「Hamish Macbeth」は、1995年から1997年にイギリスBBCで放送されたミステリーコメディドラマ。M.C. Beaton(MCビートン、マリオン・チェズニー)のミステリー小説シリーズがベース。
スコットランド・ハイランド(高地地方)にある架空の村「ロックドゥ(Lochdubh)」の駐在所で、愛犬ウィー・ジョック(Wee Jock)と暮らすヘイミッシュ・マクベス巡査。貴族の作家アレクサンドラと新聞記者のイソベルとの間で心揺れながら、村の事件はうまく収めたり見逃したり(笑)して治安維持に尽力。家族同様の村人たちはそれぞれが個性的・風変わり(そこが魅力)。
キャストは、ロバート・カーライル、ラルフ・リアック、シャーリー・ヘンダーソン、ヴァレリー・ゴーガン、ブライアン・ペティファー、ダンカン・ダフ、ジミー・ユイル、スチュアート・デイヴィズなど。
1990年代のスコットランド・ハイランドの田舎コミュニティが舞台で、ウイスキー、キルト、ゲール語、スコットランド特有のスポーツ・シンティ、ハイランド・キャトル、美しい海岸や丘陵、島々といった要素が盛りだくさん。特にスコッチウイスキーはあちこちに登場します(こちらまで飲みたくなる笑)。
コメディだけあって笑える要素があちこちにあり、それでいてミステリー要素やハートフルな要素も。登場人物のスコットランド訛りも魅力的で台詞も面白いと感じます。1990年代のドラマですが、現在でも十分に楽しめます。
オープニングテーマはノリのよいスコットランド・ジグ。ハープ、フィドル、バグパイプが入れ替わりで登場し、スコットランドの雰囲気を盛り上げます。さらにスコットランド特有の様々なキルトのパターンも描かれ(キルトは氏族ごとの模様がある)、これでもかというぐらいのスコットランド感笑。(画像は引用目的で使用しています)

Hamish Macbeth(マクベス巡査)あらすじ
第1話「The Great Lochdubh Salt Robbery」で、ヘイミッシュや村人の関係性がよく分かります(が、エンディングはなかなかのブラックユーモア笑)。
舞台はスコットランド・ハイランドの架空の村「ロックドゥ(Lochdubh)」。
「Hamish Bacbeth」の主な撮影場所は、プロックトン(Plockton)という村(Lochalsh, Wester Ross地域)。
マクリーン少佐の領地で鮭の密漁をする男、彼は獲物を両手に、なんと近くでパトロールしていたヘイミッシュ・マクベス巡査(ロバート・カーライル)の車に急いで隠れます。そこにやって来たマクリーン少佐の邸宅のゲームキーパー(猟師)。「密漁者がいる」と主張する彼に、ヘイミッシュは誰も見ていないとしらを切ります。
密猟者はTVジョン(ラルフ・リアック)。ヘイミッシュの友人で、駐在所でアシスタントまでしている人物。その後、TVジョンは村のパブ「STAG BAR」に鮭をこっそり持ち込み、店主のバーニーもそれを承知で買い取ります・・・。ヘイミッシュの真剣な表情はパトロールのためではなく、密漁の手助けのためでした笑。「STAG BAR」は村人の毎日の交流の場であり、観光客が宿泊することもできます。
愛犬ウィー・ジョック(Wee Jock)を連れて散歩するヘイミッシュと、村をうろつくハイランドキャトル。(「wee」とはスコットランド英語で「小さい」「少し」という意味。ジョックはウェスト・ハイランド・ホワイト・テリアというスコットランド原産の犬種(ウェスティ(Westie)という愛称で呼ばれることも)

STAG BARでは、ロブスター養殖業を営むロブ氏が若者ジミーとひと悶着を起こし、その後ゴルフ旅行に出かけたまま行方不明に。ヘイミッシュが村のブラウン医師に同行してロブ家へ向かうと、明らかに暴力を受けた様子のロブ氏の妻が寝込んでいました。
その頃、マクリーン少佐の娘で作家になったアレックス(ヴァレリー・ゴーガン)が村に帰ってくるという知らせが。ロンドンに移住した彼女はヘイミッシュの元恋人で、ヘイミッシュはいまだに未練タラタラ。小さい村の話はいつも筒抜けなので、村人はヘイミッシュを気遣います・・・。
