「ダイレクト・デビット(Direct Debit)」は、日本の銀行引き落としと同じ仕組みで、イギリスの銀行口座を持っていれば簡単に設定できます。定期的な支払いや買い物などでの支払いに応じて利用者の口座から自動的に料金を引き落とす仕組みです。
クレジットカードとは異なり借金をする形ではなく、デビット・カードは銀行が発行しカードで支払うと即座に銀行口座の残高から引き落とされます。
イギリスの「Direct Debit」は支払いの信頼性を高めるために「Direct Debit Guarantee」という制度があり、不正な引き落としに対しては全額返金保証がついています。また、デビットカードとクレジットカードの違いは支払いタイミングだけでなく、信用調査の有無や利息の発生の有無なども含まれます。
ダイレクト・デビットの解約
ダイレクト・デビットを始めるのは簡単ですが、解約するときにはきちんと終了しているか一度確認したほうがよいです。銀行口座を閉鎖してしまえば基本的にその口座に紐づくダイレクト・デビットの支払いは自動的に停止するものですが、そうではなくて単に、
「サブスクを止めたい」
「別のサービスに乗り換えたい」
といったときに「解約の連絡をしたにもかかわらず、なぜかダイレクト・デビットが止まっていなかった」ということがたまにあります。
ダイレクト・デビットを解約するとき
まず、解約したい会社に「契約を終了する」旨を連絡します。オンラインのアカウントから解約できることも多いです。
たいていの場合「今までありがとうございました」というようなメッセージがメールで届きます。でも、「ダイレクト・デビットを止めるのは自分でやってくださいね」ということも。
これは、解約手続きの遅れや不備、解約のタイミングの問題なども考えられますが「ダイレクト・デビットの停止手続きは別途必要」な場合も多いです。去る人はどうでもいいってことでしょうか笑。そのため、自分の銀行口座のオンラインアカウントで明細を確認したり、もしくは、アカウント内からダイレクト・デビットの停止を依頼したりすることをおすすめします。
銀行のオンラインアカウントには「Standing order and Direct Debit(スタンディング・オーダー、ダイレクト・デビット)」という項目があり、そこから該当のダイレクト・デビットの取消し(cancel Direct Debit)ができます。
私だったら、ダイレクト・デビットで支払っていたサービスを解約するときは、解約の連絡をして、その月の支払いが済んだ時点でダイレクト・デビットをキャンセルしてしまいます。
ちなみに、銀行のアカウントでは、使わなくなったダイレクト・デビットを定期的に整理しておくとよいです。昔に登録したダイレクト・デビットが残っていると混乱することもあるし、何かしらの間違いが起こって知らないうちに引き落とされていたら気持ち悪いからです。
ちなみに、スタンディング・オーダーは、引き落としとは逆に、自分から毎月決まった額を誰かに送金する方法です。例えば子どもに生活費を送ったり、別れた配偶者に養育費を支払ったりする場合など。
例えば
「British Gas」や「BT」のような大手なら、そのあたりは問題ないかと思います。
私の親族の例ですが、個人ビジネスを経営している人がいて地元の中小企業のサービスを利用しています。そういった企業では、全部ではありませんが、事務手続きが抜けたりすることがあります。
業者を乗り換えたり、サービスの利用をやめたりしても、翌月に引き落としがちゃっかり続くことも(少し大きい所だと積極的にダイレクト・デビットを解約しないとか)。
こんな場合はもちろんその業者にまず連絡しますが、埒が明かない場合には銀行に連絡すると返金してもらえることがあります。サービスが終了していることを説明し、証拠となるメールや書類を見せると銀行が仮払いのように返金してくれます。その後、銀行が業者から回収してくれます。まあ、これは銀行によって対応が異なるとは思いますが。
イギリスの引き落とし、その昔
20年前に私が渡英したころ、日本ではすでに引き落としが当たり前に行われていました。日本のサービスは早くて正確でとても便利ですよね。
しかしイギリスではそうでもありませんでした。当時の引き落としのシステムは人的ミスやシステムの問題で間違いが多かったことが理由だそうです。もちろん引き落としで支払えるものありましたが、銀行や郵便局に出向いて振込用紙や請求書で支払う、小切手を業者に送るという方法もまだ一般的でした。
渡英してすぐの頃、私は「小切手の処理のほうが面倒なはずなのに、どこをどうやったら引き落としが間違うのか?」と不思議に思っていました。
たとえば、小切手を振り出す人は、小切手に金額を書いてサインして渡したり封筒に入れて切手を貼って投函して・・・といった作業です。受け取る側は小切手の金額や日付を確認し、銀行に持って行って小切手がクリアになるのを数日待ちます。銀行はその小切手を受け取り、サインや残高を確認し、不渡りの場合は振り出した人に連絡して・・・等々、と、多くの人の労力が必要になるわけです。
そんな小切手も、2021年の今ではだんだん使われなくなってきていますが。
おわりに
銀行口座を閉鎖するとダイレクト・デビットも解約になりますが、未処理の支払いがあるとトラブルになることもあるため、口座を閉鎖する前に解約や停止の手続きをきちんと済ませておくことが大切です。