「Kate & Leopold」は、2001年公開のアメリカのラブ・コメディ映画。
メグ・ライアン、ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュライバー、ブレッキン・メイヤー、ブラッドリー・ウィットフォードが出演しています。
19世紀の貴族レオポルドが現代ニューヨークにタイムスリップし、広告会社で働くキャリアウーマンのケイトと出会い、時代を超えて絆を深めていきます。90年代のキュートなメグ・ライアンは見ていて飽きませんが、ここでの見どころは、ヒュー・ジャックマン扮するレオポルドの紳士的っぷり。英国貴族の振る舞いと、彼のイギリスアクセントが英語は大きな魅力です。日本語吹き替えでも楽しめますが、彼のイギリスアクセントはぜひ耳にしてほしいところです。
オープニングタイトルでは、1876年の時計台内部の歯車などのメカニズムが映し出され、塔の上の時計の文字盤へと繋がっていきます。この時計は架空のものと思われますが、ブルックリン橋の建設現場や当時のニューヨークの雰囲気を象徴する演出として、「時間」という、このストーリーの核心を強調しているようです。そして、冒頭の台詞「Time.」へと繋がり、ブルックリン橋のマンハッタン側タワーの完成を祝う公開集会が描かれます。(画像は引用目的で使用しています)

「Kate and Leopold(ニューヨークの恋人)」あらすじ
1876年、ニューヨーク市に暮らす第3代オールバニー公爵レオポルド(ヒュー・ジャックマン)は、叔父の援助を受けながら生活しており、伝統を重んじる叔父は彼に裕福なアメリカ人の相続人との結婚を強く勧めていました。
芸術と科学に精通していたレオポルドは、当時まだ珍しかったエレベーターの試作品を自ら設計・製作していましたが、叔父は進歩や発明の価値を理解しません。レオポルドが「結婚とは生涯の愛を誓うものです」と反論しても、叔父は「今夜の舞踏会で結婚相手を見つけなければ援助を止める」と告げます。
マンハッタン塔の完成を記念する集会で、レオポルドが橋のスケッチをしていると、不審な男が小型の奇妙な機械で写真を撮っているのを目にします。その男は21世紀から来たスチュアート(リーヴ・シュライバー)でした。そして、婚約者を選ぶ舞踏会でも、レオポルドはスチュアートが会場に紛れていることに気づきます。
(服装が19世紀風ではないのに、周囲はあまり気にしていないようです笑)
レオポルドの書斎に入り込み設計図を撮影するスチュアート。見つかると馬車で逃げ出し、それを追うレオポルド。レオポルドはきちんとコートを着てから馬にまたがり、雨の中を追いかけます。二人は未完成のブルックリン橋の上部までたどり着き、スチュアートは飛び降ります。
助けようと手を掴むレオポルド。スチュアートは「大丈夫だから放してくれ」と言うものの、「はいそうですか」と手を放すわけもなく、そうこうするうちに二人はタイムポータルへと落ちていきます。
21世紀に来てしまうレオポルド
レオポルドはオーティス・エレベーター(Otis)の発明者であり、スチュアートの家にあるロイヤルファミリーの図鑑にもその情報が記載されています。実際の発明者は別に存在しますが、Otisのエレベーターやエスカレーターは現在200か国以上で使われています。この映画では「レオポルドが発明者」という設定で、彼の執事オーティスの名前がブランド名の由来のようです。
レオポルドが目を覚ますと、そこはさっきまで追いかけていたスチュアートのアパートメント。時代は2001年のある水曜日の午前1時でした。スチュアートはアマチュア物理学者で、偶然見つけた宇宙のポータルを通じて19世紀と21世紀を行き来していたのです。
同じ建物に住む、広告会社勤務のケイト(メグ・ライアン)が夜に帰宅します(ここでメグ・ライアンが登場。もう可愛いです笑)。
エレベータの発明者が2001年に来てしまったからなのか、ケイトが乗っていたエレベータが一瞬止まってしまいます。ケイトの部屋はスチュアートの階下で、二人は元恋人同士。ケイトは今でも未練があるようで、スチュアートが女性を連れ込んだのではと疑います。深夜に電話をかけてくるケイトに、スチュアートは「時間の裂け目を見つけて19世紀の公爵を連れてきた」と説明しますが、ケイトはまったく信じません。
