「Monarch of the Glen(モナーク・オブ・ザ・グレン)」は、2000~2005年にBBCで放映された、スコットランド・ハイランドの美しい自然と城が舞台のドラマ。
サー・コンプトン・マッケンジー(Sir Compton Mackenzie)の「ハイランド・ノベルズ(Highland Novels)」がベース(原作は1930~40年代が舞台)。シリーズ最初のタイトル「Monarch of the Glen」はエドウィン・ランドシーアの絵画に由来しており、ランドシーアは、トラファルガー広場のネルソン記念柱のネルソン記念柱のライオン像のデザインで知られています。

キャストは、アラスター・マッケンジー、リチャード・ブライアーズ、スーザン・ハンプシャー、アレクサンダー・モートン、ヘイミッシュ・クラーク、ジュリアン・フェローズ、ロイド・オーウェン、トム・ベイカーなど。
舞台はハイランドの雄大な自然と「Loch(スコットランドでの湖の呼び方、以下、Lochと表記)」のほとりに佇む壮観な城。経済的・現代的な課題に直面しながら先祖代々の領地や伝統、グレンボーグルのコミュニティを守ろうと奮闘する若き領主たちの姿が描かれます。
ドラマにはスコットランドの大自然が多く登場。山を歩けば背景には木々や荒涼とした丘が広がり、季節によっては一面のヘザー(ヒース)も現れます。雲が低く垂れ込める景観や、雄鹿(stag)、ミサゴ(オスプレイ)の姿も登場。グレンボーグル城の撮影にはアードヴェリッキー・ハウス(Ardverikie House、56°57’20.5″N 4°27’14.4″W)が使われました。さまざまな時間帯や季節に映し出される城がとても美しいです。

BGMはSimon Brintによるもので、躍動感あるものから情緒的なものまでスコットランド民謡風の旋律やリズムを基にした曲が多く登場します。
ユーモラスな会話だけでなく、登場人物のスコットランド訛り、シェークスピアの台詞やロバート・バーンズの詩、聖書をもじった台詞なども興味深いです。
オープニングタイトルはとても清々しく、城に隣接するLochと緑がまぶしい木々を空撮した映像に、スコットランドのキルト柄を思わせる色合いです。爽やかな音楽もマッチしています。(画像は引用目的で使用しています)
「Monarch of the Glen」あらすじ
ある朝、グレンボーグル城の領主ヘクター・マクドナルド(リチャード・ブライアーズ)は、立派な雄鹿が近くに来ているのを見つけます。「Big Eric!」と叫び、ガウンも脱がず、ハンティング用のジャケットと帽子を身につけ、水上バイクで湖へ飛び出します。(この地所では、体格の良い雄鹿を「Big Eric(ビッグ・エリック)」と呼んでいました)
グレンボーグル(Glenbogle)は、スコットランド・ハイランド地方にある架空の広大な私有地。山々や森林、農地、湖に囲まれた壮麗な城を中心に、マクドナルド家が400年にわたって管理を続けています。借地人の家や土地、学校、駅もあり、観光事業や野生動物保護なども行っています。(グレンボーグル駅の撮影には「Broomhill駅」が使われました)
ヘクターの突飛な行動は日常茶飯事で、妻のモリー(スーザン・ハンプシャー)、ハウスキーパーのレクシー(ドーン・スティール)、狩猟とガイドを担当するゴリー(アレクサンダー・モートン)、そしてその補助を務めるダンカン(ヘイミッシュ・クラーク)は「またか」といった様子。ところがその日、ヘクターはLochの上で勢いよく転倒してしまいます。
一方、ヘクターとモリーの息子アーチー・マクドナルド(アラステア・マッケンジー)は、恋人のジャスティン(アンナ・ウィルソン=ジョーンズ)と共にロンドンでレストランを開いたばかり。オープンの翌日、母モリーから「父が大事故に遭った」との連絡を受け、急きょスコットランドへ戻ります。長時間かけて帰宅したというのに、危篤のはずの父は元気そのもので「遺産を取りに来たのか」と皮肉を言うほど。
しかし、税金対策のため両親が無断でアーチーに地所を相続させていたこと、そして城の経営が破産寸前にあることを、アーチーはそこで知らされるのです。

