Brideshead Revisited イギリスのドラマ イーヴリン・ウォー原作(ブライヅヘッド再び/回想のブライズヘッド)

「Brideshead Revisited」は1981年に放送されたイギリスのドラマ。

原作はイーヴリン・ウォー(Evelyn Waugh)の1945年の小説「Brideshead Revisited」。日本での一般的な書籍タイトルは「ブライヅヘッドふたたび」「回想のブライズヘッド」など。(2008年の映画版のタイトルは「情愛と友情」でマシュー・グード主演)

1943年、訪れた駐屯地がブライズヘッド城だと知ったチャールズ・ライダーは、親友セバスチャン・フライトとその姉ジュリアの邸宅であるブライズヘッド城との20年にわたる関わり、彼らのカトリック信仰が彼に与えた過去を振り返ります。

小説からのセリフ9割以上が使用されており、今でも「テレビ史上最も忠実で文学的適応の一つ」「イギリス史上最高のドラマの一つ」という評価。景気後退やストライキが国内で続いた当時「優雅な逃避行」として視聴者を魅了しました。原作に忠実なこともあり映画版よりもドラマ版の方が評価が高いです。

キャストはジェレミー・アイアンズ、アンソニー・アンドリュース、ダイアナ・クイック、フィービー・ニコルズ、サイモン・ジョーンズ、クレア・ブルーム、ローレンス・オリヴィエ、ジョン・ギルグッド、ニコラス・グレースと豪華。

ジェレミー・アイアンズとアンソニー・アンドリュースの演技は高く評価されました。ジェレミー・アイアンズは当時から魅力的な声の持ち主で演技だけでなく内省的なナレーションが好評に。アンソニー・アンドリュースはセバスチャンの魅力と脆さを体現し「生涯最高の役」と今も語られています。セバスチャンが特大のテディベア「アロイシウス」を抱きしめている象徴的なイメージは若者に愛されたとのこと。この頃の二人は必見だと思います。

※ ネタバレしています!

ジェレミー・アイアンズ、アンソニー・アンドリュース、ダイアナ・クイック、クレア・ブルーム、ローレンス・オリヴィエ、フィービー・ニコルズ、ジョン・ギールグッド、ニコラス・グレース、ジェーン・アッシャー、スティーブン・ムーアなど
目次

「Brideshead Revisited」あらすじ

Castle Howard
ブライズヘッド城として使用された「Castle Howard」Postcardから

第二次世界大戦中、軍隊生活に幻滅していた英国軍大尉チャールズ・ライダー(ジェレミー・アイアンズ)は、移動させられた部隊の新たな駐屯地が「ブライズヘッド」という貴族邸だと知らされます。その名を聞いた瞬間、彼の中でこの城を所有する家族と過ごした20年にわたる記憶がフラッシュバックします。ジェレミー・アイアンズによる淡々とした語りは、郷愁と孤独を感じさせます。

セバスチャンとの「黄金の夏」

1920年代、オックスフォード大学生のチャールズは、馬車で通りかかったセバスチャン・フライト卿(アンソニー・アンドリュース)を見かけます。マーチメイン家の次男であるセバスチャンは、美しく魅力的な青年で、その派手な振る舞いから大学内でもよく知られていました。大きなテディベアのアロイシウスを抱えている姿に、チャールズは強く惹かれます。

セバスチャンの優雅なマナーとユーモアは、理髪店の主人やチャールズの部屋のスカウトに好感を与えました。「スカウト」は当時のオックスフォード大学で雇われていた使用人で、学生の部屋の掃除や世話を担っていました。

上級生のチャールズの従弟(スティーブン・ムーア)は大学生活について助言し、中庭に面した1階の部屋は物騒だから変えるよう勧めます。チャールズは窓から入る空気や草木の匂いを感じたいという理由でそのままに。するとある夕方、酔ったセバスチャンの貴族グループが中庭で騒ぎ、チャールズの窓を覗き込んだセバスチャンが部屋の中に吐いてしまう出来事が起こります。

翌日、授業も手につかないまま、セバスチャンの姿(吐いている笑)をノートに描くチャールズ。部屋に戻ると、お詫びとしてセバスチャンから大量の花が届けられており、「謝罪して許してもらわないとアロイシウス(テディベア)が口をきいてくれない。昼食に来てほしい」とのメッセージが添えられていました。それを読んで思わず笑みがこぼれるチャールズ笑。

チャールズは回想の中で、セバスチャンの部屋へ向かう自分を「低い扉を通り抜けた」と表現。平凡な日常から、彼の住む美しく魅惑的な世界へと入っていく感覚だったのです。チャールズは芸術肌だったこともあり、自分の知らない優雅さや美的感覚に強く惹かれたのでしょう。到着すると、茹でた千鳥の卵を数えていたセバスチャンはチャールズにシャンパンを勧め、ユーモアのある会話を交わします。(セバスチャンは勉強してなさそう・・・笑)

そこでチャールズは貴族グループと知り合い、その中でも唯美主義者で同性愛者のアントニー・ブランシュ(ニコラス・グレース)と出会います。流行の最先端にいるアントニーは、メガホンを手に外にいたt体育会系の学生に向かって、T.S.エリオットの詩「The Waste Land」の朗読を披露します(「The Waste Land」は当時新しく衝撃的なモダニスト詩。アントニーはこの詩を流行の象徴や知的優位性の証明として用いたとのこと)彼はその後も洞察をもたらす人物としてチャールズに関わります。

