20年ほど前にホームステイのためにイギリスへ来た頃、「炊き立てのご飯が食べたい」といつも思っていました。同じ時期に渡英した日本人たちも、「米が食いたい!」とよくこぼしていたものです。
今では、どこのスーパーにも「Sushi Rice」という米が並んでいます。これだと日本のご飯に近い炊きあがりになりますが、スーパーによって品質に差があるように感じます。
イギリスには多様な料理文化が根づいており、世界各国の食材が比較的容易に手に入ります。イギリス在住の方は、この機会にいろいろ試してみるのもよいと思います。
イギリスのスーパーで買える米の種類
寿司ライス(Sushi Rice)
最近では、大抵のイギリス国内のスーパーで「Sushi Rice」が手に入ります。これらの米は、炊飯器でもキャセロールや鍋でも炊くことができます。
この中でもおすすめは、「M&S」の「Sushi Rice」です。右の「Waitrose」の「Sushi Rice」は粒が少し長めです。なお、イギリスで「Sushi Rice」として販売されている米の多くは、カリフォルニア産またはスペイン産だそうです。
スーパーのブランドによって米の種類が異なるようで、粒がやや長くても、短粒種(short grain)または中粒種(medium grain)のジャポニカ種(Japonica)であれば「Sushi Rice」として販売されているようです。
日本国内の米と比較して、粘り・甘み・風味の面でやや劣るという声もありますが、日本で美味しく品種改良された米を手に入れるのとは訳が違うので多少の違いは仕方ないかと思います。

バスマティライス(Basmati Rice)
バスマティライスはインド亜大陸原産の香り高い長粒米。
炊くとパラパラとほどける食感で、特徴的な香りと風味がありカレーとの相性が抜群です。一般的に言われている「イギリスカレー」やインド・パキスタン系のカレーやビリヤニに最適で、油やスパイスとの相性も良く、料理に使いやすいのが特徴です。
我が家ではスパイスカレーを作るときにはバスマティライスを使っています。
バスマティライスには精白されたもののほかに、外皮(ふすま)を残した玄米タイプの「ブラウンバスマティライス」もあります。健康志向の方に人気があります。
インド料理はもちろん、中東料理やアジア料理などさまざまなレシピに幅広く使われています。バスマティライスは値段が安く、スーパーでも小さな箱入りや大きな袋入り(500g、1kg、5kgなど)で販売されています。アジア食材の棚にたいてい置かれています。
炊飯器でも炊けますが、一般的には鍋で煮てからざるにあげるという簡単な調理法がよく使われています。

パエリアライス(Paella rice)
パエリヤライスは、スペインの伝統料理パエリアに使われる短粒米の一種。イギリスのスーパーにはたいてい置いてあります。
代表的な品種にはボンバ、カラスパラ、アルボリオがあります。これらの米は水分をよく吸収し煮崩れしにくいため、肉や魚介、野菜と一緒に炊いても形が保たれます。
パエリヤライスだけでなく、サフランやスパニッシュチキンのスパイスミックスなども種類がいくつかあるので色々と試してみると楽しいと思います。

リゾットライス(Risotto Rice)
リゾットライスは、イタリアの伝統料理リゾットに使われる短粒種の米。代表的な品種にはアルボリオ、カルナローリ、ビアローネ・ナノがあります。これらの品種は水分をよく吸収しながらも煮崩れしにくく、クリーミーでなめらかな食感を生み出します。
リゾットライスは多くのスーパーやオンラインショップで手に入り、マッシュルーム、シーフード、チキン、野菜、ハーブなど、組み合わせによってさまざまなフレーバーを楽しむことができます。
フレッシュなマッシュルームと合わせるのがおすすめです。

タイ米(ジャスミンライスともち米)
多くのスーパーでは、ジャスミンライス(Jasmin Rice)ともち米(Thai sticky rice)もよく見かけます。
ジャスミンライスは長粒の香り米で、独特の花のような香りとやや甘みのある味わいが特徴です。炊くとふっくらとしてパラッとした食感になり、タイ料理をはじめアジア料理によく使われます。スーパーやオンラインでも手に入りやすく世界中で人気のある米です。風味豊かで食欲をそそる人もいれば、この香りや味が苦手だという人もいます。
我が家ではグリーンカレーを作るときにはジャスミンライスを使います。
もち米は日本のもち米のような食感ですが、こちらも独特の香りがあります。
「Glutinous rice」や「Sticky Rice」と呼ばれ、ジャポニカ種の日本のもち米とは別の系統で、主に東南アジアで使われています。タイに行くと、小さい竹かごに入れて蒸されている場面をよく見かけます。