風変わりなキャラクターたち
グレンボーグルに集うキャラクターは、それぞれの個性と風変わりな魅力があります。
アーチー・マクドナルド(アラスター・マッケンジー)
領主としての責任を背負うことになった都会育ちの息子。合理的で真面目で、ハイランドの伝統や風変わりな父、地元の人々によく振り回されます。領主として、ヤギの所有権をめぐる2人の村人の争いをゴリーの助けを借りて解決したり、年老いた小作人の土地返還の要求にも皆が納得する方法で解決したりします。
ヘクター・マクドナルド(リチャード・ブライアーズ)
アーチーの父で、伝統を重んじる頑固な老領主。
変化に抵抗し、アーチーの事業を無邪気に邪魔することがしばしば。城でB&B(ベッド&ブレックファースト)を始めれば、風呂上がりの裸で食事中の客に話しかけたり、アーチーが村唯一の学校の閉鎖を阻止しようと尽力しているのに、公の場で「駐車場にすればいい」と発言して謝罪を拒んだり。城に滞在した銀行員が「城の中で動物の声がする」と心配すると、「それは父です」というアーチーの返事笑。
「自分は貴族しかできない」と、城の経営に貢献できないことに落ち込むも、長年スコッチウイスキーを嗜んできた経験から、観光客向けにテイスティング体験を行うことで貢献します。キルウィリーとのエピソードがいつもコミカルで愛らしいです。
ヘクター役のリチャード・ブライアーズは、映画、ラジオ、舞台、テレビで50年以上活躍したベテラン俳優。特にBBCシットコム「ザ・グッド・ライフ」(1975~1978年)のトム・グッド役でよく知られ、シェイクスピア作品にも多数出演。
モリー・マクドナルド(スーザン・ハンプシャー)
アーチーの母親で元モデル。誰にでも親切で、エレガントな女性。伝統を重んじている割に彼女も風変わりなところがあります。絵やガーデニングをして優雅に過ごすことが多い一方、シリーズの初期の頃にはギャンブル好きな一面も。地所で問題が起これば、城の図書室の本をフル活用してリサーチを行い、数々の窮地を救います。
ゴリー(アレクサンダー・モートン)
グレンボーグルの地所のゲームキーパー兼ギリー。スコットランド訛りの落ち着いた話し方が魅力。
ゲームキーパー(Gamekeeper):狩猟地や森を管理する職で、野生動物の保護、密猟防止、狩猟の準備など自然管理全般を担う。
ギリー(Ghillie):釣りや狩猟の客に同行する案内人で、川や山に精通し、安全確保や実地のサポートを行う。
城のキッチンには彼が狩ってきた動物がよく吊るされています。
ゴリーは、城や伝統への忠誠心が強く、アーチーも父親のように慕っていました。無表情ながら頼りになり言葉は常に的確です。ヘクターがモリーを連れて家出したとき、彼は城に掲げられていたスコットランド国旗を半旗にし、敬礼して送り出します。
城での伝統的な夕食にはバグパイプを演奏し、舞踏会ではソードダンス(Sword dance、剣の上を巧みにステップを踏むパフォーマンス)を披露。村の女性から信頼があり、ゴリーがモテモテのエピソードも。娘のジェスはシリーズ3で登場し、その後ゴリーと同居を始めます。

ダンカン(ヘイミッシュ・クラーク)
個人的に必見だと思うキャラクターです。彼はゴリーの助手や地所の雑務を担当。スコットランド訛りの陽気な話し方が魅力です。
キルトを履いていつも走り回っていることが多く、エピソード1の冒頭ではワイルドな印象ですが、純朴で少し抜けたところがあります。余計なことをしたり、過剰に心配したり、勘違いすることもしばしば。でも優しくて正直で、頼りになるときもあります。
当初はレクシーがお気に入りだったものの、グレンボーグルにやってくる女性に惹かれてしまうことが多いです。フランスの文通相手マリーが訪れたときには、ダンカンは自分をグレンボーグルの領主と書いていたため、城中が協力して領主のフリをしたことも。
レクシー(ドーン・スティール)
城のハウスキーパー兼料理担当。後にアーチーと結婚し、グレンボーグルをしばらく切り盛りした後、アーチーを追ってニュージーランドに移住します。
陽気で情熱的、肝っ玉な性格で、ジョークをよく言います。彼女もスコットランド訛りが特徴です。初期の頃には「円神社」と書かれた前掛けエプロンをして掃除をしているシーンが何回かありました。
キルウィリー卿(ジュリアン・フェローズ)
キルウィリー城の城主。ヘクターの親友であると同時にライバルでもあります。
ヘクターとは異なる貴族ぶりで、豪華な城に住み、高級車を乗り回し、アーチーの結婚祝いに世界一周旅行をプレゼント。ヘクターと対決したり共謀したりするエピソードはいずれも秀逸です。実はモリーに想いを寄せており、ヘクターの亡き後、2度プロポーズを試みます。キルウィリーの笑顔はとても可愛いです笑。
キルウィリー役のジュリアン・フェローズは俳優だけでなく、小説家、作家、プロデューサー、映画監督としても活躍しています。特に脚本家として「ゴスフォード・パーク」「悪女(Vanity Fair)」「From Time to Time」「ヴィクトリア女王 世紀の愛」「ダウントン・アビー」シリーズ、「Belgravia」など多数手がけています。「The Monarch of the Glen」の撮影中に「ゴスフォード・パーク」でオスカーを受賞し、グレンボーグルの城のランプシェードに忍ばせたオスカー像が映り込んでいる場面も。
城の経済の立て直し(エピソード1~3)
突然領主になってしまったアーチーは「いつでもロンドンに戻るつもりだ」と宣言しますが、車のエンジンがかからなかったり、融資担当の銀行員が訪ねてきたりしてなかなか戻れません。銀行員からは、借金が返済されなければ城を債務不履行として閉鎖せざるを得ないと告げられ、アーチーは借金を何とかできるまでグレンボーグルに留まることに。
なかなかロンドンへ戻らないアーチーに業を煮やしたジャスティンがグレンボーグルにやって来ます。ところが、彼女はアーチーと地元の教師カトリーナ(ロレイン・ピルキントン)の間に、友人以上の関係が生まれそうな空気を感じ取り、ロンドンとスコットランドのどちらを選ぶのかアーチーに迫ります。
(アーチー役のアラステア・マッケンジーは「シェルシーカーズ」のリチャード役、アンナ・ウィルソン=ジョーンズは「ローズマリー&タイム」に出演しています)
ほどなくして城の地下セラーで深刻な浸水が発生し莫大な修理費が必要に。アーチーがロンドンのレストランの自分の持ち分を売却する意向をジャスティンに伝えると、彼女は城に引っ越してきます。ジャスティンは、アーチーの事業に何かとカトリーナが関わっていることを警戒し、城の経営にあれこれ口を出し始めます。
しかし、ヘクターとジャスティンが衝突し、ヘクターはモリーを連れて家出してしまいます。結局、ジャスティンは謝罪することに・・・。土地の伝統を尊重し、もともと住んでいた人々と共に歩み、外から来た者が余計なことはしないという教訓はどこでも同じのようです。ジャスティンが嫌われていたというわけではなく、単にこの土地に合わなかったのです。
ジャスティンは都会的で洗練された女性だと当時の視聴者から人気がありました。最終的に彼女はロンドンへ帰ってしまいます。多くを諦めてやってきたのに少し気の毒です。
ひとりたたずむアーチー。二人には気の毒ですが、そんなことよりもLockが美しいです笑。