アントニーのモデルはイギリスの作家・美術史家ハロルド・アクトンとイートン校出身の詩人・美学者で派手な同性愛者のブライアン・ハワードとのこと。アクトンはオックスフォード時代、同様に「The Waste Land」を朗読し、周囲の学生たちを驚かせたり怒らせたりした実話に基づいているそうです。

チャールズにとって初めての経験ばかりで刺激的だったはず。彼とセバスチャンは意気投合し、親密な友情を深めます。セバスチャンに連れられて植物園を訪れ、彼の美しいものへの感性に影響を受けたチャールズは、花で満たされた自室に戻ると、チャールズは自分が持ってきた絵画を取り除いてしまいます。

ある日チャールズは、マーチメイン家の住居であるブライズヘッド城へ連れられて行きます。チャールズはその壮大な美しさに魅了されます。そこで出会った乳母ナニー・ホーキンズは、セバスチャンにとって温かく素朴で愛情深い祖母のような大切な存在。そしてセバスチャンは家族とチャールズを会わせないように早々に城を離れようとします。セバスチャンは、彼の家族は洗練されて魅力的だから、紹介すればすぐにチャールズと友人になってしまうからだというのです。

セバスチャンは、城内のあちこちを見て回りたいチャールズにプライベート・チャペル(礼拝堂)だけを見せます。マーチメイン家は厳格なカトリック貴族であり、美しい礼拝堂はセバスチャンの父が敬虔な母の誕生日のために改装したもの。この頃のチャールズは不可知論者で、マーチメイン家の信仰を理解していませんでした。

チャールズの従弟は、チャールズの生活が変わったことやセバスチャンたちとの関係に懸念を示しますが、チャールズは気に留めずにアントニーと昼食に出かけます。セバスチャンのことをできるだけ知りたいチャールズは、夜になるまでアントニーから話を聞ききます。アントニーは、セバスチャンは魅力的で洗練されているが内面は空虚であること、父はイタリアに移住して帰ってこない、母は敬虔なカトリックで離婚できないという家庭環境であり、信仰の重圧の中で愛らしく振る舞うことで自分を保っている不憫な存在だと指摘。さらに、チャールズがセバスチャンに彼に強く惹かれていることを見抜き、このままでは批判的視点や芸術的成長が阻まれると警告します。

夏休みにロンドンの自宅に戻ったチャールズ。彼の父(ジョン・ギールグッド)は社交辞令的な対応はするけれど、息子には無関心。仕送りが尽きてしまったことを相談しても、父との会話はかみ合いません。(ただし仕送り自体は多めに送られていたそうなので、散財したチャールズが悪い)。この関係の中でチャールズは孤独を感じてきました。

そんな中、セバスチャンから「重傷を負った」という電報が届き、チャールズは急いでブライズヘッドへ向かいます。彼が乗った一両編成の汽車が短くてジョークかと思ってしまいました笑。

でも車内のチャールズは真剣

チャールズは駅に迎えに来たセバスチャンの姉ジュリア(ダイアナ・クイック)に初めて会い、彼女がセバスチャンによく似ていると感じます。セバスチャンに強く惹かれているチャールズは、彼をジュリアに重ねて恋してしまうのでは・・・と予想してしまいました(的中します笑)。ブライズヘッドに到着すると、ごく小さな足の骨を折ったセバスチャンが車いすで登場。面倒を見ずに済んだジュリアはチャールズの来訪に感謝して翌日には出かけてしまいます。

アロイシウスも同乗してます笑

その後、チャールズとセバスチャンは二人きりで城と広大な庭を独占して過ごし、チャールズは貴族の優雅な生活に浸ります。この時期は彼にとって「黄金の青春」に。これまで平凡だったチャールズの人生に新たな美的経験が入り込んできます。セバスチャンもいつもこんな風に過ごせたらいいのにと口にします。セバスチャンは戸棚から油絵の具を見つけて、チャールズにガーデンルームの壁に絵を描くように依頼。正式に学んだことはないのに、チャールズは才能が目覚めたのかナチュラルに筆が動きます。

絵画のように美しい

セラーに長年放置されていたワインを処分するという名目で、利きワインをしながら毎日飲んで過ごす二人。「1899年」とラベルを読むチャールズ。現在だったら高価なヴィンテージかと・・・。

正装してテイスティング

セバスチャンの家族

ブライズヘッドでは日曜日に教区司祭が来訪しミサが行われる慣例があり、出席を強いられるセバスチャンはそのことをチャールズに愚痴ります。

やがて兄ブライディ(サイモン・ジョーンズ)が農業祭りの議長を務めるため帰宅し。末の妹コーディリア(フィービー・ニコルズ)も一緒で、屋上で裸で日光浴をしていたチャールズとセバスチャンを驚かせます(二人がなかなか筋肉質なのが見どころ笑)。彼女は臆することなくチャールズたちに近寄り、自分の近況や自分の豚の話をします(豚の名前は「フランシスコ・ザビエル」だそうで笑)。

ブライディとコーディリアは熱心なカトリック教徒、ジュリアとセバスチャンは半異教徒的で、兄弟でも違うとセバスチャンは語ります。コーディリアはチャールズが不可知論者であることに驚き、チャールズが「あなたたちはいつも宗教の話をしているの?」と質問すると、宗教の話題が日常的に出るのは自然なことだといいます。当時のチャールズはマーチメイン家の宗教的背景や、セバスチャンが家族に会わせたがらない理由をまだ理解していませんでした。

