My Family (イギリスのシットコム)

To the manor born (イギリスのシットコム)のレビュー記事

「My Family」は、ロンドン西部のチズウィック、架空住所のランカスター通り78番地に暮らす中流家庭「ハーパー家」の日常を描いたイギリスのシットコム(ホームコメディ)です。

放送開始当初の2000年には高視聴率を記録し、その後も家族メンバーの入れ替わりが多少あったものの、BBCの看板コメディとして11年間にわたり放送されました。BBCが2003年から2004年に実施した視聴者投票「Britain’s Best Sitcom」では、「My Family」は第28位にランクインしています。1位には「Only Fools and Horses」、5位には「Fawlty Towers」といった老舗の人気作が並んでおり、当時の「My Family」の人気の高さがうかがえます。

「ハーパー家の子供たちがすっかり大きくなり、旅立ちの時が来た」ということで、シリーズ11をもって終了しました。

「My Family」のユーモアは日本人にも理解しやすい内容が多く、共感を呼ぶ仕草や動作で笑えるシーンが多く見られます。私がこのサイトで紹介している70年代や80年代のシットコムとは異なり、比較的聞きやすいイギリス英語だし、映像も古くないです笑。
 

目次

「My Family」の登場人物

ベン
一家の主であるベン(ロバート・リンゼイ)は歯科医で、少し皮肉屋な一面があり、世の中を斜めに見ているタイプです。それでも、ハーパー家の中では最も常識的な人物と言えるかもしれません。ただし、彼自身も頑固で子どもっぽいところがあり、時には毒舌を吐いたり愚痴をこぼしたりします。

普通の人生を普通に過ごしたいだけなのに、あまりにも個性豊かな家族に振り回されてばかりです。特に3人の子どもたちには巧みに操られることが多く、金銭を無心されると、つい乗せられてしまうこともしばしばです。
ロバート・リンゼイ(Robert Lindsay)は、舞台と映像の両方で活躍、オリヴィエ賞やトニー賞を受賞しています。「Citizen Smith (1977–1980)」、「Hornblower (1998–2003)」、「Nightingales (1990–1993)」、「Maleficent (2014)」、「Fierce Creatures (1997)」、「Absolutely Fabulous」等、多数出演。「The Good Life」にも学生役で登場します(若いです)。

スーザン
ベンの妻・スーザン(ゾイ・ワナメーカー)は、家のことや子どものことにいつでも関わっていたいタイプの女性です。一見、良き妻であり、良き母親のように見えますが、実際は自分の都合の良いように物事を進めるのがとても上手です。末っ子のマイケルに対しては、やや過保護な一面があるかもしれません。

家の中はいつでもきれいな状態なのですが、料理の腕前はあまり期待できないようです。娘のジェイニーの自立や、マイケルの成長を受け入れつつも、スーザンの支配的な性格は最後まであまり変わりません。

ちなみに、スーザン役を演じるゾイ・ワナメーカーは、「ハリー・ポッターと賢者の石」でホグワーツのマダム・フーチ先生を演じたことでも知られています。ホウキの飛行訓練のシーンで登場する、あの先生です。ハリーポッターの他、「Agatha Christie’s Poirot (2005–2013)」、「Mr Selfridge (2013–2016)」、「Britannia (2018)」、「Shadow and Bone (2021–2023)」等、舞台やドラマで活躍しています。

マイケル
3人兄弟の末っ子であるマイケル(ガブリエル・トムソン)は、父・ベンからはいつも「マイキー」と呼ばれています。少しオタク気質の秀才で、冷静かつ論理的。両親や兄姉を言い負かすことも多いですが、家族のピンチを救う頼れる存在でもあります。

シリーズ1では本当にかわいらしい少年でしたが、成長とともに頭の切れるティーンエイジャーへと変化していきます。ベンやスーザンを出し抜くようなしたたかな一面も見せるようになります。シリーズが進むにつれて声も変わり、シリーズ11では立派な大学生になっています。マイケルの成長ぶりを見られるのも、「My Family」の醍醐味のひとつと言えると思います。

