「名探偵モンク(Monk)」は、アメリカの私立探偵を描いたコメディです。シットコムというよりは、「コメディ・ドラマ」や「ミステリー・コメディ」に分類されるかと思います。
コメディ作品でありながら、名探偵であるエイドリアン・モンクが毎回きちんと犯人を突き止めるため、コメディ好きの方はもちろん、探偵ものが好きな方にもおすすめです。
物語の舞台はサンフランシスコで、美しい景色を背景に楽しめる点も「名探偵モンク」の魅力のひとつとなっています。
毎回、モンクにはひらめきの瞬間が訪れ、「I’ve just solved the case.(事件を解決した)」とつぶやくのです。
名探偵モンク(Monk)のあらすじと感想
エイドリアン・モンクは、幼いころから細部にまで目を配り観察し、鋭い洞察力と並外れた記憶力の持ち主です。かつては警察署に勤務していたものの、6年前から休職状態。
その理由は、最愛の妻トゥルーディを失ったことにあります。トゥルーディは車の爆発により命を落としました。当時、モンクは警察官で、「本当に狙われていたのは自分で、妻は巻き添えになってしまったのではないか」と自責の念に駆られ、心に深い傷を負いました。
そのことが原因で、モンクは極度の恐怖症と潔癖症を抱えるようになり、3年半もの間、自宅に引きこもって過ごしていました。そんな彼を外の世界へと連れ出してくれたのが、元看護師のシャローナだったのです。
シャローナは、モンクの抱える恐怖症や潔癖症を理解している頼もしいアシスタントです。一人では外出できないモンクに付き添い、殺人現場や調査現場へ同行します。彼女はモンクに雇われており、「エイドリアン」あるいは「ボス」と呼ぶこともあります。
モンクは、手がける事件をすべて解決へと導く名探偵ですが、今なお警察官として復職することはできていません。その原因は、彼が抱える多くの恐怖症です。潔癖症だけでなく、牛乳、高所、閉所、車の運転など、恐怖症の数はなんと312個にも上ります。
復職のチャンスが訪れるたびに、何かしらの恐怖症がその道をふさいでしまうのです。気の毒ではありますが、モンクの恐怖症が笑いをもたらす場面が多々あります。
たとえば、アメリカではごく一般的な挨拶である「握手」。
モンクは初対面の相手と握手をすると、すぐその場で除菌ワイプを取り出し、念入りに手を消毒します。「細菌恐怖症ですか?」と理解を示してくれる人もいれば、気づかない人や、傷ついてしまう人もいます。
でも、本人は真剣で、悪気はまったくありません。
また、誰の家であろうと殺人現場であろうと、物が曲がっていたり、整っていなかったりすると、無意識のうちに手を伸ばして並べ直してしまいます。テーブルの上の書類や、棚の上のオーナメント、傾いているショーケースの値札など、何でも笑。
録音スタジオが殺人現場だったときには、スタジオ内のミキサーのつまみをすべて同じレベルに揃えていました(そういう使い方じゃないのに笑)。
シーズン1では、モンクが犯人を追いかける場面があります。下水道管に降りる必要があり、潔癖症の彼はやっとのことで自分を奮い立たせて中に降りていきます。しかし、ばい菌だらけの地下の梯子にはどうしても直接触ることができず、各段にティッシュをかけるほどの慎重さで思わず笑ってしまいました。
仕事がないときには、モンクは亡くなった妻トゥルーディの死に関する手がかりを集めようとします。名探偵であるにもかかわらず、トゥルーディに関する真相だけは、シリーズの最後まで謎のままなんですよね・・・。
シリーズ3の途中では、アシスタントのシャローナが元夫と再婚するため、ニュージャージーへと旅立ちます。その後、ナタリーが後任のアシスタントとして登場し、モンクと共に行動するようになります。
気にっているシーン
私が特に好きなシーンはいくつかありますが、以下のエピソードはとても印象に残っています。
・シリーズ2、第6話のモンクが舞台に立つエピソード
稽古のときには堂々とした演技を見せていたのに、本番になると極度に緊張してしまうモンク。ワイルドな悪役を演じるはずが、サイコパス風に仕上がってしまって思わず笑ってしまいました。
・シリーズ2、14話のモンクがごみ収集車に飛び乗るシーン
証拠が入っている可能性のあるゴミ袋を追って、ごみ収集車に飛び乗るモンク。ゴミのにおいに気圧されながらも、次々と疑わしい袋を路上に放り投げていく姿がユーモラスです。収集車の通過後に袋が点々と落ちていました笑。
・シーズン2、第2話のストットルマイヤー警部のチンパンジーへの尋問
最初は通常の取り調べをしていたはずが、徐々に警部自身がサルのおもちゃのような動きをし始め、エスカレートして奇声をあげたり、部屋を走り回っているのに・・・驚きました笑。
・シーズン6、第2話のモンクがなぞ解きをするシーン。
ラッパーのスヌープ・ドッグがゲスト出演するエピソードでは、モンクが事件の真相を「ヨー、ヨー、ヨー!」とラップ調で説明します。その姿がとても可愛らしく、個人的にとても気に入っているシーンです。
このドラマは1時間枠なので、ミステリーの種明かしは比較的シンプルに描かれることが多いです。しかし、モンクがしっかりと事件を解決してくれるので満足感があり、コメディとしても十分に楽しめるため、見終わった後に消化不良を感じることはありません。
シャローナの降板理由は?
モンクのアシスタントを務めていたシャローナは、シーズン3の途中で去っていきます。これは、シャローナ役を演じていたビティ・シュラムが報酬面で制作側と折り合いがつかなかったことが原因といわれています。多少報酬に不満があったとしても、シリーズがシーズン8まで続いたことを考えると、続けていればさらに知名度が上がっただろうに、もったいなかったのでは・・・と思ってしまいました。
シャローナに代わって、シーズン3からはナタリーがアシスタントを務めることになります。個人的には、ナタリーのほうが好きなんですよねー。
彼女は笑顔がとても可愛らしく、スレンダーでおしゃれな印象があります。初登場の際には、身のこなしがきびきびとしていて、とても好感が持てました。ナタリーが持っていたバッグが可愛くて、思わず「どこで売っているんだろう」と、しばらくネットで検索したこともあるほどです。
シーズン8では、シャローナが1度だけ再登場します。その際、ナタリーとの間にちょっとしたライバル関係のような空気が漂います。礼儀正しく落ち着いていて育ちのよさそうなナタリーに対して、シャローナはやや派手で「お水っぽい」印象を持ってしまいました。ランディとくっついたのにびっくりしましたが笑。
おわりに(視聴方法など)
私はまず、シーズン1のDVDセットだけを購入して観てみました。
トゥルーディの事件はどうなるのか、モンクは果たして警察に復職できるのか、といった結末が気になり、コンプリートセットを購入しました。
私はイギリスのAmazonで購入しましたが、「名探偵モンク」には日本語字幕付きのバージョンもあります。