マーチメイン卿

セバスチャンは父マーチメイン卿を訪ねるため、自分の旅費を等級変更してまでチャールズの分も工面し、ともにヴェネチアへ向かい滞在します。

チャールズは、マーチメイン卿に会うこと、さらに愛人カーラと同居していることに興味を抱いていたものの、卿は普通のイギリス紳士で、カーラもまた想像とは違う落ち着いた女性でした。カーラの手配でチャールズとセバスチャンはヴェネチアの街を堪能し(世界最古のカフェといわれるフローリアンでお茶もしている)、特にチャールズは美しい街並みに強く魅了されます。

滞在の終わり頃、チャールズとカーラが二人きりになると、カーラはマーチメイン家の事情を語ります。マーチメイン卿は妻レディ・マーチメインを憎んでイギリスに戻らず、セバスチャンもまた母を嫌っているものの、彼女は敬虔なカトリックであり本質的な罪はないこと、結婚の問題は卿の側にあったことが語られます。またセバスチャンの酒の飲み方は父の影響を強く受けていると指摘されます。

忍び寄る影

秋の新学期にオックスフォードへ戻った二人。しかし、セバスチャンは前期の素行について大学側から説教を食らい、さらにレディ・マーチメインと懇意のサムグラス氏による監視を受けることに。セバスチャンに会いにオックスフォードに来る夫人は、チャールズにも会いたいと望み、戦死した兄の原稿をまとめるための助言を求めます(編纂はサムグラス氏)。これは表向きの理由で、実際にはチャールズに兄の高潔な人物像を理解させると同時に、セバスチャンの様子を見守り報告する役割を期待していました。

チャールズは夫人の美しさ、魅力、知性に好印象を抱き、自分が受け入れられたこと、夫人が彼と友人になろうとしていることに心を動かされ、光栄にさえ感じていたようです。なんせ家では無関心な父のせいで孤独なので・・・。しかし、後の回想では、夫人の魅力の裏側にある操作性や、彼を家族の輪に引き込みたいという夫人の意図を冷ややかに分析します。

チャールズは、セバスチャンの気持ちに気づかないまま「大学で努力すれば夫人も喜ぶ」と助言さえしてしまいます。これがセバスチャンが恐れていたことであり、二人の関係を不安定にし始めます・・・。

ある日、チャールズの部屋での夕食会に、ジュリアがレックス・モットラム氏という男性を連れて参加。彼女はロンドンでチャリティ舞踏会を主催するため、セバスチャンとチャールズを招待します。舞踏会の当日、貴族仲間のボーイ・マルキャスターに誘われてチャールズとセバスチャンはナイトクラブに移動します。マルキャスターは「街で一番のナイトクラブ」と豪語するものの、そこは女性のコンパニオンがいる怪しげで低俗な雰囲気の店(実在したSohoのナイトクラブ(Mrs. Meyrickの「43 Club」など)がモデルとのこと)。女性に声をかけられて踊るチャールズとセバスチャンには、どう見ても場違いな品の良さが漂います笑。

やがてナイトクラブから移動しようと酔ったセバスチャンが運転して事故を起こし、一行は留置所送りに。この窮地を救ったのはジュリアが連れていたレックスで、セバスチャンの監視役サムグラス氏に「セバスチャンは品行方正、姉のチャリティイベントに参加しただけ、ワインを飲んだのは初めて」と証言させました。それによりセバスチャンは罰金のみで釈放されるのです。

セバスチャンの逃避と広がる距離

年末、チャールズはブライズヘッドに招かれ、裁判での恩義もあり、サムグラス氏も招かれていました。

セバスチャンは、レディ・マーチメインがクリスマスに何度も礼拝堂へ通い、サムグラス氏を絶えず称賛することにいら立ちます。一方で夫人は、二人の処分が軽く済んだのはサムグラス氏のおかげだとチャールズにも強調し、さらにチャールズをカトリックに改宗させなくてはとまで言い出します。

チャールズは、この家では宗教が大きな影響力を持ち、日常の交流にも深く関わっていることを理解し始めます。同時に、セバスチャンが問題を抱えていることにも気づき始めます。回想では、自分が二人の間をつなぎとめる役割を期待されていたと振り返ります。ただし当時の彼は、自分は不可知論者であり、カトリックに取り込まれることはないと考えていました。

大学に戻ると、セバスチャンは不機嫌になることが増え、その態度をチャールズにも向けるように。サムグラス氏の監視が続く中でも二人は飲みに出かけ、チャールズは、セバスチャンが機嫌のよいときは酒に酔っている時だと感じます。分別のある飲み方をするチャールズとは異なり、セバスチャンは逃れるために酒に頼るようになっていました。

見えない針と見えない糸

イースター休暇にブライズヘッドに招待されたチャールズは、セバスチャンが一週間隠れて酒を飲み続けていたことを知って驚きます。

酔ったセバスチャンは夕食の席に着けず、チャールズが「彼は具合が悪い」と取り繕う羽目に。事情を知らない家族は心配し、レディ・マーチメインは「風邪ならホットウィスキーが必要ね」といい(一日中ウィスキーを飲んでいたのに笑)、様子を見に行ったコーディリアは辛辣に皮肉を言います。ブライディはチャールズに、父もかつて似たような飲み方をしていたと打ち明けます。

