの美しい自然のリズムに心を同調させていきます。

メラーシュも城の魔法にかかってしまったのか、もはやロンドンでの彼ではなくなっており、どうしてもっと早くロッティの魅力に気づけなかったのかと語ります。

ここに、旅の途中で立ち寄ったブリッグス氏がサン・サルヴァトーレに加わります。ロンドンで出会ったときから彼はローズを気に入っていた様子。オーボエが趣味のブリッグス氏は、エルガーの「Chanson de Matin(ショナン・ド・マタン)」を演奏し、その音色は城や周囲の自然に響き渡り、滞在者全員の心にも共鳴しているようです。とても美しい音色です。

滞在者たちは城の周りでピクニックを楽しみ、ゆったりとした時間を過ごします。フィッシャー夫人はジョークを言うようになり、表情も朗らかになっていることが分かります。キャロラインはブリッグス氏に会い、「また男だわ」と心の中でうんざりしますが、ブリッグス氏はキャロラインにはさほど関心がなく、むしろローズに興味があることを知り、驚きます。

ブリッグス氏は近くにある夾竹桃(キョウチクトウ)の木の話をします。彼によると、父が新たに木を植えるための目印として桜材の歩行杖をその場所に差して放っておいたところ、杖から枝が延びて現在の木になったというのです。

フレデリックの到着

しばらくすると、ローズの夫フレデリックが到着します。しかし、残念ながら彼はローズの手紙に反応したのではなく、キャロラインを追って来たようです。サン・サルヴァトーレで男性につきまとわれないことを寂しく思い始めたのか、キャロラインはフレデリックの到着を少し喜んでいる様子。

ディナーの時間を待つ間、フレデリックは空いていた部屋でうたた寝をしてしまい、そこにローズが現れます。ローズは彼が手紙を読んでイタリアまで来たのだと思い込み、彼が目を覚ますと情熱的にキスをします。ローズもロンドンにいたころの彼女ではなく、二人の間の愛が再燃します。ローズが未亡人だと思い込んでいたブリッグス氏はがっかりしますが、ローズも夫が到着するまではブリッグス氏のことを多少なりとも気にかけていたはずです。

キャロラインが遅れてダイニングルームにやって来ると、フレデリックは念を押すように何度も本名を名乗り、ローズの夫であると紹介。察したキャロラインは気を利かせて初対面のふりをします。ディナーが終わると、ローズは愛に包まれて幸せそうに月明かりの下を歩きます。その姿を美しいと感じたキャロラインは泣いてしまいます。

キャロラインは、ブリッグス氏は見た目よりもその人の内面を重視していることを知ります。その言葉にキャロラインは予期せず心を動かされ、彼に惹かれます。

一方、フィッシャー夫人は、過去の作家の作品は素晴らしいけれど、今を生きたいと感じ始めます。ローズやキャロラインがペアで月明かりの庭を楽しんでいることを知ると、幸せなペアは恋人や配偶者だけではないと夫人はいいます。ロッティは「私たちは素晴らしい友人としてペアになりましょう」と夫人の手を取るのです。

サン・サルヴァトーレを去る日

サン・サルヴァトーレを去る日、全員は名残惜しそうにしながらも、これからの人生も楽しいものであると知っているかのように、自然の中の小道を軽やかに歩いていきます。

城に来て歩行杖が不要になったフィッシャー夫人は、ロンドンから持ってきた杖を道端に差して颯爽と去っていきます。
しばらくすると、その杖から美しい枝が延び始めるのです・・・。

おわりに

旅っていいですねー。城の内部は別のロケーションで撮影されたそうですが、十分素敵ですね。

ミランダ・リチャードソンはイギリスのシットコム「ブラックアダーII」でコミカルなエリザベス1世を演じています。この頃のフレデリック役のジム・ブロードベントは若く、ローズと情熱的にキスをする姿から「ハリー・ポッター」シリーズ(スラグホーン先生)の姿がどうもリンクしません笑。彼はイギリスのシットコム「ブラックアダー」シリーズにも何度か出演しており、イタリアの通訳者やアルバート公などコミカルな役どころです。

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