ガブリエル・トムソン(Gabriel Thomson)は「The New Adventures of Pinocchio (1999, 声の出演)」、「Enemy at the Gates (2001)」等に出演しています。

ベン、スーザン、マイケルの3人は、シリーズを通して全エピソードに出演している唯一のキャストです。

ニック
長男のニック(クリス・マーシャル)は、シリーズ1〜4に登場します。無職でのんびりした性格、少し抜けているところもありますが、どこか憎めない魅力が彼の持ち味です。常に突飛なアイデアを思いついては新しい仕事に挑戦し、スーパーで働いたり、クリスマスツリーの販売を始めたりと、家族を巻き込んで騒動を起こす存在でした。個人的には彼の奇想天外なところにたまにイラっとしてしまいましたが笑。

クリス・マーシャルは、この強烈なキャラクターのイメージが定着しすぎて他の役に支障をきたすことを懸念してシリーズ4での降板を決めたそうです。彼はその後、「ラブ・アクチュアリー (2003)」やCM出演など、シリアスな役柄も演じています。とはいえ、私にとってクリス・マーシャルといえば「My Familyのニック」の印象が強すぎて、いつまでもそのイメージがまとわりついています笑。

ニックは自立して家を出たという形で物語から去ります。シリーズ5では一度だけゲストとして再登場しますが、ニックの降板はファンから非常に惜しまれました。

クリス・マーシャル(Kris Marshall)は、「The Merchant of Venice (2004、ベニスの商人)」、「Death in Paradise (2014–2017, 2021)」、「Sanditon (2019–2023)」、「Murder City (2004–2006)」等に出演しています。

ジェイニー
長女のジェイニー(ダニエラ・デンビー=アシュ)は、典型的なイギリスのティーンエイジャーです。
正直、「イギリスの10代ってこういう感じ」と思ってしまいました(経験談笑)。きついことも平気で言うし、とにかく自分中心に世界が回っているようなタイプです。 (もちろん、すべてのティーンエイジャーがそうというわけではありませんが)

彼女の関心は、数々のボーイフレンド、新しい服、自分のステータスといったことばかりで、両親を自分の思い通りに動かそうとするしたたかさも持っています。特に、ベンに対しては、お金を巻き上げることしか考えていないようにも見えます。

シリーズの途中で「マンチェスター大学に通う」という設定で一時的に姿を消しますが、ほどなくして「妊娠した」と言って家に戻ってきます。その後はシングルマザーとしてケンゾーを出産し、育児をしながら再びシリーズに登場します。これは「North & South (2004)」へ出演するための一時降板でした。

「North & South」はエリザベス・ギャスケル(Elizabeth Gaskell)の原作で、他にも「クランフォード(Cranford)」、「妻たちと娘たち(Wives and Daughters)」などの作品があります(いずれもおすすめです)。
「North & South (2004)」には、「The Vicar of Dibley」のハリー役で知られるリチャード・アーミテージも出演しています。

ダニエラ・デンビー=アシュ(Daniela Denby-Ashe)は、BBCの長寿ソープオペラ「EastEnders (1995–1996)」、「Waterloo Road (2012–2013)」、「Absolutely Fabulous」等にも出演しています。

ケンゾー
そして、ジェイニーの息子であるケンゾー(テイラー・マーシャル)は、シリーズ9〜11(2008年〜2011年)にレギュラーキャラクターとして登場します。ベンとスーザンにとっては初めての孫であり、特にスーザンからは溺愛される存在です。

ケンゾーはまだ幼いながらも非常に聡明で、マイケルにも劣らないほどの頭の良さを見せます。ときには大人、特にベンを言い負かすような鋭い言葉を発することもありますが、それがとても可愛いです。

