我が家のせいではないのにガスが止められてしまったことがあります。
何年も前のことですが、フラットに住んでいたときのこと。
ガスの件からちょっとそれますが、そのフラットが入っていた建物は「指定建物(Listed building)」ではなかったものの、築100年以上は経っていました。昔からあったようなステンドグラスのドアや高い天井、天井の飾りの名残り、装飾された暖炉などもそれぞれの部屋にありました。また、召使いを呼び出すためのボタンも(もちろん押しても何も起こりませんでしたが笑)。
古い家というのは趣があるのでそれを好んで住む人も多いですが、他の階の住人の声や足音がよく聞こえることもよくあります。テレビの音や、喧嘩している声なんかも聞こえることがありました。上の階に住んでいたカップルはドラムの練習をしたり、ペットが禁止されているのに犬を飼っていたので、犬が走り回っている音が聞こえることも。
ドラムの音は昼間だけで、犬に関しては私たちは大して気になりませんでした。そのカップルは悪い人たちでもなかったので、そのまま放っておきました。
夜の11時ごろにガスが止められ・・・
しかしある日の夜10時過ぎ、窓の外が明るいので見てみると、フラットの前に救急車が止まっています。明らかに我々の建物の誰かが呼んだ様子です。
救急車を呼んだのは、どうやら私たちの上の階の犬を飼っているカップルでした。二人同時に気分が悪くなというのです。救急隊員は、その二人の状態から一酸化炭素中毒を疑いました。彼らはすぐに病院に運ばれ、緊急でガス会社も呼ばれました。
すると、彼らのフラットでは一酸化炭素が発生した痕跡はなく、原因を調べる必要があるということで、我が家を含めたフラット4件がドアを叩かれ、ガス台やボイラーなどを調べられました。そして「原因が判明するまでガスを止める必要がある」と、ガス会社のスタッフは我々のガスの供給を止めて帰ってしまいました。ガスは翌日まで使えず、こちらからガス会社に連絡しない限り再開しませんでした。
その頃、バスルームに設置した換気扇が問題だったのではないかとまさかの想像をして、勝手に心配していた主人・・・。うちが一酸化炭素を排出して、その弱弱しい小さい換気扇でどうやって上の階の反対側にある部屋に一酸化炭素を送り込んで誰かの具合を悪くさせることができるんだと呆れましたが、ありえない話でした。
カップルの言い分
そして翌日のお昼ごろ、件のカップルが病院から戻ってきました。しかし「原因は一酸化炭素中毒ではない」というのです。
我が家と隣のフラットの住人はフラット所有していました。他の階にももちろんオーナーはいましたが、テナント(賃借人)が住んでいる状態でした。そのカップルと他の階のテナントたちはオーナーに連絡をしてガスの供給を戻してもらったということですが、我が家と隣のフラットはガス会社に「問題がなかった」と説明し、85ポンドを払ってガスの供給再開を依頼しなければなりませんでした。(おそらく他のオーナーたちはそれを経費に含めていたのかも)
我々の原因でないにもかかわらず、深夜近くにガス会社の訪問があり、ガスを止められ、翌日には無実を説明して85ポンドを支払ってガスの再開をお願いするとは、なんと理不尽ではありませんか。そのため、そのカップルが支払うべきだと指摘しました。するとそのカップルときたら「具合が悪くなって救急車を呼んだだけ。その救急隊員の判断でガス会社を呼んだから私たちのせいではない」というのです。そのフラットのオーナーにも連絡しましたが「住人同士の問題なので彼らと直接話をして」とのことでした。
ガスがないと生活できないので支払いをしてガスを再開しましたが、我が家と隣のフラットは正直、イラっとしました。
私たちオーナーの間では「レジデンツ・アソシエーション(residents association)」を結成していました。これは、建物や共用部分の維持管理、居住環境の保全、ルールや規約の運用、オーナー間の情報共有を行うもの。
そのため、上の階のオーナーの連絡先は知っていましたが、このオーナーが利用しているエージェントも把握していたため、そのエージェントに「こういう場合は我々が負担するのか」と質問。お隣さんもエージェントに問い合わせのメールを送り「この建物ではペットが禁止されているのに、毎日(特に夜に)犬の足音や犬の鳴き声がとても不快だ」とこれまでの苦情も合わせて述べました。カップルの部屋は、我が家とお隣さんのフラットの上にかかる部分がある構造なので、我が家もお隣さんも犬の足音には気がついており、お隣さんは不快だったようです。
この件についてエージェントから犬に関する問い合わせがあり、主人は「犬はいるようですね、何回か見ましたけど」と返事をしました。そのカップルは「ペットなんていません」と嘘をついていたことが判明し、数週間後に出ていくことになりました。我が家としては、厚意でペットについて知らないふりをしていましたが(ドラムの音はどうでもよくて)、彼らの健康状態のおかげで建物全体が迷惑をこうむったことは事実で、その後の対応も少しお粗末だったため、あまり同情はできませんでした。そのフラットのオーナーもテナントを失ってしまったわけです。
ガス漏れしていたこともある・・・
そのフラットでは、電気・ガスを含めた問題が他にもいろいろありましたが、ガス漏れも起きたことがあります。
リビングのカーペットをDIYで交換したとき、主人が勢いよくカーペットをはがしました。すると暖炉の横の床から飛び出していたガス管を塞いでいたものの一部を外してしまいました。暖炉は塞がれていて使っていない状態でしたが、かつてその暖炉にガスを供給していたガス管が残っていたのです。我々はまったくそれに気づかず、カーペットの交換は無事に終わりました。
それから数週間経って、電気・ガス代の請求書を見ると金額が2倍以上になっていて驚きました。詳細をよく調べるとガス代が膨れ上がっていたのです。冬の時期ではなかったので原因が分からず。ふと、ガス漏れしているのではと考え、家中を調べてみました。
すると暖炉の前のほんのりとしたガス臭に気づき、そこから漏れていると確信しました。しかし子供に確認させても「匂いはしない」と言うし(ガスの匂い自体を知らなかったのかもしれません)、カーペットを勢いよくはがした張本人は「何の匂いもしない」と言う始末。この人のせいなのに・・・笑。
その部分をラップで塞ぎ、どうやって客観的に証明できるかと考え、アマゾンでガスディテクター(ガス検知器)を注文。アマゾンプライムに入っていたので翌日到着し、すぐに検査したところガスに反応して数値が出ました。ガス会社に連絡すると、ガス漏れということで即座に来てくれました。そして検知器で出た数値を伝えたところ、問題のガス管をすぐに塞いでくれました。
ガス会社のスタッフは原因を突き止めるために「最近漏れ始めたのか」等と質問してきたので、主人のあの日の行動と、まったく匂いがしないと私に反論していたことを話したら、苦笑いして同情されました笑。
私は子供のころから匂いにかなり敏感で(敏感すぎて酔いやすい+翌日まで頭が痛くなる笑)、それが幸いしました。主人はガス漏れに気づかず、ガス代の請求も確認しないので、放っておいたら大変なことになっていました。人任せにせず、頼り切らず、自分で何でも確認したほうがよいと肝に銘じた出来事の一つでした(他にもあるということです笑)。
おわりに
日本にいるとガスのトラブルは(電気や水道もそうですが)めったに起こらないので、この国では珍しい体験をしているなと思います・・・。