「Peter’s Friends」は1992年のイギリスのコメディドラマ映画。ケネス・ブラナー(アンドリュー役)が監督と製作を担当し、リタ・ラドナー(キャロル役)とマーティン・バーグマンの脚本です。
ケンブリッジ大学の演劇仲間が最後のパフォーマンスを終えてから10年後、ピーターは父親から多額の遺産を相続し、新年の休暇を共に過ごすために仲間たちを招待します。
スティーヴン・フライ、エマ・トンプソン、ケネス・ブラナー、ヒュー・ローリー、トニー・スラッテリーなど、イギリスのベテラン俳優たちの若いころの姿が堪能できます。
特に、ヒュー・ローリー、スティーヴン・フライ、エマ・トンプソン、トニー・スラッテリーは1977~1982年の間にケンブリッジ大学フットライツに同時期に所属。脚本担当のマーティン・バーグマンも同時期ではありませんが、フットライツ所属とのこと。
オープニングタイトルは、彼らの最後のパフォーマンス直後の記念写真。家政婦のベラがシャッターを押しています。6人のスナップ写真とともに、1980年代に流行したティアーズ・フォー・フィアーズ(Tears for Fears)の「Everybody Wants to Rule the World」が流れます。(画像は引用目的で使用しています)
「Peter’s Friends(ピーターズ・フレンズ)」あらすじ

時は1982年。ピーターの実家である屋敷では、上品な招待客たちがディナーを楽しんでいます。
ピーターと友人たちは、ケンブリッジ大学を卒業した記念に招待客の前でパフォーマンスを披露。彼らの最後の演目「アンダーグラウンド・ソング(Orpheus on the Underground)」は、ちょっとミステリアスな感じの「ア・カペラ」でまります。
この「アンダーグラウンド・ソング」は、オッフェンバックの「天国と地獄」のメロディーに合わせ、ロンドンの地下鉄の駅名を歌っていくもの。ヒュー・ローリーのイントロから始まり、スティーブン・フライの「ドアから離れてください!Mind the Gap!」と続きます。女性たちはメイクで見分けるのがちょっと難しいのですが、最後の小柄な女性はイメルダ・スタウントンだとすぐにわかりました笑。彼らはフレンチ・カンカン風にコミカルな衣装を着て網タイツを履き、足を高く上げながらロンドンのアンダーグラウンド(地下鉄)名を次々と挙げていきます。
彼らのパフォーマンスは、上品な招待客たちの前では場違い感が強いです笑。パフォーマンスが終わると揃ってキッチンに退散するメンバーたち。しらけ気味だった招待客について悪態をついたり、メロディーを口ずさんだりと、若者らしく生き生きとしています。
キッチンでその姿を見守るのは家政婦のベラ(フィリダ・ロウ)で、騒ぐ大学生たちを見る少年はベラの息子ポール。メンバーは最後の記念だからと写真撮影をし、シャッターをベラに押してもらいます。
そんな80年代から10年後の1992年に時は移ります。マーガレット・サッチャー、パックマン、ブレイクダンス、レーガン大統領、カルチャー・クラブ、ドナルド・トランプ、エアロビクス、株式市場、フォークランド紛争、ベルリンの壁、エリザベス女王といった時の映像も興味深いです。私にも80年代・90年代の思い出がよみがえってきます笑。
ピーター(スティーブン・フライ)の父が亡くなり、ピーターは屋敷を相続することに。ピーターは屋敷を売却する意向でしたが、その前にあのときのメンバーを集めて新年のパーティを計画します。
10年前のような瞬間は訪れるのか?
そしてあのときのメンバーが新年を過ごすために(2泊3日で)次々と集まってきます。
異なるキャリアに進んだ彼らは大学で芸能活動をしていただけあって、ほとんどの職業がショービジネス(芸能)関係。家政婦のヴェラと成長したポール(アレックス・ロウ)は屋敷で働いており、パーティーの後に屋敷は売却される予定のため、ヴェラは週末が終わったら立ち去ると話しています。ベラ役のフィリダ・ロウは、マギー役のエマ・トンプソンの実の母親で、彼女自身も有名な女優です。二人とも仕草や話し方が似ています。
アンドリュー(ケネス・ブラナー)はハリウッドでのシナリオライター。アメリカのテレビドラマ女優である妻のキャロル(リタ・ラドナー)と一緒にやってきます。短期滞在にもかかわらず、キャロルの荷物は引っ越しするかのような多さで、職業柄もあり自分の容姿をしょっちゅう気にしています。キッチンにやってきて「脂肪抜き」の食事を要求するも、ベラは却下します。夕食時にはスープ皿に水を入れて飲み、料理を一度ナプキンに包んで油を吸わせるというストイックさ。運ばれた料理はどれも美味しそうなのにもったいないです笑。
CMソングライターのロジャー(ヒュー・ローリー)とその妻メアリー(イメルダ・スタウントン)は、しばらく前に双子の一人を亡くており、メアリーの心の傷がいまだに癒えていない状態。ピーター宅に出発する前にはベビーシッターに何度も注意事項を確認し、心配で道中から電話をかけます。ピーターの邸宅に着くとすぐに電話をかけ、ディナーの前にも電話、ディナー中も電話のために席を立つのです。
華やかなコスチュームデザイナーのサラ(アルフォンシア・エマニュエル)は昔から恋愛体質で、連れてきたのは既婚者のブライアン(トニー・スラッテリー)。出会ってからわずか2週間の二人は、恋愛することに四六時中盛り上がっています。ブライアンは些細なことに大笑いし、彼のジョークはあまり面白くない笑。ディナーの席では会話を盛り上げるどころか、触れてはいけない話題にいろいろと触れてしまいます。ブライアンの妻からかかってきた電話で二人が不倫していることを皆が知り、「不倫はよくない」「成就するわけがない」と指摘され、サラは反発します。