ジャスティンが去ると、カトリーナが急接近します。
カトリーナは地元小学校の校長で、ハイランド議会選挙に立候補するほどコミュニティのために活動するタイプ。ゴリーとともに、グレンボーグル地所内でミサゴの卵を密猟者を捕まえる活動もしていました。ロンドンから戻ったアーチーが森を歩いていると、彼を密猟者と間違えて飛びかかるほど勢いがある笑。アーチーが城の売却を考えていると話すと、「コミュニティはどうなるのか」と熱心に訴えます。
ジャスティンと別れたばかりのアーチーは、カトリーナとそう簡単に関係を進められません。もどかしく思うカトリーナは、アーチーが新たに採用した有能なファーガルを気に入り親しくなってしまいます。
個人的に、カトリーナはずかずかと迫る印象が強いです・・・。仕事中なのにアーチーに自分の話をしたり、気に入らないとアーチーを無視して素通りしたり笑。別の議会でもアーチーを無視していたと思ったら、彼がカトリーナ側に有利な議論をしたとたん態度が変わる笑。
カトリーナはファーガルのニュージーランド行きに同行することになり、アーチーは二人を追いかけて駅まで走るものの電車はすでに出発。車で行けばよいものを、アーチーは森の近道や橋、Lochのほとりを走り抜けます。効率は悪いですが景色は美しい笑。
しかし、カトリーナは電車の中で感情的になりファーガルと口論の末、下車してしまいます。これまでの彼女の気質を見れば、容易に想像できる・・・。そして「グレンボーグルは自分の場所だから」と戻ってきます。なんて自由な人なんだ。アーチーに何か言ってほしい様子のカトリーナは、世間話しかしないアーチーに苛立ったのか、後日、自分の住むコテージの退去届を持ってきます(彼女も賃借人)。気に入らないととことん行動するタイプなのでしょう。
その後、レクシーの計らいで二人は恋人同士に。アーチーを手に入れたのもつかの間、カトリーナはウェストミンスターでの政治の仕事をオファーされ、ロンドンへ去ってしまいます。ああ忙しい。
アーチーが結婚相手に選んだのはレクシーです。視聴者の中には、レクシーとの結婚を喜ぶ層と、これまでのアーチーの相手と比べて平凡すぎると感じる層があったようです。言いにくいけど私は後者です。レクシーは魅力的だと思いますが、エピソード中で意地悪をすることが何度かあったから。カトリーナやステラ、アイリーン(シリーズ4で登場)に行った意地悪があまり品が良くなくて閉口してしまいました(台本のせいなのはわかっていますが)。
レクシーは、シリーズ3で舞踏会の前にアーチーからプロポーズされます。ダンカンが買ってくれたドレスを着たレクシーは、アーチーのプロポーズを受け入れ、二人でロマンチックに踊ります。展開が早すぎると感じた視聴者も少なからずいたようです(おそらくアーチー役の俳優が降板を決めたため)。個人的にはレクシーのバギーなドレスが気になってしまいました。
ステラ
グレンボーグルには、銀行から新担当者のステラが派遣されました。ステラは地所内の橋の修繕費のローンを許可する代わりに経営管理を彼女が引き継ぐことを条件にします。
ステラの立て直しが進む中、過剰な削減により減給を命じられたゴリー、ダンカン、レクシーはストライキを起こします。さらにステラは、ゴリーを密猟の疑いで留置所に送り、抗議したヘクターとキルウィリーもく留置所に入ることに。このニュースは村に広まり、村のB&Bの主人はステラに出ていくよう告げます。そんなステラを城に宿泊させたのがアーチーでした。
個人的には、アーチーとステラが結ばれてほしかったです。彼女は品があって知的な印象、声も素敵で、話す英語がとても心地よいです。ショートヘアも似合うしプロフェッショナルな雰囲気。ハイランドの生活と相性が合えば、良い領主の妻になったと思います。
ただし、ステラの最後のエピソードでは、グレンボーグルに長くとどまるために舞踏会の邪魔をしてしまいます。そんなことをしなくても、単に「昇進のため」として去る形でもよかったはず。その少し前には、別居中の夫が現れて色々やらかします。ステラは離婚手続きに踏み込みますが、わざわざ夫の設定までいらないと思いました。このようなプロットは少々残念に感じました。
最初にこのドラマを観たとき「アーチーにはステラが合っている」と感じましたが、観返してみてもやはり同じように感じます。
スコットランドならでは
グレンボーグルでは、スコットランドならではの多くのイベントや伝統が行われ、自分こそ領主だと主張する人も現れます。個人的にはアーチーの恋愛模様よりも面白く感じます。印象深かったシーンのいくつかを挙げます。
・ゲストがある日の城のダイニングルームでは、ゴリーがバグパイプを演奏しながら入場し、その後をレクシーがローストした肉を運びます(レクシーはスカートに履き替えます)。その後ヘクターが肉を切り分けます。(スコットランドの「バーンズ・サパー」などで見られる儀式で、バグパイプ演奏に合わせ料理が運ばれ、主人が切り分ける伝統)
・毎年恒例のグレンボーグル・ヒルレースでは、アーチーが領主として出場。賞品は大きなウイスキーのボトル(スコットランドならでは笑)。仮装する出場者もいて、ダンカンは映画「ブレイブハート」のウィリアム・ウォレスのように顔を青く塗った戦士姿で、手にはおもちゃの斧。レース中、レクシーと銀行員のキスシーンを目撃すると、彼女が好きだったダンカンは戦士さながらに襲撃。まるで映画のように襲撃直前のは斧がアップで映し出されます笑。