プディングライス(pudding rice)
プディングライスは、日本の白米のように短粒種で粒が小さく丸みを帯びた米です。
炊くと粘り気があり柔らかい食感が特徴です。白くて均一な見た目をしており、ライスプディングなどのデザート作りに適しています。イギリスのスーパーでは主にお菓子材料のコーナーに置かれています。
「ライスプディング」は、一般的には、牛乳、砂糖、ナツメグなどが入った甘いデザートで、フルーツやレーズン、ジャムなども加わったりします。スーパーのデザートセクションにはライスプディングもあります。私はちょっと苦手です笑。
20年ぐらい前にイギリスにやってきた頃、炊き立てのご飯を食べたくて米を探していましたが、地方だったのでなかなか手に入らず。日本人何人かと夕食会をしたときに、その中の一人が「プディングライスは粒が短いので、日本の米に近いかもしれない」と炊き込みご飯を作りました。味がついていたので食べることができました。ただ、白飯として炊いてみると風味が違いますね。
ロンググレインライス(Long grain rice)
「ホワイトライス(White Rice)」や「USホワイトライス」と表示されていることもあり、この米も安価で小さいものから大きな袋入りがあります。
ロンググレインライスはバスマティやジャスミンのような強い香りはなく、イギリスのカレーやインド・パキスタン系のカレーによく合います。炊飯器で炊くとパラパラとした食感に仕上がるため、炒飯にも向いています。
日本食っぽいレストランで「Steamed rice」として提供されるご飯は、このタイプの米であることが多いようです。イギリスなど海外では短粒のジャポニカ米が手に入りにくかったり、コスト面で難しいことが理由とされています。見た目は日本のご飯に似ていますが、日本で提供されるものとは異なる食感になることがよくあります。
ブラウン(玄米)タイプもあり、イギリスの健康志向の高まりとともにブラウンライス(Brown long grain rice)を選ぶ人が増えています。ホワイトでもブラウンでも、ピラフやカレーピラフ、メキシカンライスにすると美味しく、炊飯器でもオーブンでも調理可能です。

Easy cook rice
「Easy cook rice」も、多くのスーパーで取り扱いがあります。
この米は簡単に調理できるように加工されており、通常よりも短い時間で炊けるようになっています。さまざまなレシピに使えますが、特にバスマティライスの代わりとしてカレーや炒め物に合うのかなと思います。
多くの場合、ロンググレインライスを予備加熱加工(partially pre-cooked、parboiled)しているそうで、私は少し苦手です。粒が割れにくく、べたつきにくく、調理が早いという利点とのことですが、個人的にはゴムのような食感でうま味がなく美味しいとは感じません。米料理をよく知らない人がこの商品を買って「これがライスなんだ」と信じてしまったら少し残念だと思います。
オンラインで買える米
米は重いため、オンラインで購入して配達してもらえると大変便利ですね。
イギリスのアマゾンでも米が販売されていますが、購入前にレビューをよく確認したほうがよいと思います。「Sushi Rice」と表示されている商品でも産地はさまざまです。コシヒカリやササニシキもあるようですが・・・。「Yutaka」という日本食材のブランドでは、寿司ライス、ブラウンライス(玄米)、そして「五分づき」などの商品が揃っています。
寿司レストランを経営している日本人の方が「Haruka」を使っているということだったので、その人の近くに住んでいたときは割引して大きいサイズを譲ってもらっていました。引越して遠くなってしまったので、Amazonで「Haruka」を見つけて購入したことがあります。「Haruka」は他にもJapan Centreやらいすわいんロンドンなどで取り扱われていると思います。
「Natural Natural(https://natural-natural.shop/)」では「Haruka」だけでなく、20キロ(ケータリングサイズ)の「寿司ライス」も販売しており、これは日本の総合商社が取り扱いの米のようです。購入したことがありますが、この米は通常よりも粒が小さい印象があります。圧力鍋で炊くと美味しく仕上がります。
他にも米を扱うオンラインショップはいくつかありますので、商品名などで検索するといいと思います。
おわりに
スーパーで購入できる箱入りの米は、箱を開けると米が直に入っていることが多いです。開ける度にちょっと驚きます笑。