この映画はストーリーも楽しめますが、あちこちに登場する美しい景色や建物、趣のあるインテリアも堪能できます。
アラスカの大自然を味わえる・・・と言いたいところですが、実はロケ地はアラスカではないようです・・・笑。
きりりと美しいサンドラ・ブロックと、引き締まったライアン・レイノルズの裸のぶつかり合いも見ごたえがあります。
あなたは私の婿になる・映画のあらすじ
40歳のマーガレット(サンドラ・ブロック)は出版会社の編集長。
やり手の彼女は、部下たちから密かに「怖いお局さま」と思われています。彼女の姿が見えると、一斉におしゃべりをやめて忙しそうに机に向います。
アシスタントのアンドリュー(ライアン・レイノルズ)でさえ「あいつがこれから暴れるぞー!」とフロアの同僚たちにメッセージで知らせるほど、彼女のことを煙たく感じています。それでも優秀な上司なので、毎日そつなくアシスタント業務をこなしています。
カナダ出身のマーガレットはアメリカで働くためには就労ビザが必要です。
しかし今回、手続き書類に記入漏れがあったため、会社から「カナダに戻るように。1年はアメリカに戻れない」と告げられてしまいます。
カナダに戻れば職を失うだけでなく、つい先ほど解雇した怠惰な男性社員が彼女のポストに就くことを聞かされ、その場でとっさにアメリカに残るための策を思いつきます。それは、「アシスタントのアンドリューと結婚してアメリカのビザを取得する」ことでした。
利害関係が一致した二人
「今結婚して、すぐに離婚すればいいから。」
「私がいなくなったら、編集長の助手のポジションはなくなるわよ?」
マーガレットは淡々と業務の指示を出すかのようにアンドリューに説明しますが、半分は脅しのようです笑。
軽々しく「結婚します」と会社に言ってしまったアンドリューも、それならばと交換条件を出してきました。彼が手がけていた本の出版をマーガレットが手助けすることでした。
とりあえず利害が一致した二人は、アメリカの移民代理人との面接に向かいます。書類の不備を指摘されたばかりのマーガレットが「結婚します」と言い出しているため、「偽装結婚」ではないかと疑われても仕方ありません。もし偽装がばれれば、アンドリューは有罪に。二人は本当の婚約者であることを証明するため、「マーガレットを故郷に連れていくことになっています」と説明します。
ちょうどその週末、アンドリューは祖母の90歳の誕生日パーティーに出席するために有休を取っていました。故郷であるアラスカの「シトカ」へ3年ぶりに帰省する予定だったのです。
アンドリューは裕福な家柄だった・・・
アンドリューの故郷が「アラスカ」だと知って驚いたマーガレットでしたが、いざ「シトカ」の街に入ると、店の看板の多くにアンドリューの苗字である「Paxton」が掲げられていることに気づき、さらに驚きます。
彼の家族がその地域で手広くビジネスを展開していることを知り、また驚きます。
アンドリューの母(メアリー・スティーンバージェン)と祖母(ベティ・ホワイト)は手放しでマーガレットを迎えてくれましたが、彼の父はマーガレットのことを快く思っていません。
以前、アンドリューが「上司のマーガレットが好きではなく、自分を利用しようとしている」と不平をこぼしていたことに加え、一人息子がビジネスを継がず、遠くニューヨークでアシスタントの仕事をしていることもあって、父とはしばしば口論になります。
そんな父との小さな言い争いがきっかけで、アンドリューは3年ぶりの帰省を祝うために集まった人々の前で婚約を発表します。ビジネスオーナーの息子が結婚するとなると大きな話題になります。家族やその場にいた人々、そして元カノも含めて、皆が喜びます。
2人のなれそめについて聞かれると、アンドリューは「マーガレットはこういう話をするのが好きだから、彼女に聞いて」と丸投げします。
するとマーガレットは即興の話を作り上げ、アンドリューはプロポーズしたくてうずうずしていたけれど、小さな鳥のように怖がっていてその勇気がなかった。だからマーガレットが少しずつサポートした、というのです。