早朝目を覚ましたレオポルドは誘拐されたと思い込み、「お前はジャック・ザ・リッパーではないのか」とスチュアートを問い詰めます笑。スチュアートは「エレベーターを発明できるぐらいだから理解できるはず」と、事情を説明するものの、まだ発明前のようでレオポルドは「エレベーターとは何だ」と聞き返します。
前夜の騒音に加えて「ここはニューヨークだ」「ここがニューヨークなものか」といった大声のやりとりはケイトにも聞こえています。スチュアートはこれまでの研究資料をレオポルドに手渡し「翌週の月曜日にポータルが再び開くから、それまでは外出しないように」と伝えて犬の散歩に出かけてしまいます。しかし奇しくも、スチュアートは「エレベーターで」事故に遭い、入院してしまいます。
室内のあれこれを試してみるレオポルドが可愛いです。流れるトイレに興味を示したり、洗面台でカミソリを見つけ、シェービングフォームの容器に書かれた説明をまじまじと読み、一生懸命にボトルを振ります笑。
彼が身なりを整えたところに、出勤前のケイトが私物を取りにスチュアートの部屋に立ち寄ります。19世紀の紳士レオポルドと、現代の女性ケイトとのやり取りが面白い。そして、スチュアートの犬がホールに放置されているのに気づいたケイトは、レオポルドに散歩へ行くように言います。
舞踏会の服装で散歩に出たレオポルド笑。現代の街並みに驚きながら通りをまじまじと観察しますが、通行人たちも彼を不思議そうに見つめます。彼はブルックリン橋を訪れ、完成から100年以上を経た今も健在であることに歓喜します。そして、アパートメントに戻ると、エレベーターから落ちたスチュアートが救急車で運ばれていくところに出くわすのです。
自らを貴族と信じている役者?
レオポルドは、ケイトと同居する弟チャーリーと親しくなります。俳優志望のチャーリーは、レオポルドの言動は徹底した役作りで、常に役に入り込んでいる本物の俳優だと信じ込みます。
ケイトが入院中のスチュアートを訪ねると、彼は「レオポルドは1876年から来ているから外出させてはいけない」と面倒を見て欲しい、さらに19世紀のニューヨークで撮影したフィルムを現像するよう依頼します。ケイトは、彼はおかしなことを話していると信用せずに立ち去ってしまいます。あのフィルムを現像さえしていれば話が早かったのに・・・。
ケイトの部屋で夕食をすることになったレオポルドは、舞踏会用の服装で現れて礼儀正しく挨拶。ケイトが席を立つと自分もマナーとして立ち上がります。チャーリーは、レオポルドの態度が一糸乱れず貴族的であることに感銘を受けますが、ケイトはいら立ちを覚えます。「レオポルドは1876年から来た公爵だと思い込んでいる変わった人」だと見ているのです。
木曜日の朝、レオポルドはトースターの使い方が分からず、パンを焦がしてしまいます(かわいそうに・・・笑)。そして食べ物が人間の生活の質にいかに影響を与えるかについて語ります。それを聞いたケイトは、勤務先のマーケティング会社にレオポルドを連れて行き、自身が担当する企画のテレビコマーシャルのオーディションを受けさせます。レオポルドが台詞を口にすると、その堂々とした態度と邪念のない語り口が、その場にいた人々を引き込んでしまいます。
本当に過去から来たのかも
オーディションに合格したレオポルドとケイトがタクシーに乗ろうとすると、ケイトのブリーフケースがひったくられてしまいます。ケイトは犯人を追ってセントラルパークへ走り出してしまったので、レオポルドは近くにいた観光用馬車の馬を借りて、馬にまたがり急いで助けに向かいます。
レオポルドは馬を見事に操り、途中でケイトを乗せて犯人を追い詰めてブリーフケースを取り返します。馬もおあつらえ向きのように白馬で笑。返却の際には馬がきちんと馬車に繋がれているかを確認するレオポルド。馬の持ち主も感心し、ケイトは「本当に19世紀からやってきたのかもしれない」と思い始めます。
