渡英してから5~6回引っ越しをしています。当然そのたびにキッチンも変わり、調理台の種類が色々あることを学びました。
日本にいた頃から料理をしており、日本での調理台はガスコンロ(が一般的でした)。イギリスに住み始めた20年(以上)前のフラットでもガスの調理台がありました。それはスタンド・アローンとしても使えるガス台で、上部の調理面にガスバーナーが4つ、その下にはオーブンがついているもの。ガスバーナーは「大・中・中・小」の組み合わせ(イギリスではこれが一般的)で、使いやすくて全く問題なく料理できました。
イギリスの調理台いろいろ
その後、家を購入して家族で引っ越しました。
前の住人は老婦人で、彼女のクッカー(cooker、調理台)は80年代ぐらいからあるようなレトロなものでした(もしかしたら70年代かも笑)。「エレクトリック・コイル・ホブ(electric coil hob)」あるいは「エレクトリック・クッカー・ホブ(electric cooker hob)」などと呼ばれるもので、調理面には電熱コイルが4つあり(これも「大・中・中・小」)、その上に鍋やフライパンを直接置いて調理します。
これも調理台の下はオーブンになっていました。スタンド・アローン式に使うことも可能で、電源を入れたらすぐに使える便利さ。調理面の背後に立ち上がるパネル部分があり、その上に操作するつまみなどがついていました。パネル部分は油はねや汚れからキッチンの壁をを保護する役割(スプラッシュバックのような)をしていたようです。まさに以下の画像のようなタイプでした。

購入前の内見でそのクッカーを見た後、主人は「キッチンにあるものすべてがオールドファッションだ」と(家で)コメントしていました。
今ではこのコイル・ホブはもう購入できないようです。その後、コイルは電熱プレートに置き換わり、パネル部分がついていないもの、または、電熱プレート部分だけのは現在でも購入できます。このタイプを使う人は一定数いるようで、そういえば親戚の家にも以下の画像のようなタイプがありました(左)。これはスタンド・アローンでもキッチンカウンターの間に設置することもできます。

(画像:https://www.amazon.co.uk/より)

(画像:https://www.amazon.co.uk/より)
その家ではキッチンも含め大規模にDIYをしました。キッチンの床を張り替えたあと、クッカーがあった場所には冷蔵庫を置き、キッチンカウンター下の小さい冷蔵庫スペースだったところにビルドインタイプ(build-in)のオーブンを入れ、その上のカウンターをくりぬいてセラミックホブ(ceramic hob)を埋め込みました。そのキッチンにはガスが引かれておらず、ガス管を通すのも手間だったので電気にしました。さらに、その上部にあった収納棚を取り外してキッチンパネルを取り付け、その上に換気扇を設置しました。

セラミックホブはパネル自体が熱くなり、その上に鍋やフライパンを置いて調理します(IHに似ています)。こちらも過熱部分が4つ(4つ以上のタイプもあり)。熱くなるのが早いのですぐに調理できて、掃除もしやすくて使いやすいです。
次はまたガス調理台に
次の引っ越し先ではまたガス調理台に。
日本のような据え置き型のガスコンロではなく、以前のフラットにあったようなスタンド・アローン式でもくなく、カウンターにはめ込まれているタイプです。こちらもバーナーリングが4つ(大・中・中・小)。ガスは鍋やキャセロールでご飯を炊くのにとても便利でした(中サイズのバーナーが炊飯に最も適していた)。
ガスを止められるという出来事もありましたが、それでも便利さが勝っていました。

電熱ホブ、IH、そしてセラミックに
さらに次の引っ越し先では、電熱プレートホブが・・・。内見のときにその調理台を見て「またこれか!まだ使っている人がいるのか」と心の中で叫んだことを覚えています(前述のとおり、今でもアマゾン等で購入できますが笑)。

もともとクッカーは取り換える予定でいたものの、しばらくはそれを使わないと食事の用意ができません。前の家と同じように鍋やキャセロールで炊飯しようとしてもうまくいかず、結局安い炊飯器を購入しました(これが意外に美味しく炊けました)。以前にも使ったことがあった電熱コイルと同様、掃除が面倒なのでさっさと買い替えました。
そのキッチンではガス管が確認できたものの、部屋の反対側にあったため(前のレイアウトがそうだったらしい)、ガスを使わずにまた電気にすることに。子どもが使うのに安全だろうとIHを選びましたが、後々、セラミックの方がよかったかもしれないと感じました。
IHは使える鍋やフライパンが「IH対応」かステンレス製に限られます。「IH対応」と表示されていても、我が家のIHで過熱が始まるかどうか実際に試す必要があること判明・・・。夫婦ともに料理をするので調理器具が多い方だと思いますが、IHに変えたせいで色々と使えなくなり倉庫行きに(IHを選んだ私の責任笑)。キャセロールや土鍋、鉄製のたこ焼き器も使えなくなりました。
そしてIH用のセットを新たに揃えることになるわけですが、セットを購入したらまず使えるかどうか確認して、そうでない場合は返品。返品をスムーズに行えるよう車で買いに行ったり、アマゾンで単品を注文して合わなければ返品したりをしばらく繰り返すことになってしまいました。
また、IHは手が濡れているとスタートボタンが反応しないことがあったり、鍋底がパネルに接していないと加熱が止まったり、また、鍋を振るような調理がしにくかったりという点が気になりました。細かい火加減の調整に慣れるまで時間もかかりました(温度設定と調理器具の相性を見るための)。
普通の鍋を使えるように「IHの上に置くプレート」を購入しようとも思いましたが「IHの表面に傷がつきやすい」というレビューを読んで断念。それでも、スイッチを切るとすぐに冷める、掃除が簡単といった利点もありました。
ほぼ毎日料理をして使い倒した結果、5年で電源が入らなくなりました。そしてセラミックホブを買い直しました笑。
ガス調理台再び
現在の家ではガス調理台を使っています。IHに慣れていた子どもは最初こそ戸惑いましたが、すぐに慣れてしまいました。
炊飯はスマートクッカーを使っているため、キャセロールは煮込み料理に使っています。何年かぶりに鉄製のたこ焼き器でたこ焼きも作りました(タコが手に入りにくいのでエビやイカで代用)。
おわりに
セラミックでもIHでも、調理台と調理器具のクセを理解してしまえば、ほとんどの調理は無難にこなせると思います。
老後はカントリースタイルのキッチンでAGAを使うことが夢です笑。AGAは厚い鋳鉄製のボディが熱を蓄え、一定の温度を長時間保つ仕組みで、料理の際に細かい温度調整をする必要はなく、食材を入れておくだけで長時間一定の熱で調理できます。イギリスの田舎の家や農家のキッチンを象徴する存在としても広く知られています。70年代のシットコム「The Good Life」に影響を受けて、このオーブンにずっと憧れているのです。
