イギリスのソーセージはまずい?日本人がそう感じる理由?

イギリスのソーセージは「まずい」という声をたまに耳にすることがあります。

ただ、それは味そのものの問題ではなく、日本人が慣れ親しんでいるソーセージとの「種類」や「食べ方」の違いによる誤解である場合が多いかと思います。イギリスのソーセージは生の豚ひき肉を腸詰めにしたもので、素材の旨味を活かす料理法と言えると思います。実際には香り高くて地域ごとに個性ある美味しさを持つものも多く、適した調理をすれば豊かな味わいが楽しめます。

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イギリスのソーセージは美味しい

林望先生の「イギリスはおいしい」という書籍(面白いので20年近く周りに勧めています笑)では、先生はイギリスのソーセージについて「生で燻製になっていない」とか「みんなその近くにある燻製になった商品を買ってしまう」と書かれています。これ自体が1980年代後半の情報なので、当時はそうだったのかもしれませんが、一概に「まずい」とは言えないかな?と思います。

イギリスの一般的なソーセージは、腸に中身を詰めてあるだけの「生」の状態で、それがパックに入って店に並んでいます。普通のスーパーマーケットで入手できるソーセージのタイプには以下のような種類があります:

ポークソーセージ(豚肉ソーセージ)
最も一般的で、様々な太さがあります。ハーブやスパイスで味付けされたものも多いです。

リンカンシャーソーセージ(Lincolnshire Sausage)
豚肉にセージなどのハーブを加えたタイプ。

カンバーランドソーセージ(Cumberland Sausage)
豚肉とスパイス各種を使い、伝統的に長く巻いた形(コイル状)のものもあります。

ポーク&リーク(Pork & Leek)
豚肉にネギ(リーク)を加えたもので、ネギの甘みと香りがプラスされた穏やかな風味。

アップル&ポークソーセージ(Apple & Pork Sausage)
豚肉にりんご(細かく刻んだ果肉またはピューレ)、パン粉、スパイス(セージ、ナツメグ、ブラックペッパーなど)を加えたもの。

我が家がよく購入するのは、カンバーランドとポークソーセージです。「アップル&ポークソーセージ」は、他の種類と比べると主流ではありませんが、スーパーマーケットや精肉店(ブッチャー)で見かけたときには購入しています。アップル&ポークソーセージは、豚肉の塩気と脂のコクに、りんごのほのかな甘みと酸味があり、とても美味しいです。海外ではグリルした肉にフルーツのソースを組み合わせることはよくあります。だから、ソーセージにリンゴは「アリ」なのです。

日本のソーセージウインナー?

それに対して、日本で人気なのは「シャウエッセン」のような燻製にして加熱済みのものですよね?イギリスのソーセージと比べれば、風味も、パリッとした食感も異なります。これは「ドイツ式」。シャウエッセンを製造する会社もドイツ風を意識して開発したそうです。

また、日本でウインナーも色々ありますが、ウインナーはもともとウィーン発祥のもので、ソーセージの肉よりも滑らかなのが特徴。日本では赤い色のものや小さいウィンナーなどもあり、ウィンナーとソーセージの区別があいまいな人も一部いるかと思います。

多くの日本人が「ソーセージ」と言えば「ドイツ風」のシャウエッセンや類似のウィンナーを想定するのではないでしょうか?そのため、シャウエッセン的な「ドイツ風」の基準で評価すると、イギリスの伝統的なソーセージが期待に合わない場合が多く「まずい」とコメントすることになるのかなと思います。ちょっと不公平な気もしますが笑(まあ口に合わなければ食べなければよいだけのことですけど)。ちなみにイギリスには魚肉ソーセージもありません。

イギリスのスーパーマーケットでも、シャウエッセンに類似した燻製豚ソーセージは販売されているとのことです。ソーセージがあるセクションの輸入ソーセージの棚にあるかと思います。わが家では購入しないため、商品名もシャウエッセンと同じような食感かどうかも分かりません。たまに「frankfurters(フランクフルト)」を購入することはあります(「Hot Dog Sausages」と記載されていることもあります)。