アレックスは出版社の友人同伴で帰ってきます。ヘイミッシュが二人に出くわすと、アレックスの友人はヘイミッシュの名前が「スコットランドそのもの」と大ウケ(しかしながら、そいつの名前もピーター・ピーターソン笑)。カチンときたヘイミッシュは、ピーターの車に駐車違反の切符を切り、ヘッドライトを蹴って割ります(巡査なのに!)。さらに湖で釣りをしているピーターを見つけると、修理したばかりのヘッドライトを再び割り、駐車違反の切符をまた置いていきます(山の中なのに!)。
ただしアレックスもヘイミッシュに大いに未練があるようで、ヘイミッシュは「この村で一緒に暮らせばいいじゃないか」と訴えます。その一方で、地元紙の記者イゾベル(シャーリー・ヘンダーソン)はヘイミッシュにずっと片思い状態で、彼はまったく気づいていません。
STAG BARで、何でも屋のようなビジネスをするラクラン親子(ジミー・ユイル、スチュアート・デイヴィッズ)が熱心に打ち合わせする姿に目を光らせるヘイミッシュ。この親子のビジネスは違法で怪しげなのかと一瞬思ってしまいますが、彼らは普通の修理なども請け負っているので村民から頼りにされています。
しかしその夜、ロリーの店の倉庫に忍びこみ食卓塩を大量に盗み出すラクラン親子。ラクラン父は「慎重に顔を隠すべきだ」というくせに、自分たちのビジネス名が大きく背中に入った作業着で侵入笑。
ちょうどそのとき、店の階上に住むロリー(ブライアン・ペティファー)は、村の教師エズメ(アン・レイシー)とロマンチックな夜を過ごしています。「ムード音楽が必要だ」とCDをオンすると、なんとそれはとても賑やかなスコットランド音楽で、しかも大音量。息子のラキー・ジュニアがパニックで奇声を上げます。音楽のチョイスもびっくりだけど、ラキー・ジュニアの驚き方も秀逸です笑。
ヘイミッシュは行方不明のロブ氏を追いながら、ロリーの店での塩の盗難やラクラン親子のビジネスのきな臭さなどから真相にたどり着きます。ロックドゥへの愛着が強く異動や昇進を避けたいヘイミッシュは、女性の巡査部長に手柄を譲ってしまいます(その見返りとして?この巡査部長を食ってしまったようですが笑。アレックスが戻ってきそうだったのに踵を返してしまったこともあり・・・)
ただし、このエピソードは村人たちやヘイミッシュも巻き込んだブラックユーモアで締めくくられます。
90年代のドラマなので、ロバート・カーライルが若くてきびきびしています!
けんかっ早いところがあったり、スパスパ喫煙し、ウイスキーをよく飲み、ブラウン医師と大麻を嗜んだり、同業者を食ってしまったり、村人の不正行為を見逃して丸く収めたりと、巡査なのに必ずしも品行方正ではありません。また、アレックスに未練タラタラだったり、泣き崩れたり、復讐を決心したり、誘惑に負けそうになったり、セールのウィスキーをまとめ買いしようとして不渡りを食らってしまったりと、人間臭いところも魅力です。家族のような村人たちも、仲間のために一致団結したり、隣村と喧嘩したり、私たちの身近にいる人のようで、どの瞬間も楽めるドラマです。
ユニークな村人たち
個性的で少し風変わりな村人たちは誰一人として欠かせない存在です。最終エピソードでは、主要な登場人物が村にとって重要であることが明らかに。
ヘイミッシュは、愛犬ジョックのために逃亡犯に復讐しようとしたり、アレックスの件で一人泣いたり、新米女性巡査の指導のときには男性として心乱されたりととても情緒が豊か笑。駐在所は、勤務中だというのに昼寝したり、ブラウン医師と大麻を嗜んだり、アレックスとよりが戻ったときにはそのままベッドへ・・・などと、とてもゆるーい勤務形態笑。
有名なツアーガイドに山岳トレッキングに誘われ、「報告書作業がたまっているから」と断るものの、いざ駐在所に戻ると去年から作業が滞っていたことに気づき、次の瞬間にはツアーに参加笑。ただし、ツアーの一行が危険な状況に陥り、ヘイミッシュとイゾベルの関係が一気に深まります。そんなときに村に戻ってきたアレックスにプロポーズされるのです。