そんなことを言われたアンドリューは家族の手前、格好がつかないのでちょくちょく話に割り込みます。しかしマーガレットは、そのまま勢いで、アンドリューがプロポーズのあとに女の子のように泣いていたことまで話すのです笑。
「帰る前に結婚式を挙げてほしい」
アンドリューの家族は「二人がシトカにいる間に結婚式を挙げてほしい」と説得してきます。祖母の「私が死ぬ前に孫の結婚式を見たい」という言葉に、思わず承諾してしまう二人・・・。
母も祖母も、マーガレットのために代々伝わるウェディングドレスやネックレスを用意したり、「ヘン・ナイト」と呼ばれるストリッパーの集まりに出かけたりして、マーガレットを家族として迎え入れようとしています。ところが、16歳のときから一人で育ってきたマーガレットは、そんな周囲の親切に対して歯がゆさや戸惑い、そして罪悪感を感じてしまいます。
マーガレットを追いかけるも・・・
自分のビザのために、こんなにいい人たちを巻き込んでしまってもいいのだろうか。
結婚式会場には多くの人が彼女の入場を待っていて、その中には二人をチェックしに来たアメリカ移民代理人もいました。
祭壇に上がったマーガレットは、本当のことを告白して謝罪します。このときの口調は、「婚約者を演じていたマーガレット」ではなく、「アンドリューの上司としてのマーガレット」そのもの。
素の彼女が真実を打ち明けたのです。そして、「あなたがたは本当に素敵な家族ですね・・・」と会場を後にします。
アメリカ移民代理人と一緒にニューヨークに戻るマーガレット。
彼女が置いていったウェディングドレスのそばには、アンドリューの原稿とメモが残されていました。
「とてもいい作品ですね。あなたの着眼点は素晴らしい。これは必ず出版するから」
その言葉に、アンドリューは苛立ちを感じると同時に彼女を愛していたことに気づきます。
二人はビジネス上の結婚だと割り切っていたつもりだったのに、アンドリューの母や祖母には二人の間に存在していた愛に気づいていたみたいですね。家族全員がマーガレットの乗った飛行機を追いかけましたが間に合いませんでした。祖母の迫真の演技も見どころです。
ニューヨークのオフィスで荷物の整理をしているマーガレットのもとに息を切らしてアンドリューが駆けつけます。そして同僚全員が見ているその前で、彼女を愛していることを伝えます。
再びアメリカ移民代理人との面接に臨む二人。
「今度は本当に結婚します」という二人に、移民代理人は困惑した表情を見せます笑。
こうした面接では、偽装結婚でないかどうか厳しくチェックされます。相手のことをよく知っていないとお話になりません。
エンディングロールでは、コミカルな二人の面接の様子が見られます。
さらには両親や(なぜか)ストリッパーのラモーンとも面接をしているシーンも登場します笑。
あなたは私の婿になる ロケ地
シトカの街並み、ボートでたどり着くおしゃれな豪邸、幻想的に沈まない太陽――
アラスカの大自然は、なかなか目の保養になります・・・と言いたいところですが、実際のロケ地はマサチューセッツ州だそうです。
せめて、沈まない太陽のシーンだけは本当にアラスカからの映像であると願いたいですが・・・。
白い犬のケビン
作中に登場する白い犬、ケビン。
ワンちゃんの品種はサモエドという犬種だそうです。シベリア原産のため、「シベリアン・スピッツ」と呼ばれることもあります。
真っ白でフワフワの毛並みと、まるで笑っているかのような表情をよく見せるのが特徴です。
マーガレットがハゲタカ対策に笑、ワンちゃん持って走り回るのですが、ワンちゃんがプランプランしてて可愛いです。
おわりに
偽装結婚から始まり、ばれてしまって離れ離れになることで二人がお互いを愛していたことに気づく―そんな展開は、アンディ・マクダウェルとジェラール・ドパルデュー主演の「Green Card(グリーンカード)」を思い出しました。
実際の撮影地がアラスカではなかったとしても、風光明媚な景色をしっかりと堪能できます。