テイラー・マーシャル(Tayler Marshall)は、ドラマや映画に出演しています。

アビー
アビー(シボーン・ヘイズ)はベンの従妹であり、シリーズ2から登場します。不器用で天然な一面がある一方で、心優しく愛情深い性格で、そこが彼女の魅力です。シリーズ3では大学に通うため、ハーパー家に居候することになります。

ベンの同業者である歯科医・ロジャーとの恋愛が描かれ、結婚へと発展することに。この結婚を機にアビーの登場は徐々に減っていきますが、何度かゲスト出演しています。

シボーン・ヘイズ(Siobhan Hayes)は、イギリスの長寿ソープオペラ「EastEnders (2008)」、「Little Britain (2003–2007)」、「The Bill (2005)」、「Holby City (2012)」等に出演しています。

ロジャー
ロジャー(キーラン・セルフ)は、ベンの歯科医の師匠の息子として登場します。後に、ベンの歯科医院が入っている建物の階下の診療所を購入し、同業者になります。
おっとりとした性格で少し気弱なところもありますが、アビーに好意を寄せ、晴れて彼女と結婚することになります。

キーラン・セルフ(Keiron Self)は、「Still Open All Hours (2013–2019)」、「High Hopes (2002–2008)」、「Casualty (2008–2012)」、「The Story of Tracy Beaker (2002–2006)」等に出演しています。

心温まるシーンも多い

「My Family」の登場人物だけを見ると、皆それぞれが自分勝手で、まるでバラバラな家族のように思えるかもしれません。
しかし、ハーパー家は基本的にはとても仲の良い家族です。

雷が鳴り響くと、子どもたちはベンとスーザンのベッドにもぐり込んできますし、多くのエピソードで家族が協力し合い問題を解決する姿が描かれています。
なんといってもベンとスーザンの仲が良く、夫婦としてのコンビネーション抜群だし掛け合いも面白いです(見どころのひとつ)。

仲の良い家族なら安心して観ることができますし、ユーモアも分かりやすいです。
ただし、大人向けのジョークが頻繁に出てくるため「お子さんにもおすすめです」とは少し言いづらいかも笑。

個人的に印象に残っているシーンは(ネタバレにならないようにご紹介):

  • ベンとスーザンが「私たちだってドラッグをするわよ」と息巻いて、2人で吸ったものが○○だったり、
  • アビーが歌い始めてどんどんエスカレートしていき、あのニックでさえ引いてしまったり、
    (アビーにはどこかしら「フレンズ」のフィービーを彷彿とさせるところがありますが)
  • ニックがクリスマスツリーの販売を始めようとして、部屋が大変なことになってしまったり、
  • ニックがスーパーのレジで働き始め、「宿題」を持ち帰ったり・・・等々。

視聴方法など

「My Family」は、日本およびイギリスのAmazonで購入することができます。ただし、残念ながら日本語字幕や吹き替え版のDVDは販売されていないようです。
私が持っているDVDは、イギリスのAmazonで購入したものです(英語字幕が表示されます)。もし英語のリスニング学習に活用したいならお勧めです(英語の字幕を活用がお勧めな理由)。

家族をめぐる単語、イギリス流ジョークの言い回し、NHS(国民医療制度)や教育制度といった文化的な話題も登場します。強い方言はなく、聞き取りやすい英語です。

日本国内で購入しようとすると比較的価格が高めな場合が多いため、イギリスのAmazonから直接取り寄せたほうが、結果的にお得になることがあります。
ただし、日本のAmazonアカウントではイギリスのAmazonは利用できませんので、別途イギリス用のアカウントを作成する必要があります。

おわりに

ハーパー家の住まいはいつも広々としていて、とても素敵なお宅です。
リビングやキッチン、ベッドルームなどのインテリアがとてもおしゃれで、小物や家具の配置など、いつでもあちこち細かくチェックしています。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次