「ウェストサイドストーリー」の稽古を始めれば、「敵同士なのになんで一緒に踊って歌るの?」と、皆が首をかしげるような質問をすることも笑。ヘイミッシュ扮するロバート・カーライルは「フル・モンティ」や「トレインスポッティング」など多数に出演。
TVジョンはヘイミッシュの年上の友人であり、父親のような存在でもあります。駐在所ではヘイミッシュの身の回りの世話をしながら、アシスタントのような役割も担います。ヘイミッシュのことは名前で呼んだり、マクベスと呼んだり。ホエールウォッチングツアーに参加するヘイミッシュにパックランチ(弁当)を用意し、「ジャミードッジャーを入れといたよ(ジャムとクリームを挟んだビスケット)」と渡して、ヘイミッシュにイライラされます笑。
ロックドゥで最初にテレビを所有したことが「TV」の由来ですが、よそから来た人には「Terribly Violent(恐ろしくバイオレンスな)」の略だと誤解されました。また、TVジョンには霊能力があり、さまざまなビジョンが見えるため、ジョックやアレックスの悲劇の前兆を感じ取ったり、自分の死期を確信して淡々と身辺整理を行ったりして村人たちを心配させます。
シリーズ初期には彼は「文字が読めない」設定だったのに、彼の若い姿は知的な雰囲気だし、いつも活躍しているので、設定に無理があったのではと感じました。TVジョンを演じるラルフ・リアックは「Monarch of the Glen」でジョーディー役として登場。
ヘイミッシュにずっと片思いをしてきたイゾベル。イメチェンする回では、可愛いボブカットがよく似合います。メイクオーバー中のBGM、シンディ・ローパーの「Girls Just Want To Have Fun」が時代を感じさせます。また、襟を立てたケーブルニットのカーディガンジャケットも素敵。
ヘイミッシュが好き過ぎるイゾベルは、グラスゴーから友人を連れてロックドゥへ向かう途中、道路標識が「HAMISH(ヘイミッシュ)」に見えてしまいます笑。イゾベルを演じるシャーリー・ヘンダーソンは、「ブリジット・ジョーンズ」シリーズや「ハリー・ポッター」シリーズなどに出演。
食料品店の店主のロリーは、エズメと秘密裏に交際しているつもりが、村内ではすでに知られている笑。金欠に陥ったヘイミッシュにジョックのドッグフードを持たせてくれただけでなく、ヘイミッシュにも「払えるときでいいから」と食料を持たせてくれる。ロリー演じるブライアン・ペティファーは、「Whisky Galore!(2016年版)」のアンガス役。

小学校教師のエズメは、古くから伝わるゲーリック語での授業も行っています。穏やかな話し方が魅力。また、自宅でB&Bも営んでいます。エズメを演じるアン・レイシーは「Monarch of the Glen」などに出演。
マクリーン少佐は、海外旅行先で出会った女性と結婚するために一緒に帰宅。しかしその女性は20年前にお色気映画に登場して以来姿を消していた女優で、少佐は遺産目当てに騙され命を狙われていました。
作家のアレックスは、ラキー・ジュニア運営の海賊ラジオ局で本の朗読を行い村人を魅了。特に年配のカップルから最後まで読んでほしいと懇願されます。しかしラジオ局の取り締まりとヘイミッシュの心変わりを知って心を乱し、使命感からかラジオ局のバンを奪い嵐の中に飛び出して悲劇に遭います。貴族の娘だけあって華やかな印象ですが、マクリーン家の経済事情については知りませんでした。
ブラウン医師(「ドク」「ヤング・ドク・ブラウン」などと呼ばれる)は、いつも飄々としていて、どこかつかみどころがない感じが魅力。キルトを着ていることが多いです。愛飲しているパイプの中身は大麻の疑惑アリで、グラスゴーのギャングから逃げてきたフランキーにその匂いを指摘されて慌てるのでクロでしょう笑。駐在所でも「ドクが来てたね」とTVジョンも言うあたり、彼も分かっている笑。ドクの医療についての話をするときの少し目を見開く感じが、奥に潜む静かな狂気さを感じさせます笑。ブラウン医師扮するダンカン・ダフは「ローズマリー&タイム」に登場していました。
