「Is It Legal?(こちらホゲホゲ法律事務所)」は、「ロータス、スペックマン&フェルプス法律事務所」を舞台にしたイギリスのシットコムです。
パートナーとはいえど、実質的に法律事務所を仕切るステラ・フェルプス(イメルダ・スタウントン)と、風変わりで無能な同僚たちの奇行や失敗に満ちた日常を描いています。
イギリスでの放送期間は1995年9月12日から1998年12月9日まででした。ITVでの放送だったことも影響したのか、当時の視聴率は振るわなかったようですが、再放送やDVDを通じて再評価されたようです。
私がこのシットコムに出会ったのは15年以上前のことです。日本のケーブルテレビで、タイトルは「こちらホゲホゲ法律事務所」の「シリーズ3」を観たのが最初でした。当時私は渡英を控えており、イギリス英語に慣れるためにBBCニュースやイギリスのシットコムを放送しているケーブルテレビを契約していました。日本語字幕がついていたため、英語を聞きながら字幕を読むことで十分に楽しめましたし、翻訳を担当した方のユーモアのセンスも素晴らしいと感じました。
シリーズ全話を観たいと思いながらも渡英し、イギリスのシットコムなのにイギリス国内でもビデオ(古い笑)やDVDを見つけることができませんでした。その後、2010年になってようやくDVDがリリースされたことを知りました(詳細は後述)。すべてのエピソードが面白く、今でもお気に入りのシットコムです。
「Is it legal?」の魅力
私が思う「Is It Legal?」の魅力は、法律事務所という堅苦しい設定の中で、個性的なキャラクターたちの掛け合いや人間関係、フィジカルコメディ的な要素が絶妙に絡み合い、笑いを誘うだけでなく、感心させられる台詞も多いところです。
もしBBCで放送されていたら、もっと認知度が高かったのではないかと思います。特に、2004年にBBCが実施した「Britain’s Best Sitcom」の投票に入っていれば、さらに高く評価されていたはずのシットコムです。個人的には、何度も見返したくなるほど大好きな作品です。
イメルダ・スタウントンとパトリック・バーロウというベテラン俳優の表情や細かい動きは、とても秀逸だと感じます。この二人なくして、このシットコムは成り立たなかったと言っても過言ではないと思います。

主要なキャスト
ストーリーは、新米弁護士コリン・ロータス(リチャード・ラムスデン:Richard Lumsden)の初出勤から始まります。彼の職場は「ロータス、スパックマン&フェルプス法律事務所」。引退した父の後を継ぎ、ステラとディックとパートナーシップを組むことになっていました。
(役名:役者名の順で記しています)
コリン・ロータス (Colin Lotus):リチャード・ラムズデン (Richard Lumsden)
コリンは弁護士になったことを誇りに思い、やる気に満ち溢れています。しかし、世間知らずで純真なあまり、しばしば奇妙な行動をとることも。
そんなコリンが最初に担当するのは、父から引き継いだクライアントとのアポイントメントです。 クライアントが書類に署名をするため、コリンは父から譲り受けた自慢のペン立てのセットを机の上を滑らせて差し出します。しかし、そのペン立てがクライアントの前に移動した瞬間、クライアントが書類をのぞき込み、鋭いペン先が頭に突き刺さってしまいます・・・。
大なり小なり、何かのミスをするたび、または誰かがミスをするたび、コリンは「It’s so easy to do(まあ、よくあることなんだけど)」とよく口にします。
シーズン2に入ってもいまだに出勤前にオフィスの窓を見上げて(「ロータス、スパックマン&フェルプス法律事務所」)と窓に書いてある)至福のひとときを味わいます。そして、自然と体がぐるぐると回ってしまったのでしょう。アタッシュケースが手から滑り落ち、オフィス階下のベーカリー「Mr Bappy」の窓ガラスを派手に割ってしまうことも。
刑務所にいるクライアントから「妻が浮気していないか様子を見てほしい」と依頼されたにもかかわらず、訪ねた自分が浮気相手になってしまう始末。秘密にしてほしいと頼まれたことは、余計な一言を無邪気に口にしてしまい漏れてしまうこともしばしば。
