「Mind Your Language」は英語学習に向いている?

The Good Life (イギリスのシットコム)のレビュー記事

10年ほど前、イギリス人から英語学習におすすめだと勧められたのをきっかけに「Mind Your Language」を視聴し始めました。DVDを購入して楽しんで観た記憶がありますし、今でも十分面白い作品だと思います。私の好きなシットコムの一つでもあります。

しかし、英語学習に使うには少し注意が必要かな?とも感じました。

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イギリス人視点での楽しさと日本人視点の違い

このシットコムは、1970年代のイギリスで制作・放送され、当然ながら当時のイギリス人視聴者がターゲットです。移民社会の多様性や人種的ステレオタイプ(例:イタリア人の女好き、インドとパキスタンの対立、中国の政治的発言など)も扱われ、それらは当時の社会情勢(移民の増加や人種問題)を反映したユーモアでもあったはずです。

視聴者はブラウン講師の標準的なイギリス英語と、生徒たちの崩れた英語の対比を直感的に理解できました。文法ミスや発音のズレがユーモアであるため、英語を母語とする人にはすぐに面白さが伝わります。しかし、日本人がこのユーモアを理解するには、あらかじめ文法やフレーズを知っていないと難しいでしょう。

また、70年代特有のスラングやコメディスタイルも含まれており、イギリス人にとっては文化的な背景があるからこそ、それらは気軽に楽しめる要素なのです。そのためイギリス人が「英語学習におすすめ」と勧める場合でも、学習者の英語レベルに応じた対策が必要だと思います。私に勧めてくれたイギリス人が私の英語レベルを正確に把握していたとは思えませんし、その方は自身が持つ知識で「面白い」と感じた経験を基にしていたのでしょう。

一部の英語講師は、自分が楽しめたからといって学習者にも良いと単純に結びつけてしまうこともあるようですが、日本人学習者の特徴(文法重視、リスニングの難しさ、文化的遠慮)を十分に考慮していない可能性があります。

ネイティブスピーカーは外国人の英語の誤りを容易に判別できるでしょうが(それは日本人の日本語でも同様ですが)英語を学んでいる日本人にとっては「何が正しい英語か」を見極めること自体が難しかったり時間がかかったりするものです。さらに日本人には70年代イギリスの移民社会やユーモアの文脈が遠く、笑いのポイントが掴みにくい可能性もあります。

そのため「英語が分かれば楽しめる」と感じたとしても、日本人学習者にはその「分かる」ための土台が不足していることもあり、イギリス人視点での「楽しさ」をそのまま日本人に当てはめるのは無理があるということです。

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