村人の集いの場「STAG BAR」を営むバーニーとアグネス。店主のバーニーは、海賊ラジオ局のアレックスの朗読に感化され、読書をしてその内容にすっかり影響されます。アグネスが不在中、彼は「人生は自由であるべき」と無料で酒を振る舞い、パブを無法地帯に笑。
アグネスには16歳の時に出産して養子に出した息子がいたことが明らかに。息子のギャビン役は「Monarch of the Glen」のアーチー役のアラスター・マッケンジー。この頃は「サム・マッケンジー」という名称で活動していたようです。若い見た目に最初はスルーしましたが、話し方と声で気づきました。
父のラクラン・マクレー・シニア(ジミー・ユイル/ビリー・リドック)と息子のラクラン・マクレー・ジュニアは「McCrae & Son」という「何でも屋」のようなビジネスをしています。名前がともに「ラクラン」なので、息子は区別のために「ラキー・ジュニア」と呼ばれます、ラクランは男手一つでラキー・ジュニアを育て、可愛がっています。シニアはシーズン2から役者が変わっています。
スコットランド訛りでは「ch」は喉の奥で発音するため「Lachlan」は「ラフラン」のような発音に。そのため「ラキー・ジュニア」は「ラヒー・ジュニア」で、ドラマ内でもそのような発音で呼ばれています。ヘイミッシュがスコットランド外から来た人に「ch」の発音を説明するシーンもあります。「ロックドゥ(Lochdubh)」も「ロッフ(ホ)ドゥ」のような発音だし(架空の村ながら笑)、スコットランドに点在する湖「Loch」も「ロッフ(ホ)」です。「ロックドゥ」や「ラキー」が日本訳として定着しているようなので、ここではそのように統一します。
若者ラキー・ジュニアの海賊ラジオ局が村で大好評になるものの、取り締まりにあいます。娯楽の少ない村なんだから多めに見たらいいのにと思ってしまいました。ジュニアはスペイン語の勉強をしたり、STAG BARでDJをしたり、葬儀屋にスカウトされたりと、天然ながら色々と才能があるようです。
グラスゴーからフランキーと一緒に逃げてきた叔母ジーン(ラーキー・ジュニアが一目ぼれします)は「Lark Rise to Candleford」のマーガレット役のサンディ・マクデード。「Hamish Macbeth」では美容師でスタイリッシュなベリーショートですが、「Lark Rise~」では敬虔なクリスチャンで、優しさの権化のような人の役でした。
また、村の牧草地にたまに登場する村人2人。農作業をしながら、覆面警察や警察の団体、イゾベルの新車が通り過ぎると、いつもボソッと何かコメントします。
印象的なエピソード
ロックドゥでは、村人たちによるミュージカル「ウエストサイドストーリー」が開催されたり(ヘイミッシュの歌がなかなか上手)、スコットランド特有のスポーツ「シンティ」の試合が行われたり、ロックドゥ全体をゴモラ(旧約聖書の堕落した街)だと非難する原理主義的な宗教団体(石の道の教会)がやって来てヘイミッシュを悪魔だと公に糾弾したり(この教祖には意外なオチあり笑)、アレックスの後を追おうとしたヘイミッシュが不発地雷の残骸を踏んで動けなくなった女性に出くわしたり、ヘイミッシュが不在中に村人が一致団結して後任の巡査を困らせたりと、小さな村ながら色々な出来事が起こります。
以下は個人的に印象が強いエピソードです。
The Big Freeze
土地持ちなだけで金銭的に苦しいマクリーン少佐、保険金目当ての強盗事件を自作自演することに。しかし駆け付けたヘイミッシュはそれが狂言であることをすぐに見抜きます。その日、駐在所にはインヴァネス警察署から上司のブルース警部たちが、報告書提出が滞るヘイミッシュのためにPCの設置に訪問中。
ブルース警部たちがマクリーン宅に向かっていると知ったヘイミッシュは、最近ハイランドで暗躍する強盗ギャングの犯行に見せかけることを思いついて演出。ブルース警部は「ここで検挙だ」とさらなる警察を動員し、その騒動に村人たちは、ロリーの店で道路税、車両税、MOT(車検)、TVライセンス(NHKのようなもの)の手続きをしたいと長蛇の列を作ります笑(みんな滞納している笑)。