・城では雨漏りが頻発するだけでなく、風呂の蛇口からお湯が出なかったり、電気やボイラーが止まったりも珍しくありません。地下のセラー室が浸水したかと思えば、ダンカンの親戚が残した戦時中の爆弾が爆発するなど災難が続きます。
・キルウィリーの城での舞踏会が中止になり、代わってグレンボーグルで開催されることに。女性はドレス、男性はキルト姿で華やかに彩られ、バグパイプ演奏に合わせてゴリーがソードダンスを披露します。素敵な舞踏会だったのに、最後にやはり一騒動起こります。
・ヘクターはアーチーに無断で「独身領主が妻募集中」と雑誌に掲載させ、美貌の富豪の娘ターニャとの結婚を狙います。ターニャはダイアナ妃を思わせるような美しい女性で、父の勝手な行動に憤慨していたはずのアーチーは彼女を見た途端に心を奪われます。しかし、彼女とその父親は強盗だったことが発覚。
・ヘクターとキルウィリーの間で毎年行われていたハイランド・ボートレースでは、新領主アーチーが挑戦を受けます。キルト姿で申し込みに現れたキルウィリーの一行は伝統を重んじた威厳ある雰囲気で、バグパイプの音が響き渡り、見ているこちらも背筋が伸びる思いです。

・アメリカ人の大富豪が、数百年前の書類を根拠に自分こそ正当な領主だとグレンボーグルにやってきます。どちらが本物かを証明するためにハイランドゲームが行われます。バグパイプによるオープニングが壮観です。(実際のハイランドゲームでは、屈強な選手が木の柱を投げたり綱引きをしたりと荒々しい印象です)アーチーたちの勝利の喜びもつかの間、最後には災難が降りかかります・・・。

・地所の橋を修理したスチュアートが、ベン・ボーグル山を大規模リゾートに開発する計画を発表。驚いたアーチーたちは開発を阻止するため、モリーが図書室でリサーチを行い、山に歴史的建造物があることを突き止めます。城のダンジョンから続く通路がなかなかエキサイティングです。
・ヘクターが戦友たちを城に招くと、恩人のトードが警察に追われている身だと知ります。ヘクターは逃走を手伝う計画を立て、アーチーや戦友たちも協力。作戦を練る姿はまるで戦時中の会議のようです。ミッションに挑むおじいちゃんたちの姿は可愛らしくもあり頼もしくもあります。追跡をかわして去るトードとそれを見送るヘクターとアーチー。Lochの壮大な景観も相まってとても爽快です。
・アーチーの姉リジーが帰省して城で出産。家族はLochのほとりに集まり、洗礼のような儀式を行います。新生児マーサを抱いたヘクターが、Lochの水を入れた「Quaich(クウェルヒ)」から少し水をすくい、マーサの額につけます。スコットランド独自の祝福なのか、ドラマ独自なのかは不明ですが、Lochの水とQuaichの組み合わせがハイランドらしいです。(Quaichはスコットランド伝統の両手付き杯。友好や祝いの象徴として使われます)キルウィリーも同席する穏やかで美しい儀式でしたが、「アーチー、私、戻ってきたわ」とカトリーナが現れるのではとハラハラしてしまいました笑。
リジーが休む間、レクシーがマーサを抱いて歌ったスコットランドの子守唄「Ali Bali, Ali Bali Bee」がとても優して素敵でした。
ヘクターとキルウィリー


ヘクターとキルウィリーの組み合わせは、ドラマに「スコットランド」と「貴族」の良いスパイスを加えていると思います。友人でありライバルでもある二人が一緒のエピソードはどれも楽しいです。
・二人は30年物のウイスキーの樽を見つけ、秘密裏に味わおうとします。「アーチーの気配はないぞ」と息子を恐れている様子のヘクター笑。地下のセラーにはトロッコのような設備があり、二人で樽を移動させていざ飲もうとするタイミングでアーチーに見つかり没収されます。アーチーは資金調達のためオークションに出すと鍵をかけてしまいます。キルウィリーがLoch側からボートで潜入し、ミッション・インポッシブルのような奪還劇を繰り広げますが、樽は自我を持ち始めたかのように転がり出します笑。
・二人はスコットランドで最も高い木を競うコンテストや、ゴルフクラブの会長選でも張り合います。また、ゴリーが密漁の疑いで逮捕されると、自分たちも釣りをして抗議し、逮捕されてしまい、脱獄を試みます。そして、ヘクターがキルウィリーの推薦で秘密組織「ハイランド・ハンドレッド」に入会し、城で集まりを開催するも、またしてもドタバタな結果に・・・。
残念なことに、シリーズ3でヘクターは亡くなります。死の原因となった犬「ユースレス(Useless)」はその後も無邪気に登場し、後にアーチーの異母兄弟ポール(シリーズ4)に懐きます。まるでヘクターとポールをつなぐ存在のようです。
ポールの登場(エピソード4)
アーチーとレクシーはグレンボーグルの地所にウルフセンターを設立しますが、ギリーであるゴリーは地域の生態系への懸念から協力をためらいます。しかし彼はすぐにオオカミを手なずけ、その姿はまるでクロコダイル・ダンディのミックのようでした(仕草も同じ笑)。
予想通りオオカミが囲いから逃げ出し捜索が始まります。麻酔銃を持ったダンカンが誤ってキルウィリーを撃ってしまい、一行はオオカミを捕獲するものの、倒れたキルウィリーをすっかり忘れてしまいます。Lochのほとりの木の下で寝ているキルウィリーが可愛い笑。
アーチーは、レクシーが地所経営に関われるよう、シェフのアイリーンを雇います。事前に知らされなかったことが気に入らないレクシーは、彼女を解雇しようとします。彼女の意地悪さは残念です。
「The Lothian」という一流ホテルの副シェフだったアイリーンに、どちらがキッチンに必要な存在か勝負を持ちかけるレクシー。レクシーは「カレンスキンクで対決しよう」と提案。カレンスキンクはスコットランドを代表する独特の料理で、アーチーはアイリーンがなじみがないのではと思い、レクシーに「そこまでして勝ちたいのか」と呆れて怒ります。
とにかくカレンスキンクの準備をする二人。アイリーンは「The Lothian」でクリントン大統領に料理を出したことがあると話し、レクシーが「何を?」と皮肉交じりに尋ねると、アイリーンは「カレンスキンクよ」と答えます。アイリーン、これはグッジョブ笑。
すると、ウエストミンスターに去ったカトリーナがグレンボーグルに戻ってきます。学校教員の面接がその理由ですが、アーチーともよりを戻したい様子。アーチーが社交辞令で城での夕食に招待すると、レクシーは機嫌が悪くなり「カトリーナを採用しなければアーチーを信用する」と謎の条件を出します。アーチーは「地域のために最善を選ぶ」と一貫しており、カトリーナを採用します。領主として当然の判断です。
しかし、カトリーナはアーチーとやり直せないならグレンボーグルにいたくないと辞退してまた去ります。あれほど地域のために尽くしていたのに。カトリーナもレクシーも自分の感情が最優先で少し驚きました笑。
自信をなくし家を出たレクシーをアーチーが追い、家族やスタッフ、牧師もやってきて二人は丘の上で結婚式を挙げます。

