イギリスのミントのお菓子、日本の家族に不評だったミント

イギリスのスーパーで購入できる「Bassetts Mint Creams」。家族全員が好きなので、一度手作りに挑戦したことがあります。しかし、あの爽やかなミントの味は市販のミントエッセンスでは風味が弱すぎて再現できませんでした。

イギリスにはミント味のお菓子の種類が多く、一度「Bassetts Mint Creams」を日本へのお土産として持っていったことがありますが、日本の家族にはあまり評判がよくありませんでした。

目次

ミント・フォンダントがきっかけで

もともとは、近所の「Pick and Mix」ショップで「Mint Fondant Creams 」というお菓子を見つけたことから始まりました。

lutti mint fondant ミント・フォンダント
Lutti Mint Fondant Creams

Lutti Mint Fondant Creams

「Lutti」社のミント・フォンダンは、フランス製の伝統的なキャンディだそうです。
硬い結晶状の真っ白なシュガーシェルに包まれた、なめらかで爽やかなペパーミント風味の中心部が特徴です。ヴィーガン対応・グルテンフリーで、アフターディナーミントとしても人気があります。

「Fondant(フォンダン)」とは、フランス語で「とろける」という意味らしいです。実際に食べてみると、まさにその名のとおり。見た目はボンボンのようなおしゃれな砂糖菓子で、しばらく口に含んでいると口の中でボロボロっと崩れて、強くて爽やかなミントの味が押し寄せてきます。

その感触が秀逸で、ゆっくりと大事に味わいたいところ。しかし、私の夫は包み紙をバリっとはがし「ガリガリ」と色気もなく一気にかじってしまいます。「うわっ、野蛮!変態!笑」と思ったこともありますが、実はその食べ方もかなりイケます。(ただし、一気に食べると頭痛がするかもしれません。)

近所の「Pick and Mix」ショップが閉店してしまったため、ebayやAmazonで探して取り寄せたこともあるぐらい好きです。

「Lutti」社は1929年創業の老舗ブランドで、もともとは1889年にベルギーで「Confiserie Léopold」として創業されたとのことです。

Bassetts Mint Creams

ところがある日、スーパーで「Bassetts」の「Mint Creams」という、類似商品?ともいえるキャンディを発見しました。

バセット・ミント・クリームス

「Bassetts」の「Mint Creams」は、丸い白い砂糖の殻に覆われた英国の伝統的なミントキャンディ。シャリッとした外側の糖衣の中に、なめらかでややドライなペパーミント風味のフォンダンクリームが詰まっています。食後の口直しとして、また懐かしさを感じるレトロなお菓子として長く愛されているそうです。

「Bassetts」は、1842年、イギリスのシェフィールドでジョージ・バセットにより創業された老舗キャンディメーカーで、英国最古のブランドのひとつです。「Bassetts Mint Creams」は、その伝統的な製品のひとつで、19世紀中頃から販売されていると考えられています。なので、類似商品ではなく、こちらの商品の方がLuttiよりも先かもしれません。

現在は「Maynards Bassetts」のブランド名で販売されています。

夫はこれを食べて「ほぼ、ミントケーキ(Mint Cakes)だよね」と指摘。確かにそうかもしれないと思いました(「Kendal Mint Cake」については後述)。

でも日本の家族には不評

「Bassetts Mint Creams」は、我が家ではかなりのブームだったので、日本へ里帰りする際に「Mint Cream」をイギリスから7~8袋ほど持って行きました。あまりに評判で「もっと買ってくればよかった~」という事態を避けたかったからです。

ところが、日本の家族に「Bassetts Mint Creams」は不評でした。
「食感が馴染まない」「ミントが強すぎる」と言われ、しまいには「歯磨き粉を食べているみたい」とまでの言われよう。

「これを食べたから今日は歯磨きはいっかー」という冗談まで言うやつも笑。

イギリスから持って行くのはそれなりの重さでしたが、捨てるのももったいなかったので、結局また持ち帰ることになりました。

Kendal Mint Cake

「Kendal Mint Cake(ケンダル・ミントケーキ)」は、湖水地方(Lake Districts)に出かけると土産物店でよく見かける、青い缶に入ったお菓子です。