ラズベリーアイスクリームを好むという強盗の特徴を手がかりに、村中を捜索するブルース警部。STAG BARのパブ客たちは少佐とヘイミッシュの関与を知っているようで、皆揃ってラズベリーアイスクリームを食べている笑。
少佐は、そんな家の経済状況を知らないアレックスに説明してくれとヘイミッシュに懇願。ヘイミッシュも言い出せず、勤務中だというのに二人はまた昔の仲に戻ってしまいます笑。
小学校で子供や村民たちに向けて自分の職業や言葉の力、夢などについてスピーチをするアレックス。ヘイミッシュに片思い中のイゾベルも同じく物書きの職業で・・・対照的なのが切ない。
Wee Jock’s Lament
愛犬ウィー・ジョック(Wee Jock)が天国に行ってしまう回。
数年前に少年を轢いて以来、逃げ続ける2人連れの逃亡犯。村には獣医がいないのか、ラキー・ジュニアがジョックを抱えてブラウン医師のところへ行くと、村人たちも心配してぞろぞろとついてきます。
STAG BARでは、皆がヘイミッシュにお悔やみのウイスキーを注文するので、ヘイミッシュのテーブルには大量のグラスが。パブではオーストラリア人バンドが演奏しており、演者が声をかけても、ヘイミッシュへの気遣いからか、パブ客は力ない暗いトーンでしか返答しません。何も知らないバンドは犬について歌い始め、客たちはそろって外に出てしまいます笑。
ヘイミッシュは銃を持って逃亡者を仕留めに出かけます。ずっと胸騒ぎがしていた霊能力のあるTVジョンは、ヘイミッシュを止めるためにブラウン医師、ラクラン親子、ロリーを連れて捜索に出発します。目撃者のジミーも連れて行けよーと思いましたが。

ヘイミッシュには、亡くなった少年宅から小さいウェスティが託されます。丘の上に作られたジョックの墓を訪れるヘイミッシュ、TVジョン、ジョック2。村の人々は立ち止まり、パブの客は静かに耳を傾けながらジョックを偲びます。

The Lochdubh Deluxe
ラキー・ジュニアは隣村の葬儀屋の老社長から資質を認められ、臨時の助手を依頼されます。老社長はいつでも死者への尊敬をもって仕事をしていたものの、彼の助手である甥は違っていました。欲深い甥は老社長のビジネスを一日でも早く手に入れたいと考え、詐欺まがいのことにも手を染め、さらには老社長を手にかけようとさえしていました。メイドのルイス夫人はそんな甥を見抜いており、危うい瞬間にいつも絶妙なタイミングでお茶を運んできます笑。
そのころ村では墓荒らしが出没し、なぜかUFOの仕業だという説が有力に笑。夜警のボランティアを募るため、夜間具などが支給されると説明されても村人たちは渋っていたのに「ウイスキーがプラスされる」と聞いた途端にやる気を見せます笑。
葬儀屋の甥は悲劇的な最期を遂げるというブラックユーモアな展開に・・・。ラキー・ジュニアはそのまま葬儀屋での就職が決まます。旅立つ日「たかが隣村なんだから、さっさと行って来い」と追い出すラクラン父。涙が止まらないジュニアが去った後、自分もすすり泣き。胸熱な場面でした・・・。
The Trouble with Rory
村では小学校で発生した火災をきっかけに連続放火に悩まされます。市議会から「小学校は再建されず閉鎖」と知らされた教師のエズメはショックを受けます。しかし教育委員のロリーはすでに知っていた案件であり、さらにロリーが火災事件に関わっているという噂を知りエズメは憤慨。
火災事件についてインヴァネス署の調査が入る前に、村の男性陣は自分たちで犯人を捕まえようと自警団を結成。夜に開始する作戦は、これから出発するぞという挑戦的なBGMに、それぞれのメンバーが必要な武器(機器)を受け取っていきます。TVジョンは「我々にはテクノロジーがある」とかっこいいことを言うものの、それらはマッチやトランシーバーといった原始的なものばかり笑。ラキー・ジュニアに至ってはフィンガーチョコレートが手渡され、ブラウン医師はパイプを吸っているだけ笑(まあそれが魅力ですが笑)。