ソーセージを使ったよく知られる料理

イギリスのソーセージを使った料理はいくつかあります。

バンガーズ・アンド・マッシュ(Bangers and Mash
ソーセージとマッシュポテトを、オニオン・グレイヴィー(玉ねぎのソース)と一緒に食べる伝統的な英国の家庭料理・パブ料理。

トード・イン・ザ・ホール(Toad in the Hole)
ソーセージをヨークシャー・プディング生地で包んでオーブンで焼く料理。
直訳すると「穴の中のヒキガエル」という意味で、名前の由来には諸説あります。最も一般的に受け入れられているのは、ソーセージが生地の中から出ている様子が、穴から顔を出すヒキガエル(toad)に似ているという見た目から。もちろん料理にカエルが入っているということではありません笑。

ピッグズ・イン・ブランケット(Pigs in Blankets)
小さいソーセージをベーコンで巻いたもの。特にクリスマスディナーの付け合わせとして定番で、ローストターキーやローストポテト、芽キャベツなどと一緒に出されます。

ソーセージ・ロール(Sausage Roll)
パフペイストリー(またはショートクラスト)でソーセージミートを包んで焼いたもの。ベーカリー(Greggsなど)でよく見かけますし、スーパーマーケットでも購入できます。ベーカリーで温かいものを購入するのがお勧めですが、自宅でオーブンを使って温めてももちろん美味しいです。

チルドや冷凍食品セクションに、パーティ用の小さいサイズのソーセージロールもあります。ソーセージミートは一般的なソーセージよりもなめらかでマイルドなので日本人にも合うと思います。スーパーマーケットの精肉のセクションにソーセージミートが置いてあることもあり、パフペイストリーを別に購入して自宅で作ることも可能です。

黒いソーセージ「ブラック・プディング(Black Pudding)」
豚の血、脂肪、穀物(オートミールなど)を使った血のソーセージです。これは、イギリス人でも苦手な人がいます。朝食の一部として、またはスライスして焼いたものを他の料理に添えたりします。一部の「イングリッシュ・ブレックファースト」にはブラックプディングが含まれていることもあります。

(追記:2025年10月12日のテレビ番組「イッテQ」では、イギリスのラムズボトム(Ramsbottom、マンチェスターから少し北)で、ブラックプディングを投げる大会が紹介されていました(World Black Pudding Throwing Championships)。ブラックプディングを投げて、高い位置で重ねられた大きめのヨークシャープディングを落とすという競技です)

ソーセージの焼き方?

我が家のソーセージの焼き方は、オーブンでローストするか、グリルスキレットでじっくり焼きます。もしくは、ソーセージと玉ねぎに一緒に焼き目をつけてから、お湯を入れてしばらく煮たあと、濃い目のグレーヴィー(粉末タイプ)を加えることも。これだとグレーヴィーを別に作る必要がなく、玉ねぎも甘くなって美味しいです。これにマッシュポテトを添えて、「バンガーズ&マッシュ(bangers and mash)」にしています。

林先生の本にもあるように、ソーセージとマッシュポテト(バンガーズ・アンド・マッシュ)、ソーセージとベイクドビーンズの組み合わせをよくつくる家庭は多いと思います。「フォークで穴をあけて茹でる」とも書かれていましたが、それでは美味しくなくなってしまうとと思います。ソーセージはフライパンやオーブンで焼き目がしっかりつくまでじっくり香ばしく焼くのがおすすめです。バーベキューでもソーセージは定番です。

また「イギリスのソーセージの中身はパン粉がほとんど」ともおっしゃっていますが(昔の本なので)そのようなことはないはず笑。いつも買い物をしているスーパーマーケットのブランドのソーセージは、ほぼ九割近く豚肉を使っています。肉を食べる国民なのでパン粉ばかりでは誰も買わなくなりそうです・・・。

おわりに

ソーセージではありませんが「燻製風味」を味わいたいなら、スモークサーモン(Smoked salmon)、スモークハドック(Smoked haddock)、キッパー(Kippers、ニシンの燻製)、スモークチーズ(Smoked cheese)、燻製肉(Smoked meats)、サバの燻製(Smoked mackerel)などがあります。

スモークした豆腐もありますが、私はあまり好きではありません。ベーコンも「smoked(燻製)」と「unsmoked(非燻製)」の2種類があります。

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