舞踏会の準備で慌ただしい中、アーチーはゴリーとダンカンを連れて雄鹿ビッグ・エリック(雄鹿)の狩りに出かけます。そこへゴリーの息子だと名乗るポール(ロイド・オーウェン)が現れます。ポールはゴリーの昔の写真を持っていました(若い頃のゴリーがハンサム笑)。軍にいたポールは、母の死をきっかけにグレンボーグルの父を知り、訪ねてきたといいます。
ゴリーがなかなか真相を語らないため、ポールも仕方なく狩りの一行についていきます。アーチーたちが歩く丘の景色が素晴らしいです。やがてゴリーは、ポールは実はヘクターの息子であることを明かします。
アーチーは突然の異母兄弟にグレンボーグルから出ていくよう告げますが、レクシーは留まっても問題ないと言います。「今晩だけ」とアーチーに部屋を案内され、端の方で舞踏会に参加していたポールは、自分の荷物を枕に会場で一晩明かします。軍隊経験のせいかどこでも眠れるようです笑。翌朝ヘクターの犬ユースレスがポールにじゃれつきます。
受け入れられないアーチーはモリーの心情を案じます。17年前、Lochで兄を亡くしたことを今も引きずるアーチーに、ゴリーは「自分なら、兄弟一人を失ったら、もう一人まで失いたくない」と話します。
その後、ユースレスを救出するためにLochに落ちてしまったポールをアーチーが救出。これで二人の距離は縮まります。そして近くから見守る無邪気なユースレス・・・。
シリーズの最後で、アーチーとレクシーはキルウィリーの計らいで新婚旅行へ出かけます。
アーチーの出発(エピソード5)
城の経営が軌道に乗ると、アーチーは新しいことに挑戦したくなります。キルウィリーからニューヨークのレストランのマネージャー職を打診されて乗り気になりますが、城での爆発事故で断念します。
ポールがグレンボーグルに戻り、クライミングスクールを始めます。Lochのほとりでキャンプ用具を使って朝食を作るポールはどこでも生きていけそうです。ゴリーはそんなポールを気に入っている様子。ゴリーの娘ジェス(レイ・ヘンドリー)がゴリーと同居を始めます。
キルウィリーが長期旅行に出ることになり、妹のドロシーと娘ハーマイオニーが城に滞在し管理を行います。ハーマイオニーはダンカンを気に入り引き抜いてしまいます。貴族のハーマイオニーに釣り合う仕事を求めて、ダンカンはグラスゴーへ就職の面接に。
シティーセンターで階段を落ちるベビーカーを救ったダンカンは拍手を浴び、所用でグラスゴーにいたアーチーと遭遇します。夕方、二人が飲んでいたパブで部屋の予約をすると、そこがゲイバーだったということに気づきます。まったく平気な都会育ちのアーチーに対し、不自然なほどぎこちなくなるダンカン笑。
その夜のスコットランドは嵐。グレンボーグルではポールは考えにふけり、ゴリーは怖がるジェスの肩を抱いています。一方、グラスゴーではかわいいパジャマのダンカンがアーチーを抱いて眠り、翌朝は恋人同士のように顔を寄せ合う笑。
ポールはクライミングスクールの生徒にちょっかいを出していたユアン(マーティン・コンプストン)という青年を雇います。領主の仕事をポールと分担すると宣言したばかりのアーチーは、ユアンの採用を知らされなかったことにいら立ちますが、料理が得意なユアンをシェフとして迎えます。ユアンは、最初はチャラいキャラクターでしたが、やがて家族のような存在になります。グラスゴー訛りのソフトな話し方も魅力です。(彼だけでなくゴリー、ジェス、ダンカンのハイランド訛りも魅力的です)
アーチーの姉リジーがグレンボーグルを訪れ、アーチーに「ネパールの山に登ろう」と誘います。ヘクターは亡くなる前、手紙で「ネパールの山に登りたい」とリジ―に話していたといいます。彼女は父のためにそれを実現したいと語ります。山に登ることでヘクターや、亡きジェイミーのことを理解できるかもしれないし、アーチーのことももっと知りたいといいます。えっと・・・、グレンボーグルには、異母兄弟のポールもいたのに笑。(リジーは全シリーズで三度登場し、その度に女優が異なります)。
アーチーは早々に行く気になり、荷造りも済ませてしまいます。レクシーも同行する予定でしたが、考えを変えます。ポールは「これから一緒に働くのを楽しみにしている」とやる気を見せますが、「あなたは私のために働くのよ」というのがレクシーの返事。彼女は一人で仕事を進め、ポールに仕事を回しません。今度はポールにも意地悪をするのではないかと心配になってしまいました。
レクシーはアーチーの職を引き継ぎ、地元の蒸留所「ラガンモア」の取締役会に参加。しかし、決断を先延ばしして帰宅してしまいます。そのため、長年議員であり蒸留所代表のグレガー氏がポールを直接訪ねます。「あなたはヘクター・マクドナルドの私生児ですか?」と失礼な声をかけますが笑、ポールは「それも一つの言い方ですね」と気にしません。ポールはグレガ―氏に蒸留所を案内され、試飲や書類への署名を行います。何年か前、Dewar’s蒸留所を見学したことがありますが、似た装置があったのを思い出します。