とりあえずかっこいい雰囲気なのにジョックまで登場笑。面白すぎて何度も観てしまいました。


Destiny
ロックドゥには「運命の石(Stone of Destiny、またはStone of Scone)」が隠されており、限られた者(少佐、TVジョン、ラクラン父、ロリー、イゾベルの母)だけがその存在を知ることが明らかに。彼らは特別な詩句を五つに分けたものをそれぞれ伝授されていました。しかし、TVジョンの幼い弟ケネスは、この会話をひそかに聞いていたのです・・・。
アメリカの刑務所に収監されていたケネスは、ある富豪により釈放され、運命の石を奪うためスコットランドへ。運命の石はウェストミンスター寺院の戴冠椅子(戴冠式で使われる)の下に設置されているもので、秘密裏にすり替えられ、ロックドゥに隠されているものが本物なのです。
この頃、TVジョンは自分の死期を予言し、身辺整理をして周囲を心配させます。そして自分の持ち分の詩句をヘイミッシュに託します。ロックドゥに到着したケネスは催眠術師のエイヴァを使って五人から詩句を聞き出し、TVジョンを誘拐して石を盗み出します。
ヘイミッシュ、イゾベル、少佐、ロリー、ラクラン親子はTVジョンを救出するため、山を越える旅に出発(このような状況になるとキルト姿で出発するメンバー。スコットランド人の誇りなのか?あるいは戦闘にはキルトなのか?)。
アレックスの死後、お互いに近づかなかったヘイミッシュとイゾベルは一気に距離を縮めながら雪山に迷い込んでしまいます。少しでも暖を取るため二人で体を寄せ合う案が出るものの「この天候では男性にはどうしてもできないことがある」と訴えるヘイミッシュ笑。

二人は、山の洞窟に住む世捨て人に救われます。世捨て人は「役に立たないから」と札束を燃やしていました笑。
悲劇を経て皆が村に戻ると、ニュースでは「700年前にスコットランドから盗まれた運命の石が返還されることになり、石はウェストミンスター寺院から撤去される」と報じられます。
史実では、1296年にエドワード1世がスコットランドから持ち去り、ウェストミンスター寺院の「Coronation Chair(戴冠椅子)」の下に設置され、その後のイングランド国王の戴冠式で使用されてきました。1996年にエディンバラ城へ返還されており、戴冠式の際には一時的にロンドンへ運ばれます。
ニュースを聞き、運命の石の保管場所へ戻って石を動かし始める少佐たち。「父親世代が石を奪い返した」という過去の偉業を引き合いに出し「自分たちもやるぞ」と鼓舞、新しい場所に出かけます。「私も一緒に行くよ」とヘイミッシュに寄り添うイゾベル。アレックスのような華やかな役柄ではなかったけど、ヘイミッシュをいつも支えてきた頼もしい存在。個人的には、地に足の着いたイゾベルの方が好きでした。
このメンバーはハイランドに選ばれた存在のようで夢があるファンタジー感のあるラストでした。
「Hamish Bacbeth(マクベス巡査)」DVD
日本では「マクベス巡査」というタイトルで、字幕か吹き替えでVHSが出ていたかと思います。DVDでは英語版のみのようです。イギリスではコンプリートセットのDVDが格安で購入できます(「ウエスト・サイド・ストーリー」の回は権利の関係で含まれていません)。

おわりに
ヘイミッシュがTVジョンの詩句の一部を受け継いだけど、少佐は誰に引き継ぐのでしょうか。
TVジョンの霊能力のせいで不思議・ファンタジー要素もたまにありましたが、それらを相殺するぐらい登場人物たちが人間臭かったので、観るたびに親近感を感じました。村の風景や海、山、丘に生息するヘザーなど、美しい景色を楽しめる点も魅力です。
スコットランドではウイスキーは「生命の水」と呼ばれるぐらいなので、毎回のように登場したスコッチウイスキー。「Whisky Galore!」というスコットランドの映画はウイスキーをテーマにしています(1949年版がお勧め)。