夕食の後、レディ・マーチメインはG・K・チェスタトンの「ブラウン神父」から「The Queer Feet」を朗読していると、泥酔したセバスチャンがチャールズに謝罪しに現れます。夫人は取り乱すこともなく朗読を中断し、セバスチャンが退室すると再開。朗読が終われば「礼拝堂に行こう」と家族に声をかけます。夫人の平然とした振る舞いは信仰心からきているのかもしれませんが、チャールズの父の無関心さとは異なるタイプのそれにも見えてしまいます。

このときに朗読されたブラウン神父の言葉は、後から何度か登場します:
「そう、私は彼を捕まえた。目に見えない針と見えない糸で。その糸は彼が世界の果てまでさまよえる程に長いが、それでも糸をひと引きすれば連れ戻すことができるのだ。」
(“Yes,” he said, “I caught him, with an unseen hook and an invisible line which is long enough to let him wander to the ends of the world, and still to bring him back with a twitch upon the thread.”)

「ブラン神父」は、主人公の神父が謎や犯罪を解決する物語。ドラマ版「ブラウン牧師」(1950年代に設定変更)は、評価が高くシリーズ13まで続きました。

セバスチャンは、なぜ家族の側に立つのかとチャールズを問い詰め、家族に関わればこうなることは分かっていたと感情的に。セバスチャンの酔った姿は痛々しいし、泣きじゃくっている姿が切ないです・・・。

チャールズはマーチメイン家の輪の中に入れたことを嬉しく感じていたのでしょう。実家での生活と比べると、マーチメイン家は別世界です。セバスチャンの自由奔放で魅力的な性格に加え、壮麗なブライズヘッド城や優雅で華やかな生活、信仰を軸にした強い家族の絆があり、さらにチャールズ自身の感性の豊かさ、多感な時期による惹かれやすさといった要素が重なり、彼が一家にのめり込み、自分もその一部のように感じ始めるのは自然なことだと思います。

セバスチャンはチャールズの家に行くと言い出し、家族に挨拶もせずロンドンへ発ってしまいます。別れの挨拶をするチャールズに、レディ・マーチメインはセバスチャンのことを深く案じ、父と同じように不幸から逃げたと語り、助けを求めます。そして列車で読むようにと兄の追悼本を渡し、「セバスチャンには兄が果たせなかった役割を果たしてほしい」と期待をにじませます。

夫人は完全に善意でやっていて、信心深いブライディやコーディリアは疑問さえ持たない一方、セバスチャンとマーチメイン卿はそれを憎んでいるということですね・・・。このような環境で育ったセバスチャンはどうしたらいいのかさえ分からないのかもしれません。現代だったらもっと対処方法があるはずだし、彼は100年ほど早く生まれてしまったのかも・・・(この時代設定だから意味があるのでしょうけど)。

ロンドンではチャールズの父でさえセバスチャンに好感を示し、彼が社交的な場面で魅力的に振る舞うことができる人物であることが分かります。

大学に戻り、セバスチャンの味方をすると宣言したチャールズ。追悼本の感想をわざとおざなりにすると、またオックスフォードにやってくるという夫人が面会を求めます。「セバスチャンに会う前に5分間だけいただきたいのですが、それは言いすぎでしょうか?」と、いつものように丁寧な文面です。

しかし夫人と会って心乱されたセバスチャンは、その夜に酔って騒ぎを起こしてしまいます。チャールズは、必要なのは監視ではなく自立ではないかと指摘すると、夫人は宗派の違いを理由にそれを退け、不可知論者であるチャールズをプロテスタントとして扱います。

結局、セバスチャンは夫人に連れられて大学を去り、チャールズとブライディが部屋を片づけることに。部屋にはアロイシウスが残されていました・・・。ブライディは「神は立派な人よりも大酒飲みを好む」と語り、チャールズは「なぜいつも神を持ち込むのか。宗教がなければセバスチャンはもっと別の生き方ができたのではないか」と指摘します。しかし自分の信仰に何の疑問も持たないブライディには、その指摘は響かないのです。

ブライズヘッドを去る

チャールズは大学を中退し、絵画を学ぶためにパリへ行くことに。中退の許可を得るために帰宅すると、父は息子のオックスフォード卒業にこだわっておらず、色々と会話はするものの、チャールズの年齢さえ間違えます笑。チャールズはレディ・マーチメインからの手紙を受け取り、セバスチャンはサムグラス氏の調査に同行し、レバントを旅していることを知ります。相変わらず丁寧な文面です。

年末、チャールズはブライズヘッドに招かれ、そこにはセバスチャンとサムグラス氏も戻っていました。サムグラス氏が旅の話に熱心なのに対し、セバスチャンは関心を示さず上の空。チャールズは写真に写っていたアンソニー・ブランシュの存在に驚きます。セバスチャンよりも先に退学していたアントニーとコンスタンティノープルで出くわし、その時間は楽しんだと語ります。

しかしチャールズと二人になるとセバスチャンは落ち着かず、使用人に酒の有無を尋ねます。酒はレディ・マーチメインの指示で厳重に管理されていました。酒を管理するかしないかの問題ではないんですよね・・・。

セバスチャンは珍しく狩りのイベントに参加すると家族に言い出す一方、チャールズには一行から離れて馬でパブへ行って一日中酒を飲むつもりだと打ち明けます。さらに、アントニーから金を借りて、家族の集まるクリスマスにサムグラス氏を振り切って逃げていたことや、自分の銀行口座が凍結されていることも明かします。