モリーは、最近親しくなったアンドリュー(ポール・フリーマン)と婚約し、彼は城に引っ越してきます。モリーに思いを寄せていたゴリーは落胆しつつ、彼女を心配します。
地所での仕事をすることになったジェスは、アンドリューのコテージをグラスゴー大学時代の友人に1日だけ厚意で貸すことに。しかし、友人たちは居座り、さらに仲間を呼んで派手なパーティーを開いたため、ゴリーとダンカンに追い出されます。
ジェスはコテージに置かれていた、アンドリュー作のかつての彼のフィアンセたちの絵画に違和感を覚え、ゴリーに相談します。それがモリーの知るところとなり、婚約解消に。アンドリューも昔の女性たちの絵画をなぜ大事にとっていたのか疑問です。
馬を買いたいというモリーに、ゴリーは農場へ付き添います。農場を経営する老女は二人を夫婦と勘違いし、ゴリーにプロポーズのエピソードを尋ねます。思い描いていたモリーへのプロポーズを語るゴリーに、モリーは心を動かされます。老女は二人に泊まるよう勧め、翌朝には農場ごと譲りたいと申し出ます。そのオファーに二人は一緒に農場で暮らす光景を想像してしまいます・・・。
やっとハーマイオニーと別れたダンカンは、ジェスと親密な関係に。最初は難色を示すゴリーでしたが、「ダンカンは忠誠心があって正直でいい奴だ」と後押しします。ジェスはユアンと同様、地所の若いメンバーとして魅力的です。さばさばした性格で物おじせず発言する点ではレクシーやカトリーナに似ていますが、意地悪せずに自分中心でない点で好感度が高いです。かっこよくて品があり、歌も上手いのも素敵。ダンカンと恋人になる展開も嬉しいです。
年末にはゴースト研究者が娘を連れて城に滞在します。「いたずらを仕掛けよう」というユアンの提案で、ダンカンは研究者が到着するとインターホン越しに薄気味悪いバトラーのふりをして案内します(何回も繰り返し観てしまいました笑)。が、研究者の娘に失笑され、レクシーに叱られます。雨の夜で城は十分薄気味悪いのに、出迎えたのが不愛想なゴリーでさらに不気味感が増します笑。
ポールは、アーチーが彼に領主の地位を譲る考えていることを知ります。アーチーはもう戻らないことが確実に。
寝室を移動したポールは、その部屋に置かれていたブリキ製トランクを見つけます。モリーと一緒に開けると、先祖の軍服が収められていました。その夜からポールの前に曽祖父バーティの亡霊が現れ、過去を垣間見ます。軍人のバーティは妻と息子(ポールの祖父)を残して戦死。妻役がレクシーで、ゴリーとモリーもその時代に登場。ゴリーの先祖もやはりギリーで、モリーは家庭教師か乳母の役割です。ポールはバーティに、自分も軍人だったこと、これからこの家を守っていくことを約束します。
ポールが領主に(エピソード6~7)
ポールがグレンボーグルの領主となり城の運営を行います。アーチーは登山のあと、ニュージーランドに移住しブドウ園を経営しています。ニュージーランドから戻ったレクシーは、試作品のワインを皆に振る舞いますが、城のメンバーの反応は今ひとつです笑。
レクシーはポールの仕事に口を出したり自分が担当していた仕事を引き受けようとしたり。それにより二人の関係はぎこちなくなったり、逆に急接近したりします。ニュージーランドのアーチーと意見が合わないことがあるようで、レクシーはグレンボーグルに留まることを考え始めます。
地所では相変わらず密漁者に悩まされ、モリーは保護品種の蘭の密漁者を捕まえ、ジェスはゴリーが休暇中に地所の密猟者を自分なりの方法で対処します。
城には、警察に連れられたドナルド(トム・ベイカー)が同居を始めます。彼はヘクターの弟で、過去にモリーを惚れ込んだことがきっかけで長年グレンボーグルを離れていました。元レーサーのドナルドは、運転違反で何度も逮捕され、ポールの監視下に置かれることを条件に釈放されたのです。
ドナルドはヘクター同様に貴族の風格を持ち、グレンボーグルの歴史や伝統に詳しいものの、色々とやらかします。ポールから逃げ出すために見つけたボートは腐って使えず、イライラして板を遠くへ投げると、それがモリーの自転車の車輪に偶然はまり、モリーは大回転してしまいます笑。
モリーがニュージーランドを訪れている間、ドナルドは彼女に手紙を書きます。少年のような無邪気さと品を兼ね備えた彼の手紙が楽しいです。過去にモリーへ書いた手紙もひょんなことから見つかり、二人はお互いの過去の行動を理解し合います。この手紙の出現により、レクシーはニュージーランドへ戻ります。
グレンボーグルの領主位継承権を調査するプロクターがやってきて、ヘクターの弟ドナルドが伝統的な継承順位で優先されると指摘します(プロクターは領主継承の正統性を確認し、叙任式を主催する専門家や権威ある人物)。ドナルドは自分が真の領主だと振る舞い始めます。ダイニングルームの入り口に鎧を置き、王座のような席につくドナルドは、まるで中世時代笑。どちらが領主にふさわしいか試験が課されますが、ドナルドは不正を働き失格となります。
叙任式ではポールがグレンボーグルの領主として就任。ドナルドはモリーに「あなたはいつの時代も領主じゃないわね」と言われ、二人で大笑いします。平和な家族ですね・・・笑。