出版社に勤める少し変わり者のマギー(エマ・トンプソン)は、10年前のパフォーマンスの後は悲観的で、大学生活が終わることを嘆いているようでした。前の彼氏は亡くなっており、ピーターともっと親密になれないかとアンドリューに相談します。アンドリューはピーターは女性に興味がないのではないかと疑うも、マギーはきっと理想の人が現れていないだけだと推測します。ディナーの後、彼女はクリスマスプレゼントを配り、皆から「私は何も用意してきていない」「もう年末なのに」などと言われ、感情的になって部屋に戻ってしまいます。
言い争いが止まらない
ディナーの後、ロジャーがピアノを弾き、メアリーがフランク・シナトラの「The Way You Look Tonight」を歌う場面がとても素敵です。さらにロジャーは、マウストランペット(口を使ってトランペットの音を模倣するボーカルテクニック)も披露。マギー、ピーター、サラも加わり、再び6人が一緒にパフォーマンスするという素敵な時間になります。
ヒュー・ローリーは6歳からピアノを習っているので熟練です。ピアノだけでなく、歌、ギター、ドラム、ハーモニカ、サックスをこなします。「A Bit of Fry & Laurie」、「Jeeves and Wooster」でもピアノの演奏を披露しています。芸達者ですね。
しかしメアリー宛に電話がかかると、彼女は急いで電話口に。マギーたちは理解を示すものの、ロジャーは皆の前でいら立ちを見せます。電話はベビーシッターからで、メアリーたちの子供に少し熱があるものの医者は問題ないと診察したといいます。夜10時を過ぎているのに、これから帰宅すると言い出すメアリー。ロジャーと部屋に戻りお互いに感情をさらけ出します。イメルダ・スタウントンの感情的に泣き崩れる演技はリアルで引き込まれます。100通り以上の泣き方のバリエーションがあるのでは思うほどの素晴らしさです。
翌朝、本心をさらけ出し合った二人は心が軽くなったのか、ロジャーの即興のジングルソングに合わせてメアリーも踊ります。ギターを弾くヒュー・ローリーと、コミカルに踊るイメルダ・スタウントンは必見です。
一方、ブライアンが「妻が離婚を承諾した」と公表すると、ブライアンに小さな子供がいることを皆に指摘されたからか、自分のものになった途端に興味を失ったのか、サラの熱は冷めてしまいます。
マギーはピーターの部屋に誘惑しに行くものの、ピーターはバイセクシュアルだから受け入れられないと断られてしまいます。気落ちしながらキッチンに降りるマギー。そこには冷蔵庫の食べ物を漁ったキャロルが熱心にエクササイズをしていました。キャロルは泣きながら話すマギーに、もっと魅力的になれるようにメイクオーバーすることを提案します。
そして大晦日
サラとアンドリューはかつて付き合った仲であり、「もし今も付き合っていたらどうなっていただろう」と話した流れでキスしてしまいます。そこにキャロルが入ってきます。キャロルはアメリカから映画出演のオファーの電話を受けており、アンドリューと過ごすためにそのオファーを断るつもりでいたのに、考えを変えて帰国してしまいます。残されたアンドリューは禁酒していたものの、キャロルがいなくなると酒に手を伸ばします。
ブライアンは泣きながら息子に「大好きだ」と電話し、帰宅してしまいます。マギーはピーターのためにメイクオーバーをしたものの、ポールが彼女にときめいてしまいます。
キャロルとブライアンがいなくなり、結局、1982年にパフォーマンスをした6人がリビングで新年を迎えようとしています。
アンドリューが飲酒していることを知り、少し心配した表情のメンバーたち。キャロルやブライアンの話題が出たり、言い争ったり、アンドリューが酔って絡んだりするので、ピーターは「新年まであと2分だから、お互い仲良くしよう」と促します。
ケネス・ブラナーの酔って呂律が回らない姿がリアルです。
「どうして俺たちを呼んだんだ?」と絡むアンドリュー。
ピーターが「どうして皆を招待したか話そうか?」と答えると、アンドリューは「ぜひお願いします、閣下(Your Lordship)」と皮肉ります。
ピーターは6か月前にHIV陽性と診断されたことを明かします。もちろん全員が静まり返ってしまい、その瞬間に新年を迎えることに。やむなく「新年おめでとう」と口にするピーター。
友人たちはそれぞれの事情よりも、ピーターのためにできることがあれば何でもすると誓います。ただし、アンドリューはずっと泣きじゃくっていますが・・・笑。
80~90年代の音楽
BGMとして、80年代に人気だった曲が流れます(一部は70年代後半ごろ)。
オープニングのティアーズ・フォー・フィアーズ(Tears for Fears)「Everybody Wants to Rule the World」をはじめ、ニーナ・シモン(Nina Simone)「My Baby Just Cares for Me」、クイーン(Queen)「You’re My Best Friend」、シンディ・ローパー(Cyndi Lauper)「Girls Just Want to Have Fun」、ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)「Hungry Heart」、ティナ・ターナー(Tina Turner)「What’s Love Got to Do with It」、エリック・クラプトン(Eric Clapton)「Give Me Strength」等が登場します。
おわりに
皆いつでも自分のことで頭がいっぱいですが、それは一生懸命生きているからなのだと思います。
イメルダ・スタウントンの感情を表現する演技がいつでも素晴らしく、ただ感心するばかりです。
冒頭には、ピーターの父親のモートン卿役でリチャード・ブライアーズが出演していました・・・が、ピーターたちがパフォーマンスをしているのを眺めたり、ダイニングを歩いているだけでセリフはありませんでした・・・笑!