翌朝、チャールズは狩りの前にセバスチャンへ金を渡してしまいます。予定通り姿を消し、近くのホテルから迎えを呼んだセバスチャン。家族は迷子になってホテルでお茶でもしていたのだろうと話していたのに、また酔っていたセバスチャンに落胆します。

この状況に耐えられなくなったチャールズはブライズヘッドを去ることにします。自分はここに必要ないだろうと尋ねると、その通りだと答えるセバスチャン。二人の友情の終わりが見える切ない場面です・・・。

別れ際、レディ・マーチメインはチャールズにセバスチャンへ金を渡したかを尋ね、事情を知ります。どうしてそんな酷いことができるのか全く理解できないとしつつ、神の前で誰も裁くことはできないと訴えます。それが一部の人には「責めている」ということになるのでしょうけど・・・。

チャールズはもう動揺することなくブライズヘッドを去ります。このときオックスフォードの自分が求めていた「低い扉」が閉ざされ、優雅で夢のような世界から現実へ引き戻されたと振り返ります。

ジュリアの結婚


ある日、レックスがパリのチャールズを訪ねます。レックスはセバスチャンをチューリッヒの療養所へ連れて行く途中でパリを経由したとき、セバスチャンがレックスの現金を盗んで姿を消したというのです。サムグラス氏との中東旅行でもやってましたね。

「マーチメイン家との付き合いはもう終わった」と答えるチャールズ。かつてはセバスチャンにパリの自分の部屋に来てほしい思っていたものの、それは実現しなかったのです。

レックスによれば、レディ・マーチメインが最後にチャールズを批判したことに良心の呵責を感じているということでした。信心深い彼女は「自分の責任」「自分の罪」と考えてしまうようです。また、夫人の余命が長くないこと、マーチメイン家が経済的に困難な状況にあること、そしてレックスがジュリアと結婚する予定であることも明かされます。

レックスは自分の出世のために名家との結びつきを利用しようとしており、著名人の集まる教会での式を計画しているといいます。マーチメイン家の経済状況を利用しているフシもありそうです。レディ・マーチメインはレックスを信用できないと結婚に反対しているため、それならマーチメイン卿の承諾を得ようと会いに行く途中でもありました。レックスは、マーチメイン卿は夫人を怒らせることなら何でも同意するだろうと推測しています。

しかしこの結婚は順調には進まず、著名人も家族も揃わない小規模な式となりました。
ジュリアは、叔母の別荘滞在中、隣の別荘にいたブレンダ・チャンピオン夫人と関わりがあったレックスに出会いました。レックスは夫人との関係よりもジュリアとの結婚を視野にジュリアに接近。ジュリアが望む場所へどこへでも連れて行ったため、チャールズの部屋の夕食会にも同行していたのです。

レックスを信用できないといいつつ、チューリッヒの療養所に行く息子をレックスに託すのが不思議ですが・・・。セバスチャンは行方不明になったものの、マーチメイン卿からの承諾を得ることには成功しました。

一方でレックスは仕事面では有能ですが、芸術や宗教などには疎く、宗教についてもあまり通じておらず、ジュリアとの結婚のために即座に改宗を受け入れ、その理解は形式的。しかし、結婚式を間近に控えたころ、レックスが数年前に離婚していたという事実が発覚します。マーチメイン家はレックスがまるで重罪でも犯したかのようにショックを受け、隠されていたことを責めるものの、レックスは離婚に対する宗教的な問題をまったく理解していませんでした。

最終的に二人はロンドンのサヴォイ・チャペル(プロテスタント)で結婚式を挙げることに。レックスが想定していたような華やかな式にはならず、コーディリアは後方席でうつむいて出席、レディ・マーチメインはまるで殉教者のように振る舞っていたとのこと。(サヴォイ・チャペルはロンドンサヴォイ・ホテルの裏にある小さなチャペル)

結婚後1年ほどで、ジュリアはレックスの本質を見始めるようになります。レディ・マーチメインの判断は正しかったのかもしれません。

The Savoyの裏のサヴォイ・チャペル(ロケ地に使われたかは不明ですが)

セバスチャンを迎えに

国内ゼネストの影響でロンドンに戻ったチャールズは、マルキャスターと再会し、防衛隊として貧困地域での牛乳配達の護衛に参加します。その場でアントニーとも出会い、セバスチャンの近況を知ります。

セバスチャンはレックスから逃げた後、アントニーのマルセイユのフラットに身を寄せますが、酒代のためにアントニーの私物を無断で売り、飲酒も止められなかったとのこと。その後二人がタンジールへ行くと、セバスチャンは足を負傷したドイツ人の元兵士クルトと知り合いに。セバスチャンは元兵士と共に現地警察とトラブルを起こしてフランス領モロッコへ移動したというのです。

レディ・マーチメインの要請でブライズヘッドを訪れたチャールズは、夫人が弱り切って面会できない中、ジュリアからセバスチャンを迎えに行って欲しいと依頼されます。

チャールズはカサブランカ経由でイギリス領事館に向かい、セバスチャンの居場所を突き止めます。セバスチャンは観光客向けではない現地の家で暮らしており、領事館も彼の状態を心配していました。セバスチャンに会った職員もその妻も、彼の魅力を感じたといいます。案内された家にいたのは元兵士のクルトだけで、セバスチャンに経済的に依存しつつマーチメイン家が援助しないことに不満を述べます。

