主人公は僕だった(Stranger Than Fiction)あらすじと感想

「Stranger than Fiction(主人公は僕だった)」は、2006年のアメリカ映画。

ウィル・フェレル、マギー・ジレンホール、ダスティン・ホフマン、クイーン・ラティファ、エマ・トンプソンが出演しています。

ウィル・フェレルのシリアスな演技、エマ・トンプソンが演じる強烈で繊細な作家、そしてマギー・ギレンホールのチャーミングで魅力的な存在感が印象的でした。

目次

「Stranger than Fiction(主人公は僕だった)」あらすじ

ストーリーは、ハロルド・クリック(ウィル・フェレル)についてのナレーションから始まります。

国税局に勤務し、毎日同じような面白みのない生活を送るハロルド・クリック。
彼は、腕時計に合わせて、1分も狂わずに決まった時間に起き、決まった回数だけ歯を磨き、ネクタイも効率的な締め方で整えて家を出ます。そんな生活に彼は何の疑問も持たず、また、相棒の腕時計はまるで人格を持っているかのようです。

ハロルドは毎朝リンゴをくわえて出勤しているようです。歯磨きしたばかりなので、そのリンゴはバッグにしまってお昼に食べたらいいのにと思ってしまいます笑。

彼は計算が早いため、職場では同僚からその点で頼りにされ、昼食やお茶の時間もすべて腕時計のアラームにセットした通りに過ごします。

ところが、ある水曜日、ハロルドの脳内に突然、女性の声によるナレーションが聞こえてくるように。どこから聞こえるのかわからないその女性の声は、なぜかハロルドの行動すべてを知っていてナレーションしているのです。

意味が分からないまま、ハロルドはパン屋のアナ・パスカル(マギー・ギレンホール)の監査を担当することに。店主のアナ役のマギー・ギレンホールがとても魅力的です。彼女が「タックスメェーン!(Tax man)」とハロルドを呼ぶと、店の人たちも一緒になって「タックスメェーン!」とブーイングします。店の人も包丁をハロルドに向けている笑。
ハロルドが税金の滞納を指摘すると、彼女は意図的に滞納していると答えます。

声に翻弄される

ナレーションの声の正体は、悲劇作家のカレン・エッフェル(エマ・トンプソン)であり、彼女がこれまで書いてきた小説では必ず主人公が亡くなっています。今回の作品でも、彼女は主人公にどのような死に方をさせるかあれこれと模索します。

カレンはヘビースモーカーで明らかに不健康、どこか狂気じみた雰囲気があります。演じているのがイギリスのベテラン女優エマ・トンプソンなので、安心して楽しめます。

そんな彼女のもとに、小説の完成をサポートするためのアシスタントのペニー(クイーン・ラティファ)が派遣されます。ペニーはこれまでに担当した作家の作品で締め切りに間に合わなかったことは一度もなく、今回もハロルド・クリックが亡くなるという結末に向けて手助けをしていくといいます。

あるとき、腕時計が止まり、バスを待っていた近くの人が教えてくれた時刻に合わせるハロルド。ナレーションの声は、この行動が最終的にハロルドの死につながると告げます。

混乱したハロルドは精神科医に相談しますが、処方以外の方法として、文学の専門家に相談してみることを提案されます。ハロルドは文学教授のジュール・ヒルバート(ダスティン・ホフマン)を訪ねますが、最初はあまり真剣に取り合ってもらえません。しかし、ハロルドが実際に聞こえたナレーションの一部を口にすると、教授は興味を持ち始めます。

教授のアドバイスに従い、ハロルドが何もせずに一日を家で過ごしていると、解体作業員のミスにより突然リビングルームが破壊される事態に。教授は、もはや自分自身で人生をコントロールできないのであれば、いっそ人生を楽しむべきだと助言します。

ハロルドは休暇を取り、同僚のデイブ(トニー・ヘイル)の家にしばらく居候させてもらうことに。デイブが「子どものころからキャンプをしてみたかった」と話すのを聞き、ハロルドも自分のやってみたかったギターを買って練習を始めます。

アナの店の監査を進めるうちに、ハロルドは彼女のやさしさに惹かれていき、アナもまたハロルドの真剣さや純粋さに惹かれて付き合うようになります。
アナの家の内装はとてもおしゃれで、テーブルの上にある照明や食器もカラフルで可愛いです。

声の主に会うハロルド

ハロルドが教授を訪ねていたとき、部屋のテレビでカレン・エッフェルのインタビューが放送されており、彼女の声があのナレーションの声だと気づきます。カレンの作品を愛好している教授から、彼女は悲劇作家で主人公がもれなく亡くなることを聞かされると、ハロルドはカレンに直接会いに行くことにします。

出版社に出向きカレンの電話番号を尋ねますが、もちろん教えてもらえません。そこで職場に戻り、彼女の過去の監査記録を調べて電話番号を突き止めます。

一方カレンは、ハロルド・クリックをどうやって死なせるかが決まらず執筆が行き詰まっていたところ、あるとき突破口が見つかり再び書き始めます。

彼女がタイプライターに向かって「電話が鳴った」と打ち込んだ瞬間、本当に電話が(ハロルドからの)鳴ります。カレンが受話器を取ると、相手がまさしくハロルド・クリックだったため驚愕します。

カレンは、ハロルドの人生が彼女の作品と完全に一致しており、また、ハロルド自身が彼女の書くキャラクターそのものであることに驚きます。ハロルドは、自分の人生とカレンの作品がリンクしているのだから、主人公を殺さないでほしいと訴えます。

しかし、悲劇作家であるカレンは、主人公が亡くならないという選択肢をこれまで考えたことがなく「自分はただ物語を書いているだけ」と困惑します。

結末についてはまだ草稿状態であり、カレンはその草稿をハロルドに渡します。ハロルドはそれを読むのが怖くなり教授に託します。その草稿を読んだ教授は、それが彼女の作品の中でも傑作にあたると判断し、ハロルドの死は避けられないものだと言います。悲劇だからこそ長く人に語り継がれるのだと話します。

帰り道、ハロルドもバスの中で草稿をすべて読みます。そしてそれをカレンに手渡しながら、とても素晴らしい内容で、自分もそのエピソードが好きであり、そして自分の死を受け入れると告げるのです・・・。

人生がここまでリンクしているとはいえ、原稿をこんなふうに渡してしまっても大丈夫なのかと思ってしまいました。カレンはタイプライターしか使っていないようだったので。

おわりに

壊れたアパートからハロルドがそれでも出勤していくシーンには、胸が熱くなりました。

実際に教授が実際に役に立ったのは、彼の部屋のテレビにちょうどカレン・エッフェルが映っていたことぐらいだったのでは思ってしまいました笑。

冒頭から何度か登場していた、自転車を買ってもらった男の子や求人欄を見てバス会社に就職する女性の伏線は回収されていくのも面白いです。

ハロルドの腕時計、いいですね。欲しくなりました笑。

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