それでも、クライアントの犬を引き取って大切な相棒のように世話をしたり、誰に対してもフレンドリーに接したりする姿から、コリンと一緒にいると楽しい気持ちになるだろうなとは思います。
リチャード・ラムズデンは、「First of the Summer Wine」、「Wonderful You」、「All About Me」、「The Catherine Tate Show」、「Sugar Rush」、「Life of Riley」、「Millie Inbetween」、「Sense and Sensibility(1995) 」等に出演しています。
ステラ・フェルプス (Stella Phelps):イメルダ・スタウントン (Imelda Staunton)
ステラは事務所のシニアパートナー。子供の頃から弁護士になることを夢見て、その野心を叶えたプロフェッショナルな女性です。
しかし、パートナーの一人のディックは無能で、自室でシェリーを飲みながらゴルフ雑誌を読んでいることがほとんど。もう一人のパートナーのコリンは新米で頼りにならず、結果としてステラの足を引っ張ることが多いため、彼女がいなければこの法律事務所は成り立たないと言ってもいいぐらいです。
事務所の若い事務員アリソンとはあまり仲が良くなく、アリソンが嫌味や生意気な発言をすると、ステラも遠慮なくそれ以上に言い返します。「背が低い」と他のスタッフによく揶揄されますが、パワフルで可愛いキャラクターだと思います。
イメルダ・スタウントンは、私の大好きなイギリス女優の一人です。彼女はベテラン中のベテランの役者であり、舞台・映画・テレビと幅広く活躍しています。並外れた演技の幅、感情の深さ、圧倒的な存在感を持つ非常に多才な女優で、高く評価されています。
多くの人にとって印象的なのは、ハリー・ポッターシリーズで演じたピンクの服を着た暴君、サディスティックなドローレス・アンブリッジ役でしょう。しかし、彼女はコメディ、ミュージカル、歴史ドラマなど、どんなジャンルでも完全に役に入り込み、見事に演じてしまいます。「Is it legal?(こちらホゲホゲ法律事務所)」のようなシットコムの役も軽々と演じていたと思いますが、細かい動きや表情、声のトーンまで見事です。
イメルダ・スタウントンは、「Peter’s Friends」、「Much Ado About Nothing(から騒ぎ)」、「Sense and Sensibility(いつか晴れた日に)」、「Twelfth Night(十二夜)」、「Shakespeare in Love(恋におちたシェイクスピア)」、「Vera Drake(ヴェラ・ドレイク)」、「Nanny McPhee(ナニー・マクフィー)」、「Freedom Writers(フリーダム・ライターズ)」、「Alice in Wonderland(アリス・イン・ワンダーランド)」、「Pride(パレードへようこそ)」、「Maleficent(マレフィセント)」、「Paddington(パディントン:声)」、「Finding Your Feet(輝ける人生)」、「Downton Abbey(ダウントン・アビー)」、「David Copperfield(デイヴィッド・コパーフィールド)」、「Cranford(クランフォード)」、「The Crown (Queen Elizabeth II)(ザ・クラウン)など、多数に出演しています。
ボブ・バーチ (Bob Birch):パトリック・バーロウ (Patrick Barlow)
オフィスマネージャーのボブは、不動産関係を担当しており、ステラに次いで最も有能な社員です。オフィスで問題が発生すると、彼が調査し、原因を突き止めることが多いです。
既婚者でありながら、階下のパン屋「Mr Bappy」のサラに夢中です。彼女がパンをデリバリーしにオフィスへ入ってくるだけで、ボブは慌てて机の上のものをすべて払いのけたり、不自然に机の上に座ってポーズをとり、落ち着いているふりをします。ボブは小麦粉アレルギー体質にもかかわらず、サラに会いたい一心で毎日パンを買い続けています。デスクの引き出しには同じパンが山のように詰め込まれ、ファイルの中にもぎっしり収納されています。さらには、コートの袖からパンが一つ落ちてきたこともありました。