入院していたセバスチャンは軽い肺炎を患い、アルコール依存もあって衰弱している状態なのでイギリスには戻れないといいます。クルトの面倒を見ているセバスチャンは、一方でクルトの存在に依存しています。「面倒を見るには、自分のような駄目な人間でなければいけない」と自虐的なことまで口にします。しかしセバスチャンは再び飲酒して退院させられ、チャールズは彼のために家から生活費を受け取れるよう銀行手配を行います。レディ・マーチメインはほどなくして亡くなります。

この時期にはセバスチャンは家族やチャールズへの関心をほとんど失っており、チャールズが抱いていた友情は一方通行のものになっていたようです。チャールズはずっと友人のつもりだったのでしょうけど、チャールズが家族の輪に入り込んだ時期から、二人の友情はずれ始めていたのです。

コーディリアの信念

ロンドンに戻ったチャールズは、ブライディからマーチメイン家のロンドンの邸宅が売却予定であることを知らされ、その記録として邸宅の油絵を数点描く依頼を受けます。

邸宅から使用人がいなくなっていたため、チャールズはコーディリアを連れてリッツ・グリルで夕食を取ります(邸宅はグリーンパークに面しており、リッツ・ホテルが近距離に)。食事中、コーディリアは宗教について語り、率直な性格の彼女は、この話題は不可知論者であるチャールズには理解できないだろうし、もはや彼を改宗させるつもりもないと述べます。

さらに彼女は、以前母が朗読した「ブラウン神父」の一節に触れ、「神は、父、セバスチャン、ジュリアを長く放っておくことはないだろう」と語ります。

ジュリアとの再会

およそ10年後、画家となったチャールズはマルキャスターの妹セリア(ジェーン・アッシャー)と結婚していました。

チャールズは絵を描いている時以外、かつてセバスチャンと過ごした頃のような活力を感じられなくなっており、インスピレーションを求めて2年間中南米を旅します。その後ニューヨークからイギリスへ戻る船で妻セリアと合流。しかし、彼の態度はどこか冷淡で、社交界の会話にも興味を示さず、自分の子どもの名前や年齢さえ曖昧に。

チャールズは過去のブライズヘッドでの生活を「黄金時代」として美化し続け、俗物的な世界を嫌う傾向にあり、美を特別視し、そこに執着しているように見えます。2年間ブランクがあったとはいえ妻や子供たちに対してあまり関心がない様子で、社交界に対しても冷笑的。個人的に、チャールズは父の無関心さを受け継いでいるのではとも思えます。それなのに、セバスチャンやブライズヘッドのことになると積極的に興味をしめし、マーチメイン家のことに巻き込まれ(または流され)続けるのです。

するとチャールズは船上でジュリアと再会(セバスチャンとアントニーが海外で出くわしたり、船上でジュリア。偶然の再会が多いドラマです笑)。ジュリアによるとセバスチャンはどこにいるか分からないとのこと。コーディリアはスペイン内戦で看護活動、ジュリアとレックスはブライズヘッドに居住。さらにジュリアはレックスがチャンピオン夫人と関係を続けていることを明かし、チャールズはセリアの不貞を打ち明けます。

セリアはチャールズを画家として社交界に売り込もうと熱心で、彼の活動にも干渉していました。チャールズはそれに甘んじながらも嫌気がさしており、セリアの不貞を知ったことで彼女を嫌う理由ができ、2年間距離を置くこともできたのです。そして嵐の航海中、セリアが体調を崩して寝込む間に、チャールズとジュリアは関係を持ってしまいます。

チャールズは以前からジュリアに惹かれていましたが、その感情の背景にはセバスチャンへの記憶や憧れが重なっていたのでは、と思います。セバスチャンは彼にとって美的・文化的に特別な存在であり、その世界への入口でもあったため、ジュリアを通して彼とつながっていたかったのでしょう。

その後チャールズは個展のためロンドンに残り、セリアをがっかりさせて帰宅。個展にはアントニーが現れ、チャールズとジュリアの関係がすでに社交界で知られていると指摘します。船を降りたばかりだというのに、ゴシップは光の速さで広まるんですね・・・。

アントニーは過去に見たマーチメイン家の油絵を高く評価しつつも、現在のチャールズの作品は当時のような力を失い、むしろ育ちの良いセバスチャンがふざけていた頃のようだと評します。何年も前にアントニーが警告したことがその通りになってしまったということですね・・・。

そこから2年・・・

2年が経ち、ジュリアとの結婚を前提にブライズヘッドで暮らすチャールズ。レックスはロンドンに戻り、チャールズとジュリアの離婚の手続きがそれぞれ進められます。ジュリアが結婚したいと言ったときも、チャールズは特に迷うことなく受け入れます。また流されてる・・・と思ってしまいました笑。

ある日、ブライディが子持ちの未亡人ベリルと婚約したことを知り、二人は喜びます。しかしブライディは、二人の不倫関係を「この家は罪の中にある」とし、厳格なカトリック教徒のベリルをブライズヘッドに連れてくることはできないといいます。

チャールズは「また『罪の中にある』というワードが出てきた」と皮肉に感じ、その一方で、半異教徒とはいえジュリアはひどく動揺します。そして母がジュリアの罪(レックスと結婚したこと)を抱えて教会へ通ったこと、その罪に蝕まれて亡くなったことは、母にとって病気を患うよりも残酷だったとカトリック教徒としての罪悪感を明らかに。彼女は信仰と世俗的な感情の間で葛藤していたのです。

