「Keeping Mum(キーピング・ママ)」は、2005年に公開されたイギリス映画。典型的なイギリスコメディ(ブラックコメディ)です。
43年前、浮気した夫とその愛人を殺害し収監された妊娠中のロージーが、出所後して家政婦グレース・ホーキンスとして、崩壊しかけた牧師一家のもとを訪れます。
キャストは、ローワン・アトキンソン、クリスティン・スコット・トーマス、マギー・スミス、パトリック・スウェイジ、タムシン・エガートン、トビー・パークス、リズ・スミスなど。
オープニングタイトルの背景にはトランクから流れる血が・・・。このトランクはまた後で登場します。(画像は引用目的で使用しています)
Keeping Mum(キーピング・ママ)あらずじ
列車で旅をしていた若い妊婦ローズマリー・ジョーンズ。荷物室の彼女のトランクから血が流れ出し、中にはバラバラになった遺体が二つ入っていたことが判明します。ローズマリーは「それは夫と愛人で、二人が駆け落ちしようとしていたから殺害した」と緊張感も罪悪感もありません。彼女は心神耗弱状態が認められ、犯罪精神障害者の施設に収監されます。若きローズマリー役のエミリア・フォックスが美しくて笑顔が素敵です。
それから43年後。人口57人のリトル・ワロップ村(The Parish of Little Wallop)。
(ロケ地はコーンウォールとマン島とのことですが、牧歌的で素敵な場所です)
日曜日の礼拝が終わり、教会から出てくる人々を見送るウォルター・グッドフェロー牧師(ローワン・アトキンソン)。ウォルターを見かけるといつでも「教会のフラワーアレンジメントについて話をしたい」と要求するパーカー夫人(リズ・スミス)は、今朝はウォルターの妻グロリアを見かけなかったと指摘します。
「彼女はとても忙しいから」とウォルターは答えますが、実際のグロリア(クリスティン・スコット・トーマス)は礼拝にも顔を出さず、まだ布団の中。グロリアは隣人ブラウン氏の夜通し吠える犬のせいで毎晩睡眠不足で、ブラウン氏にかけ合うも相手にされません。さらにセックスレスで不満を抱えており、ゴルフインストラクターのランス(パトリック・スウェイジ)と浮気を始めています。
おとなしい息子のピーティ(トビー・パークス)は友達の輪にうまく入れず、それどころかいじめられている様子。一人でバスに乗ることができず、送迎が必要です。その姉のホリー(タムシン・エガートン)は奔放な恋愛を繰り返し、朝から車の中で男女関係に忙しい。そんな家族について、ウォルターは気づいていません。
パーカー夫人を演じるリズ・スミスは「The Vicar of Dibley」のレティシア役、ホリーを演じるタムシン・エガートンは「聖トリニアンズ」のチェルシー役と「ドライビング・レッスン」のサラ役をしています。
家政婦グレースがやって来る
そんな中、グッドフェロー家は新しい家政婦グレース・ホーキンズ(マギー・スミス)を迎えることになり、グレースの巨大な古いトランクが送られてきます。このトランクは、43年前のあのトランク・・・。
グレースはグッドフェロー家の生活に関わり、家の中のことによく気がつき、それぞれの問題に寄り添います。当然、家族に気に入られ、不思議といろいろな問題も解決していきます。
まず、グロリアを悩ませていた隣人の犬が急に静かに。犬はどうやら突然姿を消したようで、ブラウン氏が探すものの見つからない。ピーティーを学校に迎えに行ったグレースは、ピーティーをいじめる少年たちの自転車のブレーキを細工して、重傷を負わせます。
教会で一人説教を練習するウォルターに、グロリアはユーモアを加えたらどうかと提案します。そこにパーカー夫人がやってきて「教会のフラワーアレンジメントを・・・」とまた要求するので、グレースは「彼は今、大事な説教の練習中だから」ときっぱりと追い払います。ウォルターは日曜の説教にジョークを入れ始め、出席者が楽しむようになります。
さらにグロリアは、愛と信仰は両立できること、また聖書の「雅歌」は性的な愛の詩だから読むようにウォルターに勧めます。その晩、ウォルターはグロリアを再び女性として愛するように。このローワン・アトキンソンの朗読がとてもいいですね。個人的に彼の英語が好きなので、このパートは特に好きです。
ホリーは料理をするようになり、グロリアは家族の変化にすこし困惑します。
一方、ゴルフコーチのランスに誘われて、メキシコへ駆け落ちする約束をしたグロリア。ランスの小屋を訪ねて服を脱ぎ始めると、ランスのギャランドゥな下着にドン引きして事が中断します笑。私の中の「ゴースト」のパトリック・スウェイジのイメージが崩れました・・・笑。
グレースはグロリアの浮気にもしっかり勘付いています。ランスは、グッドフェロー家の窓から見える娘のホリーが気に入っており、動画まで撮影(ランスがのぞくと、なぜかいつも服を脱ぐホリー笑)。グレースは、そんなランスをアイロンで殴ります。(このちょっと変態的なランス、殺さなくても遅かれ早かれ去った気がしますが・・・)
メキシコ行きの当日、ランスが現れなかったのでグロリアは二人の関係を終わりにします。
グレースの過去
ある日、グロリアとホリーは、グレースが過去に夫と愛人を殺して釈放されたばかりの人物であることをニュースで知ります。グレースはグロリアの生き別れの母ロージーで、娘に会いに来たのです。それだけでなく、ブラウン氏とその犬は殺害されグッドフェロー家の池に沈められており、ランスも彼は今車の中だということも知ります。三人はウォルターとピーティーには隠しておくことにします。
今度はグッドフェロー家を直接訪ねてきたパーカー夫人。数日前、付近に停車したままのランスの車に不信感を表していた夫人は「何か知っている」というような態度で入ってきます。しかしやはり彼女が話したかったのはフラワーアレンジメントの件についての不満。通報されると勘違いしたグレースが調理器具を掴み、それを見た夫人は心臓発作で亡くなってしまいます。
そこに何も知らないウォルターが帰宅し、聖職者大会でのスピーチは大成功であり、ウォルターにとって大切なものは家族だというのです。ウォルターの大会でのスピーチも素敵でした。
ネタバレせずにここまでで・・・。
おわりに
グレースはあのトランクを部屋に置いたまま去ってしまったと思うのですが・・・笑。
マギー・スミスはどんな役を演じても間違いないですねー。グレースの役をはじめ「ダウントンアビー」や「ゴスフォード・パーク」の貴族、ホームレス、グリーンノウ夫人など、どれも存在感があります。
グレースが「お茶を淹れますね」「お父さんにお茶を買ってこよう」と言うたびに、彼女のお茶はきっと美味しいのではないかと思えてきます。
「Mr.ビーン」の印象が強い人は、台詞が多いローワン・アトキンソンに驚くかもしれません。イギリスではよくしゃべるローワン・アトキンソンは普通で、個人的には「ブラックアダー」が好きです。他にも「ジョニー・イングリッシュ」「フォー・ウェディング」「ラブ・アクチュアリー」など多数の作品に出演(リチャード・カーチス作品が多い)、誰を演じても面白くなってしまう天性の演技力だと思います。
グレース、グロリア、ホリーと、いずれもキリスト教文化圏では宗教的・象徴的なニュアンスを持つ、聖なる響きを持つ名前ですね。
典型的な英国コメディで、ブラックコメディではありますが、愛に満ちたストーリーでした。