ボブの仕草は実に豊かで、おどおどしたり、うろたえたり、慌てたりと、コミカルな動きが豊かです。食事中に誰かが後ろからぶつかってフォークや食べ物を落としたり、ケチャップをネクタイにこぼしたり、さらには顔を食べ物に突っ込んでしまったりと、災難に見舞われることも少なくありません。シーズン3ではステラとカップルになりますが、サラよりもステラの方が相性が良いと思います。
ボブを演じるパトリック・バーロウは、演劇と映画の両方で活躍する多才なイギリス人俳優、コメディアン、劇作家です。小さな役でもイギリス風のユーモアやフィジカルコメディの要素を巧みに取り入れられる、表現力豊かな俳優だと思います。最近では、アルフレッド・ヒッチコックの「39階段」の舞台化作品での活躍が特に知られています。
映画では、「Shakespeare in Love(恋におちたシェイクスピア)」、「Notting Hill(ノッティングヒルの恋人)」、「Bridget Jones’s Diary(ブリジット・ジョーンズの日記)」、「Nanny McPhee(ナニー・マクフィー)」、「テレビ番組では」、「Absolutely Fabulous(アブソリュートリー・ファビュラス)」、「Victoria Wood」、「French & Saunders」などに出演しました。
アリソン (Alison):ケイト・イシット (Kate Isitt)
セクシーな事務員であるアリソンは、仕事をする気がまったくありません。彼女の口ぐせは「I’m bored.(退屈だわ)」。
やる気のなさは日常的で、タイピングミスも頻繁に発生します。「bar(法廷)」と入力すべきところを「bra(ブラジャー)」と誤入力したり、事務所に寄贈された多額の債券をシュレッダーにかけてしまったりします。ボブの注意を引くためにごみ箱に火のついたマッチを落とし、燃やしてしまうことも。それでもステラがアリソンを雇い続けているのは、アリソンの彼氏が不動産会社に勤めており、弁護士を必要とする顧客をステラの事務所に紹介してくれるからです。
ボブが夢中になっているサラが彼氏を連れて事務所に来たときには、アリソンはその彼氏を気に入った様子を見せます。「私、あの彼と一晩過ごせるわよ」「そうしたらボブだって嬉しいでしょ」と提案し、本当に一晩を共にしてボブを驚かせます。
お茶の時間にコリンがお茶を配るときには、いつも嬉しそうにマグに書かれた文字を読み上げながら「どのマグがいい?」と聞きますが、アリソンは彼をにらみつけながら無言で受け取るのが定番のしぐさです。
アリソンのファッションは可愛くセクシーでありながら知的さも漂うスタイルが多く、彼女のスタイルの良さも相まって、今見てもおしゃれに感じられます。90年代後半のシットコムであるため、当時はまだスマートフォンが広く普及しておらず、アリソンが雑誌や本(ペーパーバック)を読んでいる姿がよく見られます(現在なら、間違いなくスマホを見ているでしょう)。
ケイト・イシットは、イギリスのテレビ番組「Jonathan Creek」、「Coupling」、「The Tribe」などに出演しています。
ダレン (Darren):マシュー・アシュフォード (Matthew Ashforde)
ダレンはアシスタント(雑用係)であり、あまり仕事ができない設定なのでしょうが、シリーズを通してさまざまな作業をしているように見えます。
事務所にコンピューターが導入された際、唯一その扱いに精通していたのはダレンだけでした。しかし、ステラが自分を解雇しようとしていることを知り、復讐のために全員のコンピューターの画面上に動物の画像を表示させ、鳴き声まで流れるように設定してしまいます。その回のエンドロールの最後には羊の鳴き声が響き渡ります笑。
アリソンがパンツを履いているのか気になっていたところ、「500ポンド払うなら教えるわよ」と言われ、オフィスの文房具を通行人に販売してお金を稼ごうとしたり、コリンがワードローブに閉じ込められている間に彼の財布からこっそり金を抜き取ったりと、抜け目のない一面も見せます。さらに、自分の名前が気に入らず、上品な響きがするからと「フェントン(Fenton)」に改名しようとすることもありました。
マシュー・アシュフォードは、「The Bill」、「Mr. Bean (色々な役)」、「Grass」、「EastEnders」、「Doctors」、「Hetty Feather」などに出演しています。