ゴリーは村に来た新しいダンス教師メグと親しくなります。メグを自宅の夕飯に招待し、手料理でパニックになるゴリーがほほえましいです。メグのために踊る「ソードダンス」も素敵です。
メグのダンス教室の生徒数が減り、ゴリーが村人に声をかけます。信頼されているゴリーのために申込者は増えますが、ほとんどが女性。生徒の一人が「ゴリーに頼まれたら来ないわけにはいかない」と言うのを聞いてメグは自分だけでやっていけると出て行ってしまいます。ゴリーはスコットランド中メグを探し、やっと彼女を忘れようとした頃、メグが戻ってきて妊娠を告白します。
ユアンが運営する海賊ラジオ局は地元コニュニティに支持されますが、当局から摘発されそうになります。一度見つかるものの、曖昧なままラジオは存続。ダンカンがユアンの代わりに番組を担当すると、地元住民からかなり好評で、ダンカンはDJの仕事に興味を持ち、エジンバラへ旅立ちます。
エジンバラから越してきたイゾベルは、祖母の農場を経営しようと奮闘します。彼女の笑顔はどこかキャメロン・ディアスを思わせます。イゾベルの元上司がグレンボーグルに来て、有能だったイゾベルを仕事復帰させようと説得しますが、イゾベルはグレンボーグルを選びます。ポールはイゾベルのことを気にっていたようですが、彼女はシリーズ7で姿を消しドラマ内での説明もありませんでした。イゾベル役の役者の妊娠による降板とのことですが、少し不自然でした。

印象的なエピソードもあります。
グレンボーグルでは、Lochに沈んでいた第二次世界大戦時のドイツ軍戦闘機が発見されます。墜落当時、ドナルドは少年で城に住んでいましたが、その件について話をはぐらかしたり知らないふりをしたりします。村に記者が訪れても、住民は覚えていなかったり、知らなかったり、間違って記憶していたりで明確な情報は得られません。
機体の調査を指揮する陸軍将校アレックスは元ポールの上司で、当時のドイツ軍スパイがまだ村にいるのではないかと推測します。これは素敵なエピソードだと思いましたが、戦闘機は再びLochに沈められてしまいます笑。
ポールとアレックスが荒々しくゴーカートを操縦して山を下る姿も見どころです。領主が運動神経抜群なのは頼りになりますね。
もう一つは、記憶を失った男性がグレンボーグルをさまよい、城で面倒を見るエピソードです。男性が湖畔や森を歩きまわっている足音、草や小枝が折れる音が心地よいです。男性は栄養失調と疲労で一時的に記憶を喪失。名前さえ思い出せないため、モリーたちは「リアム」と名付けます。
リアム役はジェームス・フリートで「The Vicar of Dibley」のユーゴ役や「Four Weddings and a Funeral」のトム役で知られています。髪や髭が伸び放題で服も汚れていますが、話し方に品があるのは隠せません。髪を切り髭を剃るともうジェームス・フリートです笑。彼の振る舞いから周囲はただ者でないと気づきます。クリーニングから戻った彼の服は、仕立てが良く、生地は特定の家柄のツイードで、彼はかつて大邸宅を所有していた貴族だったことが判明します。
シリーズ7
赤ちゃんの息子キャメロンを抱きながら地所の丘を登るゴリー。メグの墓に「キャメロンはきちんと育てる」と語りかけます。可憐で素敵だったメグが亡くなってしまう設定が残念です。
ダンカンは一度グレンボーグルに戻り、エジンバラでの仕事は思うようにいかず、今受けている小さな仕事のオファーをどうするかジェスに打ち明けます。ジェスは「私はここに残るから、仕事を選んで行ってこい」と背中を押します。ジェスはかっこいい。女版ゴリーかも笑。
残念ながら城は再び借金返済に苦しみ閉鎖の勧告を受けます。城には売却のサインが掲げられ、皆がどこに住むか考え始めます。そこへスコットランド出身の実業家が地所を買い取る用意があると現れます。彼は若い頃、無実の罪でグレンボーグルを追われた過去があり、復讐も兼ねて戻ってきたようです。
ポールが臨時で賃借人アイオナ(カースティ・ミッチェル)の家の電気系統を修理すると、後日、プラグから出火して火事になる事態に。そのためアイオナは城で同居することに。羊飼いのアイオナは控えめなカントリーガールで、賃借人たちの会議では鋭い指摘をします。声は可愛らしく話し方は柔らかく、透明感があるのでLochの精霊といっても大げさではないほど。その証拠か、彼女はたびたびLochで水浴びをするといいます。
ポールは軍隊時代の友人の娘エイミーを城で預かることになり、彼女に手を焼きます。その頃、密漁者だったトムが現れ、川沿いの土地を購入する権利があると主張したり、ゴリーとジェスが連れた観光客の一行の邪魔をしたりと、ポールは対応に追われます。しかし、エイミーが撮影した写真がポールの窮地を救います。
また、城の投資に興味を持ったロシア人大富豪ヴィクトルが、妻を連れて数日城に滞在。城のメンバー全員が夫妻に好印象を与えようと奮闘します。モリーは腰を痛めたゴリーの世話に出てしまい、代役でホステスを務めたアイオナは、色々と印象を損ねてしまいます。やっと戻ったモリーのヘルプにより、しまい込まれていた衣装を使って客をもてなすことに成功。ユアンもエイミーも伝統的なシェフとメイドの制服がよく似合います。
ドナルドは執事の衣装を着せられますが笑、品のある紳士なので彼もよく似合っています。ドナルドはアイロンをかけた温かい朝刊をトレイに乗せてヴィクトルに差し出します。そして、ポールはモリーが用意したドレスに着替えたアイオナに心を惹かれます。
ある日、エイミーが撮影したLochの写真に「ネッシー」のような影が映り、ユアンは科学者と報道陣を呼び寄せます(ネッシーはインバネスの「ネス湖(Loch Ness)」に棲むとされる伝説の生物)。そのせいで観光客が訪れるようになり、映像には日本人の団体もチラホラ笑。「すごいねー」「あっちも見てみよう」と話したり、ユアンと記念撮影したりしています。
ジェスはキャメロンの世話で忙しいゴリーの注意を引こうと、地域一のギリーを決める大会に出場。モリーが彼女のトレーニングを手伝いますが、女性の出場は異例なため屈強な男性たちから馬鹿にされます。しかし、本番でジェスは粘り強く戦って優勝してしまいます。ゴリーは呆れますが、結局、娘の才能を認めます。ゴリーの家は代々グレンボーグルの地所でギリーを務めてきたので、ジェスも受け継ぐかもしれません。
ユアンとエイミーは、ドナルドが老人ホームに移ったことを知って連れ戻しに行きます。しかしドナルドは老人ホームで魅力的な女性セイディー(シャーリー・アン・フィールド)と知り合い、そこでの生活を楽しみにし始めます。元ストリッパーだという彼女は華があり、ドナルドに合っています笑。
最終話ではヘクターが幽霊として再登場。キルウィリーが再びモリーにプロポーズすると、ヘクターが背後でごちゃごちゃと文句を言います笑。ヘクター節がまた聞けて嬉しい限りです。
キルウィリーとモリーが二人乗り自転車に乗り、結婚できると思っているキルウィリーが歌う「Daisy Bell」が愛らしいです。原曲は「豪華な結婚式はできないし、馬車を雇う余裕はないけれど、二人乗り自転車で君は愛らしく見える」という内容ですが、城主であるキルウィリーは「豪華な結婚式はできるし、馬車も買う余裕がある」と無邪気に(嫌味なく)歌います。
しかし、モリーはキルウィリーとは良い友人のままでいることを誓い、ゴリーとお互いに深い愛情を持っていることを確認します。
ポールは、元婚約者と結婚式をすることにしたアイオナを送り出す役割を引き受けます。しかし、新郎新婦や牧師、招待客が集まった前で、自分の気持ちを口にしてしまいます。驚いたアイオナでしたが、彼女も自分の気持ちに従いポールを選びます。城ではポールが地所を守り抜いたことと、新たな関係の始まりを祝うパーティが開かれます。ジェスの元にはダンカンも戻ります。
モリーがゴリーとの関係についてヘクターに尋ねると、ヘクターは「モリーが幸せになることを選べばよい」と答えます。ヘクターが再登場したのはとても良いラストだと思いました。