観光用の馬は乗馬用ではないのでその扱い方が異なる気もしますが、公爵であるレオポルドにはそれなりの心得があるのかもしれません。
夕方、ケイトが上司と食事に出かけたため、レオポルドはチャーリーと飲みに行き、チャーリーの友人たちと合流します。チャーリーは前から気になっているパトリースの関心を引こうと頑張りますが、帰り道でレオポルドは紳士のマナーで女性を扱うことをアドバイスします。
そしてそのまま二人はケイトたちがいるレストランへ向かい同席することに。ケイトの上司は決して悪い人物ではないものの知識をひけらかすところがあるようで、レオポルドは彼の言動に対して次々と論破してしまいます。結果的に上司が恥をかくかたちとなり、気まずい思いで帰宅したケイト。
レオポルドは、ケイトへの謝罪と明日の食事への招待の手紙を書くため、部屋に飾られていた羽を一本拝借し、先を削って即席のペンを作りインクをつけて書き始めます。ここで彼が達筆であることは「お約束」ですが、あんな素敵な手紙ならもらってみたいものです。
翌日の金曜日、チャーリーはパトリースを誘うために花を購入すると、レオポルドは「花にはすべて意味がある」として慎重に選ぶよう助言します。そのおかげで、チャーリーは無事に彼女と二人で食事をすることに。
レオポルドは路上のバイオリニストを雇い、ケイトのためにディナーを準備します。シンプルながら美味しい食事、テーブルクロス、バイオリンの生演奏。ポイントを押さえるだけで、味気なかった屋上が素敵なディナー会場に。食事のあと二人はワルツを踊り、初めてのキスを交わします。
土曜の朝、レオポルドはケイトのために朝食を準備していると、チャーリーはレオポルドに、そろそろ素性を明かしてもいいのではないかと話しかけます。さもないと、ケイトもチャーリーも何か素性を明かしたくない理由があるのでは疑い始めるかもしれません。
レオポルドはすでにトースターを使いこなし、マスカルポーネとイチゴのスライスという、美味しくて体も喜ぶような朝食を出します。感激するケイトに、レオポルドは「今日は何をしましょうか?」というのです。あぁいいですねぇ笑。
二人がマンハッタンを歩いていると、かつてレオポルドが住んでいたハノーバー・スクエア1番地、叔父の邸宅の建物の近くを通ります。中に入り、レオポルドは自分の部屋を見つけます。近くの壁に隠されていた引き出しを開けると、母親の指輪や大切にしていた品々が現れます。叔父には知られたくなかったと語る彼に、ケイトは、レオポルドが本当に19世紀から来たのだと悟ります。
二人の間には深い絆が生まれ、その夜、レオポルドは母親の指輪を取り出してケイトにプロポーズしようとするものの、ケイトは幸せそうに眠ってしまいます。堂々とした紳士である彼も、プロポーズとなると簡単には言葉が出てこないところが真剣さを表しています。
翌日の日曜、レオポルドのCM撮影が行われますが、その商品の味がひどいため彼は苦情を言い、ケイトと口論になります。
そして月曜日、ポータルが再び開くタイミングに合わせてスチュアートが病院を抜け出し、ケイトと仲直りができないままのレオポルドを1876年に帰します・・・。
おわりに
ケイトは、周囲の男性とは異なるレオポルドの紳士的で凛とした態度に惹かれていきます。彼女だけでなく、視聴している女性の一部も彼の紳士っぷりに魅力を感じるはず笑。続編があったらいいのにと思いました。
とはいえ、21世紀で生きてきたケイトは、いきなり19世紀で生活することになるので色々と恋しくならないのだろうかと不思議です。また、彼女が急に姿を消したので、警察が目撃していたことから死亡扱いになるのだろうか、チャーリーやスチュアートはその後のレオポルドとケイトの生活を知ることはないのだろうか、さらに、19世紀での結婚、とくにレオポルドの叔父のような立場の人々にとって、ケイトに家族がいないという点をどう受け止めるのか等々・・・フィクションながらも気になってしまいます。
いずれにしても、キュートなメグ・ライアンと英国紳士としてのヒュー・ジャックマンの魅力を存分に味わえる映画でした。