ディック・スパックマン (Dick Spackman):ジェレミー・クライド (Jeremy Clyde)
シニアパートナーの一人であるディック・パックマンは、仕事にあまり興味がなく、オフィスでシェリーを飲みながらゴルフ観戦をしたり、パターの練習をしたりして過ごすことがほとんどです。
彼自身、自分の主な役割は仕事を取ってくることだと考えており、実際の業務のほとんどはステラやボブがこなしています。ステラが手いっぱいのときに法廷に出向いたこともありましたが、部屋を間違え、さらに次の部屋も間違えるという失態を見せ、その無能ぶりが改めて浮き彫りになりました。
ただし、社交的で顔が広いため、人脈を活かして問題を解決することも。ステラが酒気帯び運転で切符を切られた際には、警察の知人に電話して取り消しを依頼したり、前日のオフィスパーティーで何かが起こったと察すると、すぐにセキュリティカメラの映像を取り寄せたりしました。また、ステラが他の事務所へ移ろうとしていることを知ると、コリンから巧みにその事務所名を聞き出し、すぐに電話をかけて採用をキャンセルさせるなど、策略的な一面もあります。
ディックはシリーズ1~2まで登場し、シリーズ3では「ディックは引退した」と言及されています。
ディック役のジェレミー・クライドの先祖は、初代ウェリントン公爵であり、1815年のワーテルロー戦役でナポレオンを破ったことで有名な軍人です。また、ウェリントンブーツ(長靴)を発明した人物でもあります。
ジェレミー・クライド自身は、長年テレビ俳優として活躍し、上流中産階級や貴族の役を多く演じています。「Batman(バットマン)」、「The Iron Lady(マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙)」、「Downton Abbey(ダウントン・アビー)」、「Midsomer Murders(バーナビー警部)」、「The Dick Van Dyke Show」などに出演しています。
気に入っているエピソード
すべてのエピソードが大好きなのですが、特に気に入っているものがいくつかあります。
シリーズ1-2「Whodunnit?」 (1995年9月19日放送)
飲酒運転で切符を切られたステラ。翌日どんよりした気分でオフィスに届いた郵送物を確認していると、誰かが事務所のコピー機を使ってお尻をコピーしたことを知ります。犯人探しが進む中、ボブは階下の「Mr Bappy」のサラをデートに誘う準備を進めます。一体誰がお尻のコピーをしたのか?
シリーズ1-3「Dick’s House of Horror」 (1995年9月26日放送)
ディックの新居の物件調査を任されたボブは、調査が行われていなかったことを知り、急遽コリンを派遣することに。ダレンは誕生日のプレゼントを待っているものの、誰もが忙しくてそれどころではありません。一方、眠気をどうしても払しょくできないアリソンは、このままでは解雇されると脅され、カフェインを取りすぎてハイな状態に。そして、ディックのハウスウォーミングパーティーがついに開催されますが・・・。
シリーズ1-6「Bob Breaks In」 (1995年10月17日放送)
最近購入した船に夢中のディックは船の話ばかり。ステラはその資金の出所に疑問を抱きます。車中泊をしたボブは、妻に追い出されたことを告白し、重要な書類を取りに家に侵入しようと試みます。アリソンの奴隷状態になっているダレンは、アリソンに振り向いてもらいたくて必死です。そんな二人にコリンはアドバイスを与えます。そして、ステラはディックが顧客のアカウントから金を拝借していたことを突き止めますが・・・
シリーズ2-6「Office Party」 (1996年11月28日)
事務所ではオフィスパーティの準備で全員が忙しく動きます。コリンは囚人から妻の浮気調査を頼まれ、しぶしぶ出向くことになったものの、妻の誘惑に負けて一夜を共に過ごしてしまいます。翌朝、オフィスは散乱しており、全員が二日酔いでひどい状態でした。そしてなぜかみんながよそよそしい。何かがあったと察したディックは、警察からセキュリティカメラのビデオを取り寄せることに。
シリーズ3-5「New Bloke」 (1998年11月25日)