そんなとき、コーディリアがスペイン内戦から帰還し、セバスチャンの近況をもたらします。セバスチャンはクルトと共にドイツへ移住し、その後クルトの死を経て北アフリカへ戻ったといいます。そこまで動けるなら、いっそ帰国したらよかったのにと思いますが・・・。

彼は相変わらず不健康でチュニスの修道院に身を置き、周囲からは好かれているとのこと。セバスチャンの死期は近く、現在は信心深い生活を送っていると淡々と語ります。自らの宗教を嫌い家族や祖国から離れたにもかかわらず、最終的には幼少期から染みついた宗教へと回帰していくのです・・・。

コーディリアは、兄は酒を飲みながら最期を迎え最後の秘蹟を受けるだろうと語り、その苦しみを通じて神に近づくと肯定的に捉え、修道院長も同様の見方をしているといいます。12年ぶりに再会したチャールズは、コーディリアの外見を平凡だと感じたのに、彼女の揺るぎない信仰と理解の深さに強く心を動かされます。

マーチメイン卿の帰還

1939年冬、国際情勢の悪化でマーチメイン卿が帰郷します。医師から余命1年未満と告げられ、死を覚悟していました。

ブライズヘッドを離れていたチャールズとジュリアは一時的に戻ります。イタリアでは穏やかな老紳士だったマーチメイン卿は、帰国後は使用人に次々と指示を出し、ブライディの妻選びに落胆してブライズヘッドをジュリアとチャールズに相続させると言い出し、弁護士を呼んで遺書を書き換えてしまいます。

マッケイ神父が訪問すると、家族の信仰を疎ましく思っていたマーチメイン卿は失礼な態度で追い返します。家族は謝罪しますが、チャールズは本人の意思に反して神父を呼ぶこと自体に疑問を抱き、「終油の秘蹟の意味」「本当に天国に行けるのか」「間に合わなかった場合は」等と質問しジュリアをイライラさせます。

レディ・マーチメインが亡くなって以来、礼拝堂が閉ざされていることを聞いたマーチメイン卿は、「生前の夫人はいつもそこで祈っていた。だから彼女をそこに残し、彼女の祈りを邪魔しないように自らブライズヘッドを去って戻らなかった。自由のために戦い勝利したが、それは罪なのか」と尋ねます。

「お父様、それは罪です」とはっきり答えるコーディリア・・・。それがマーチメイン卿にショックを与え、彼の衰弱を早めてしまいます。

やがて意識が衰えたマーチメイン卿に対し、ジュリアは神父を呼ぶ決断をします。チャールズは、抵抗できない状態で回心を迫ることに強い違和感を抱きます。到着した神父は静かに寄り添い、過度な介入を避けつつ敬意を払いながらマーチメイン卿の意思確認を行います。「罪を認めるなら合図を」と可能な範囲での合図を委ねます。するとマーチメイン卿は自ら胸の前で十字のサインを切ったのです。

これを見つめながら、チャールズも無意識にマーチメイン卿の救いを願ってしまいます(「もし神がおられるなら」という条件付きでしたが)。神父は、このようなことはよくあることで悪魔は最後まで抵抗するけど神の恵みはいつでも大きいとチャールズに語ります。適切な手続きが行われたことで、ジュリアたちの心も安らいでいるだろうと家族への気遣いを見せます。

その後マーチメイン卿は安らかに亡くなり、これを契機にジュリアはチャールズとの関係を終わらせます。ジュリアは、自分は常に罪を抱えるため神の慈悲なしには生きられず、神なしで生きられない以上チャールズとも共に生きられないと結論づけます。「A = B、B = C ならば A = C」のように聞こえてしまいました・・・笑。

そして本当に望むものを諦めるなら、どれほど罪深くても神は見捨てないだろうと、自ら編み出した理解を示します(教会の正式な教えではない)。

それによりチャールズはまたブライズヘッドを去ることに・・・。

エピローグ

第二次世界大戦期に戻り、チャールズは前任の将校に案内されてブライズヘッド内部を見て回ります(実際に内部はよく知っているけど笑)。建物は徴用で荒廃し、ガーデンルームに残る自分の絵にも落書きがされています。

チャールズは上階で暮らしていた乳母を訪ね、家族の近況を知ります。ブライディは騎兵としてパレスチナに駐在し、ジュリアとコーディリアは女性部隊として近くにおり、コーディリアの手紙には戦後に再び皆で帰れると記されていました。(コーディリアは頼もしい笑)

将校から礼拝堂が開いていると聞き向かうと、レディ・マーチメインの死後閉ざされていた礼拝堂は保たれたままで、祭壇の聖灯が灯っていることに心を動かされます。チャールズは自らひざまずき、十字を切って祈りを捧げます。

見えない針と見えない糸に・・・

この作品は、作者イーヴリン・ウォーのカトリック観を軸にしているとのことです。

チャールズは、自分にはもはや家も子どもも愛もないと部下のフーパーに語りますが、フーパーはその意味が分からず、軍隊もブライズヘッドの価値やチャールズの感性を理解しません。プロローグでの彼の幻滅はそういうことだったのかと分かります。

すべてを失い記憶だけが残ったチャールズは、祭壇の炎を見て、人生や歴史の苦しみや葛藤が信仰へと至る道だったのではないかと感じます。マーチメイン家の人々と同様に、自分も神の恩寵に導かれてきたのではないかと考えるに至るのです(彼なりの道のりで)。神の恩寵である「見えない針と見えない糸」は、チャールズにも働いていたということですね。