Monarch of the Glum
2002年、イギリスのチャリティ団体「コミックリリーフ」は、BBCのスケッチコメディ番組「French and Saunders」による「Monarch of the Glen」のパロディを放送しました。(コミックリリーフは英国の貧困や社会問題を支援する目的で、ユーモアやパロディを通じて資金を集めています)
パロディのタイトルは「Monarch of the Glum」。本家の「Glen」が「谷」を意味するのに対し「Glum」は「憂鬱、陰気」を意味。オープニングの映像や音楽も本家そっくりです。
出演は、アラスター・マッケンジーがアーチー役、ドーン・フレンチがレクシー役、ジェニファー・ソーンダースがモリー役、名前不明の俳優がダンカン役。レクシー、モリー、ダンカンが特徴をとらえていて面白いです。
パロディでもアーチーは城の財政難に頭を抱えます。本家ではウルフセンターでしたが、こちらではペット動物園のモルモットにエサを与える金もないと嘆きます。ダンカンは「sorry」を繰り返しながら部屋を駆け回り、要領を得ない報告を続けます。
アーチーは「銀行に融資を断られ、屋敷を失い、モルモットも死ぬ」と絶望します。モリーは「毎週そんなふうに悲観するのはやめて」と、本家のドラマで毎週苦悩するアーチーに突っ込みを入れつつ、モリーらしく励まします。
モリーが見つけた城の古い文書に「子孫に毎月モルモットのエサが贈られる」と書かれていることを発見。ちょうどその日が給餌の日。Lochのほとりにエサが届き、城は救われます。
アーチーは最後まで真面目な表情を崩さず、レクシーが何度もキスしようとするのを避け「キスしないで」と冷たく言います。はぐらかされたレクシーの悔しそうな表情も秀逸です笑。
おわりに

シリーズ6以降、「アーチー不在で魅力が減った」「ポールは代わりにならない」「アーチーが去った時点で製作も止めるべきだった」といった声があったようです。一方で、「ポール登場によって新たな動きが加わった」「ヨークシャー出身の若者として異なる視点を示している」といった肯定的な意見も。
初めて観たときは、アーチー不在で別のドラマになったように感じました。でも改めて見返してみると、軍出身のポールがハイランドで奮闘する姿は頼もしく、ロイド・オーウェンは高身長でハンサム、声も渋くて素敵です。また、ジェスやユアンといった若者たちが一緒にグレンボーグルを守っていく姿も魅力的です。
ドラマには毎回のようにウイスキーが登場します。「Glen」は「谷」という意味で、多くのスコッチウイスキーの名前にも使われています。18世紀のスコットランドでは自家製ウイスキーの製造が禁じられていたため、各地で密造が行われました。隠された醸造所が谷に多かったことから、解禁後、それぞれの「Glen」がウイスキー名に使われるようになったそうです。しかも、密造ウイスキーのほうが公式のものより品質が良かったといわれています。さすがスコットランドです。