新しい弁護士が事務所に加わることになり、その社交的な性格から事務所の全員を魅了するものの、ステラを苛立たせます。ダレンは自分の名前を上品なものに変えることを決意します。一方、スコットランドの親戚の結婚式に出席する予定のコリンはキルトを購入して職場で披露した後、自分のキルト姿にはしゃぎます。しかしコリンの行動のせいで周囲のメンバーを困惑させることに・・・。
シリーズ3-6「Someone Is Lying」 (1998年12月2日放送)
最近、コリンは日本文化に興味を持ち、職場でその知識を披露します。サラと交際していることを明かし、同僚たちを自身のフラットでの夕食会に招待しました。夕食会では、騒がしくも楽しい時間を過ごしたものの、全員が帰った後、コリンは部屋から100ポンドが紛失していることに気づきます。
やっとリリースされたDVD
「Is It Legal?」のシリーズ1〜2はITVで制作され、シリーズ3はChannel 4で制作されました。テレビ局の利権の関係により、DVDの発売には時間がかかったようです。
「どこでDVDが手に入るのか?」
「どこで動画を見ることができるのか?」
このような質問をインターネット上でよく見かけましたし、制作側も同様の問い合わせを多く受けていたそうです。
私が持っているDVDはイギリスのアマゾンで購入したもので、日本語字幕も英語字幕もついていません。リスニングの勉強も兼ねて購入を考えているのであればDVDの購入をおすすめします。法律用語はところどころに出てくる程度ですが、個人的にはさまざまな言い回しを学ぶことができたと感じています。
日本のアマゾンでも取り扱いがあるようですが、イギリスのアマゾンから購入すると、日本よりも安く手に入ることが多いようです。
(追記:最近では、イギリスアマゾンでもDVDの取り扱いが少なくなってきているようです(2025年3月時点))
おわりに
シリーズ1〜2はITVで制作され、シリーズ3はChannel 4で制作されたためか、オープニングが違います。シリーズ1〜2のオープニングはやや暗く陰謀めいた意味を含んでいそうな印象ですが、シリーズ3ではポップで軽い雰囲気です。


「気に入っているエピソード」のひとつである「シリーズ3-6」では、コリンが日本語を学んでおり、その他のエピソードでも「社用車で三菱の将軍(パジェロのこと)が欲しい」という台詞も登場します。1990年代後半には多くの日本企業がイギリスに進出していたこともあり、日本文化がイギリス人に受け入れられやすい状況だったのかもしれません。当時のロンドンには、日本の小売企業ヤオハンが「ヤオハンプラザ」として、日本の食料品、スーパーマーケット、レストラン、書店、雑貨店などが入ったショッピングセンターを展開していました。
(その後、1997年のアジア金融危機でヤオハンが破産、オーナーが変わり「オリエンタルシティ」に改名。日本だけでなく東南アジア全般を対象にしたモールへと変化しましたが、日本の店舗のいくつかは残りました。2008年に再開発のために閉鎖、2014年に解体。現在は規模の小さいアジア系のフードホールになっています。)
90年代後半のシットコムなのでオフィスにコンピューターが導入されるエピソードでは、デスクトップのモニターやケーブル付きのマウスが登場します。ウィンドウズ3.1、95、98あたりを思い出します。また、公衆電話もイギリスを象徴する赤い電話ボックスではないものの、時代を感じさせます。車のデザインも同様です。
最初に視聴した日本語字幕版はとても楽しめましたが、タイトルが「こちらホゲホゲ法律事務所」だったのは少しもったいないと感じました。英語のタイトル「Is It Legal?」は「これって合法?」というニュアンスで、ステラたちの事務所では弁護士たちの滑稽な日常や、倫理的にグレーな行動が描かれているため「本当に合法なの?」と視聴者に思わせるような効果もあるかと思いましたので。
一方「ホゲホゲ」という表現だと単にコミカルで間の抜けた印象を与えるものの、作品に込められた皮肉や知的なユーモアが伝わりにくいように思います。法律関係や仕事にまつわるユーモアだけでなく、下ネタも登場するこのシットコムには、「Is It Legal?」というタイトルのほうが、すっきりとしていて知的かつ大人向けの印象があり、よりふさわしいと感じました。