チャールズが明確に回心したとは示されませんが、信仰を理解をし始める、内面的な変化、または、少なくとも信仰を否定できないところまで来ていると思います。
(ただし・・・、過去への執着が続く限り、アントニーの指摘どおり芸術家としての才能に影響が残ったままである可能性もあるのでは・・・)


撮影に使われたCastle Howard

ブライズヘッド城として使われた「Castle Howard」は、イギリス・ノースヨークシャー州にあります(castlehoward.co.uk)。1981年のドラマと同様に、2008年の映画でも撮影に使われています。

私は一度ここに訪れたことがあり「ここはあの場所だ」というところがいくつかあって楽しい滞在になったのを覚えています。

Castle Howard
Castle Howard

キャスト

ジェレミー・アイアンズ(チャールズ・ライダー)
複雑でダークな役柄(不倫、倒錯、悪役など)を好んで演じ、国際的に高く評価されています。「ダイ・ハード3」「フランス軍中尉の女」「鉄仮面の男」「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」「ライオン・キング」など多数に出演。

低く響く声と端正な語り口が魅力です。昔、子どもと一緒に観ていた「ライオン・キング」にスカー役で登場。スカーが出るたびに耳を澄ませました。主役じゃないかと思うぐらいいい声笑。

アンソニー・アンドリュース(セバスチャン・フライト)
上流階級や知的な背景を持つ人物を演じることが多く落ち着いた物腰が特徴。「Danger UXB」「Upstairs, Downstairs」「アイヴァンホー」「The Scarlet Pimpernel」「英国王のスピーチ」など多数出演。「ローズマリー&タイム」にもゲスト出演しています。やはり品のある役柄で、セバスチャンのような表情をしたりネクタイをピロピロ振ったりして可愛いです笑。

「アイヴァンホー」のアンソニー・アンドリュースもお勧めです。

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クレア・ブルーム(レディ・マーチメイン)
チャップリンの「ライムライト」のテリー役(!)、「英国王のスピーチ」のメアリー皇太后役など、多数出演。また「欲望という名の電車」「人形の家」「夜への長い旅路」などの演劇で主役を務めました。

ローレンス・オリヴィエ(マーチメイン卿)
シェイクスピア劇など古典劇を基盤にした重厚で格調高い役が多く、王や英雄、悲劇的主人公など多くを演じました。彼の2番目の奥さまは「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラ役のヴィヴィアン・リー、3番目の奥さまは「魅せられて四月」のフィッシャー夫人役のジョーン・プロウライト。

サー・ジョン・ギールグッド(チャールズの父、エドワード・ライダー)
英国の著名な俳優兼監督で、シェイクスピアの役、特に500回以上演じたハムレットで有名。ラルフ・リチャードソン、ローレンス・オリヴィエと並ぶ英国俳優の三巨頭の一人とされ、1930年代から1960年代にかけて演劇界を牽引。「オリエント急行殺人事件」「エレファント・マン」「ミスター・アーサー」「ガンジー」などに出演。

ニコラス・グレース(アンソニー・ブランシュ)
特徴的なテレビ役で知られ「ロビン・オブ・シャーウッド」の保安官ロバート・ド・レノー役などで評価されています。「Tom & Viv」「Absolutely Fabulous(ジョニー)」「理想の結婚(ナンジャック子爵)」「マイ・ファミリー(ケイシー氏)」などに出演。

ジュリア役のダイアナ・クイックは「Saving Grace」のハニー役。チャールズの従弟ジャスパー役のスティーブン・ムーアは「シン・ブルー・ライン」の強盗被害者のロン役、「パイレーツ・ロック」のイギリス首相役、「Clockwise」「クリスマスキャロル」「A Bit of Fry & Laurie」など多数出演。

「Brideshead Revisited」DVDとカバー

おわりに

私がこのドラマを始めて観たのは15年くらい前で、当時ほとんど内容を理解していませんでした。「どうして誰もチャールズを理解しないのか?」「セバスチャンはさっさと帰ってこい!」「ジュリアは何をしたいんだ」「マーチメイン卿はセバスチャンを引き取れ!」「チャールズはいい加減セバスチャンを忘れろ!」などと思っていました笑。

時間を置いて改めて観てみると、それぞれの登場人物の苦しみや行動が理解できるのが不思議です。今ではストーリーも台詞もとても面白いと思います。視聴には英語字幕を表示させ、字幕を読むのも醍醐味でした(原作のセリフの9割以上が使われているとのこと)。観終わった後に少しだけ観返すとしたら「黄金の夏」のあたりだけです。落ちていくセバスチャンを観るのはつらいので・・・。

大学生を演じたジェレミー・アイアンズとアンソニー・アンドリュース。当時、二人はなんと30代前半(二人は同い年)!個人的にはアンソニー・アンドリュースが10代には見えなかったし、セバスチャンの方が年上かと思いました(セバスチャンは年下の設定)。いずれにしても二人はとても魅力的です。当時はドラマがとても好評で、二人の年齢に違和感を持つ声はほとんどなかったそうです。

同様にコーディリア役のフィービー・ニコルズも10代から30代までを演じています。快活な少女から、頼もしい女性に成長している姿が素晴らしいです。フィービー・ニコルズの息子トム・スターリッジは「パイレーツ・ロック」(カール役)に出演しています。

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