海外から(日本を含む)イギリスに送られる荷物には、関税や輸入VATなどの税金が課せられる場合があり、受け取り時に追加費用が発生することがあります。
せっかく日本の家族が送ってくれた荷物や、イギリス外から取り寄せた荷物に課税されてしまうと気分が下がりますよね。「この前のは大丈夫だったのに今回は課税?!」ということも。それが自分宛てのプレゼントだった場合「受け取ったのは嬉しいけれど税金を支払わなくてはならない」というなんとも複雑な気分になります。
どうして課税される?何が対象?
「何に対して課税されるの?」
私の周りの日本人も、こういう疑問を持っている人が多いです。
日本からイギリスに送られる荷物には、以下の税金が課せられる可能性があります。「可能性」としたのは「税関の判断による」からです。
- Customs Duty(関税)
商品の種類や価格に基づいて課税。日本とイギリスの貿易協定により、一部品目は免税か低税率(0~3.5%程度)になる場合があります。商品価格が£135未満なら、関税は通常かからないとのこと。 - Excise Duty(物品税)
酒類、タバコ、燃料など特定の品目に課税。 - Import VAT(輸入付加価値税)
商品価格、送料、関税の合計額に、通常20%(標準VAT率)が課税されます。書籍や新聞はVATが免税。
課税額は、荷物に貼付されたラベルの内容(品目と価格)に基づいて決定されます。HMRCによると、輸入品に対するVATはイギリス国内でVAT課税される品目やサービスとほぼ同様に扱われるとのこと。
HMRCは「英国歳入関税庁」。チャールズ3世即位後、正式に「His Majesty’s Revenue and Customs(国王陛下の歳入関税庁)」に。2022年9月のエリザベス2世女王崩御までは「Her Majesty’s Revenue and Customs」でした。組織自体は同じで、名称の「Her Majesty’s」が「His Majesty’s」に変わっただけです。
ギフト:個人間でのギフト(£39以下、非商用)は、関税およびVATが免除される可能性あり。ただし、ラベルに記載された金額や内容が基準を満たさない場合は課税されます。
新品・中古・インターネット購入品:これらは同様に課税対象となり、商品の状態や購入方法による区別はありません。
書籍:書籍はVAT免税ですが、関税や通関手数料が適用される場合も。私は定期的に書籍を取り寄せていますが、これまで課税されたことはありません。
個人使用の私物:個人使用の私物(例:旅行中の個人の持ち物)で新品でない場合、免税の可能性が。ただし税関の判断に委ねられ、正確な申告が必要です。
インターネット上で「私物をイギリス宛に送るときに『personal belongings』と記しておくと課税されない」との情報を見かけます。例えば、海外旅行のイギリス人が、スーツケースに入らない使用済みの衣類を箱で送る際など。
とはいえ、税関の判断により、新品や高額とみなされると関税(0~3.5%程度)や輸入VAT(20%)が課税される場合があります。虚偽の申告(例:新品を「私物」と記載)は違法で、罰金や荷物の没収のリスクがあるため、税関申告では内容と価格を正確に記載することが大切です。
詳しくはHMRCの公式サイト(https://www.gov.uk/goods-sent-from-abroad/tax-and-duty)を。
過去に課税されたもの
私は過去に、書籍以外の荷物で課税されたことが数回あります。
サプリメント
イギリスで購入できないサプリメント(違法なものでも怪しいものでもありません笑)を注文したら課税されました。関税およびVATの対象とのこと。
Teaching material(教材)
これは、子供の日本語教育のために購入していた教材です。
たいていは日本で購入して持って帰ってくるのですが、急いで欲しかったので取り寄せました。すると、発送元が「Teaching material」と記入して送ってきたため課税されました。この教材はまとめて購入することが多く、その金額をもとに課税されると負担が大きくなります。
次に取り寄せる必要があったとき、発送元に「書籍」として発送できるかどうか確認したところ、問題なしにそのように発送してくれました。中身は全て紙の印刷物なので問題ないかと思います。書店から問題集を取り寄せるときは「書籍」扱いですから。
ビデオ(VHS)
今更、ビデオ(VHS)を使っている人なんていないでしょうが、その昔、ビデオに課税されました。
当時、私は通信教育を受けていて、その教材となるビデオをイギリスに送ってもらう必要がありました。父が20本ほどのビデオを荷造りし、ラベルの記入もしてくれました。しかし、父はそのビデオの正確な値段を知らなかったため「ちょっと多めの金額を書いておけば、万一紛失したときにきちんと補償されるだろう」と考えたようです。
さらに余計なことに郵便局の局員さんまでが「それがいいですね~」といった調子でアドバイスをしてしまったそうで笑。結果として、荷物がロンドンに到着したとき、私は120ポンドもの請求を受けることに。HMRCに書面で抗議しましたが、返ってきたのは「課税するれっきとした基準がありますから」という回答。DVDにしてもビデオにしても、やはりメディア関係は課税の対象ということです。
おわりに
DVDはメディアなので課税対象ですが、書籍に付属しているDVDもありますよね。
書籍に付属する補助的なCD-ROMやDVDは「書籍の一部」とみなされ、免税の適用対象だそうです。ただし、CD-ROMやDVDが商品の主要部分であり、書籍があくまで付属品の場合は「メディア」と判断されるとのこと。
(追記:2024年):最近アメリカから商品を何回か購入したところ、通関手数料と税金分があらかじめプラスされて請求されました。事前徴収されることで受け取ったときの予期しない費用を回避できるので便利だと思いました。
「この措置によって返品率の低減に役立っている」とのことですが、通関手数料と税金が請求されたとたん不要に感じて返品してしまう人が多いのでしょうか・・・。