ケンダル・ミントケーキ

中にはMint Creamのような砂糖菓子が一面に入っており(つまり容器と同じ大きさの四角いかたまり笑)。これを好きな大きさに割って食べます。

パッケージには「Everest(エヴェレスト)」と刻まれ、缶にはエベレストの山も描かれています。
「Kendal Mint Cake」は、1869年にカンブリア州ケンダルで、ジョセフ・ワイパーが偶然発明したペパーミント風味の高糖分グルコースバー。砂糖・水・グルコースシロップ・ミントオイルを煮詰め、冷やして結晶化させて作られ、独特のザラザラとした食感と爽やかな香りが特徴です。

非常に高い糖分と軽さを持ち、寒冷地でも固まりにくい性質からエネルギー補給に適しており、過酷な環境での遠征時に重宝されてきました。1953年のエベレスト初登頂時にはヒラリー隊が、イギリスの南極探検隊にも携帯されたそうです。そのため、現在も多くの登山家やアウトドア愛好者に支持されています。

湖水地方のケンダル(Kendal)でしか入手できないローカルフードではなく、あちこちの観光地の土産物店でも販売されていることがあります。ロンドンの土産物店にもあるかもしれません。スコットランドに行く途中のサービスエリアではよく見かけました。Amazonでも購入可能です(「Romney’s Kendal Mint Cake」)。

Mint Imperials

「Mint Imperials(ミント・インペリアルズ)」は、イギリス国内のほとんどのスーパーやBootsなどの薬局、雑貨店、サービスエリア、オンラインで手軽に購入できるお菓子です。

小さな白い硬いミントキャンディで、爽やかなペパーミント風味が特徴です。食後の口直しやティータイムのお供として人気があり、レストランで食後に提供されることもあります。

1920年代に登場したとされていますが、それ以前から硬質のミントキャンディ自体は製造されていたので、「Mint Imperials」という呼称と形状が確立されたのはこの時期だと言われています。

Mint Humbugs

「Mint Humbugs(ミント・ハンバグス)」は、イギリス発祥の伝統的な硬質キャンディで、特徴的な白と黒、または白と茶色の縞模様があります。

ペパーミントやスペアミントなどの爽やかなミント風味があり、名前の「humbug」は「ぺてん、ごまかし、まやかし」といった意味があります。19世紀から製造、イギリスのレトロなミントキャンディとして今も多くの人に親しまれています。

イギリスのシットコム「ブラックアダー」の「クリスマスキャロル(Blackadder’s Christmas Carol)」では、ブラックアダーが「Humbugs! Humbugs!」と言いながら帰ってくる場面があります。この回はチャールズ・ディケンズの「クリスマス・キャロル」をパロディにしたもので、原作のスクルージはクリスマスや祝祭的な雰囲気に対して否定的な態度で「Bah! Humbug!」が口癖でした。

それを巧みにアレンジし、ブラックアダーが「Humbugs! Humbugs!」と帰ってきて、「Humbugs?」とボールドリックに飴を食べますか?と差し出すユーモアです。チャールズ・ディケンズの「クリスマス・キャロル」が出版された1843年当時、「Humbugs」と呼ばれるキャンディは実際に存在していたそうです。

After Eight

アフターエイト

「After Eight(アフター・エイト)」は、1962年に英国のロウントリーズ社が開発したアフターディナーミント。自然のペパーミントオイルを使った滑らかなフォンダンを薄いダークチョコレートで包み、上品な個包装がされています。クリスマスや特別なシーズンには限定デザインのギフトボックスも販売され、贈り物としても人気があります。

「After Eight」という名称には「午後8時以降に楽しむチョコレート」という意味が込められているそうです。そのせいか大人のための上品で洗練された味わいとなっており、パッケージにも高級感があります。
私の日本の家族は「Bassetts Mint Creams」は歯磨き粉のような味がすると言っていましたが「After Eight」は好きらしいです。

おわりに

ミントはイギリスの生活に非常に深く根付いているハーブだと思います。

例えば、伝統的な羊肉料理には欠かせないミントソースがあり、これは長い歴史を持つイギリスの食文化の重要な一部です。また、ペパーミントは風邪の症状緩和に役立つとされ、蒸気吸入やハーブティーとして日常的に利用されています。これらは家庭療法としても広く知られています。

さらに、ミントは育てやすく、庭や鉢植えでも簡単に栽培できるため身近なハーブとして親しまれています。ただし放っておくと雑草のようにどんどん広がってしまいますが。こうした手軽さもあって、イギリスでは食事や健康のために日常的にミントが使われているのだと思います。

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