My Family (イギリスのシットコム)

「My Family」は、イギリスBBCで放送されたシットコム(2000~2011年)。ロンドン西部チズウィック、架空住所のランカスター通り78番地に暮らす中流家庭「ハーパー家」の日常を描いたホームコメディです。

放送開始当初の2000年は高視聴率を記録し、その後も家族メンバーの入れ替わりがあったものの、BBCの看板コメディとして11年間放送されました。2004年にBBC実施の視聴者投票「Britain’s Best Sitcom」では、「My Family」は第28位にランクインしています。「ハーパー家の子供たちがすっかり大きくなり、旅立ちの時が来た」ということで、シリーズ11をもって終了しました。

「My Family」のユーモアは日本人にも理解しやすい内容、共感を呼ぶ仕草や動作で笑えるシーンが多いと思います。私がこのサイトで紹介している70年代や80年代のシットコムとは異なり、比較的聞きやすいイギリス英語だし、映像も古くないです笑。
 

目次

「My Family」の登場人物

ベン
一家の主であるベン(ロバート・リンゼイ)は歯科医で、少し皮肉屋な一面があり、世の中を斜めに見ているタイプです。それでも、ハーパー家の中では最も常識的な人物と言えるかもしれません。ただし、彼自身も頑固で子どもっぽいところがあり、時には毒舌を吐いたり愚痴をこぼしたりします。

普通の人生を普通に過ごしたいだけなのに、あまりにも個性豊かな家族に毎日振り回されます。特に3人の子どもたちに巧みに操られることが多く、金銭を無心されてつい乗せられてしまいます笑。

ロバート・リンゼイ(Robert Lindsay)は、舞台と映像の両方で活躍、オリヴィエ賞やトニー賞を受賞しているベテランの役者です。「Absolutely Fabulous」「The Good Life」等に登場しています(The Good Lifeは若いです笑)。

スーザン
ベンの妻・スーザン(ゾイ・ワナメーカー)は、家のことや子どものことにいつでも関わっていたいタイプ。一見、良妻賢母に見えますが、実際は自分の都合の良いように物事を進めるのがとても上手。末っ子のマイケルに対しては過保護なところがあります。家の中はいつでもきれいな状態ですが、料理の腕前はあまり期待できないようです。娘のジェイニーの自立やマイケルの成長を受け入れつつも、スーザンの支配的な性格は最後まであまり変わりません。

スーザン役のゾイ・ワナメーカーは、「ハリー・ポッターと賢者の石」でホグワーツのマダム・フーチ先生を演じたことでも知られています。ホウキの飛行訓練のシーンで登場する、あの先生です。

マイケル
3人兄弟の末っ子であるマイケル(ガブリエル・トムソン)は、父・ベンからはいつも「マイキー」と呼ばれています。少しオタク気質の秀才で、冷静かつ論理的。両親や兄姉を言い負かすことも多いですが、家族のピンチを救う頼れる存在でもあります。

シリーズ1では本当にかわいらしい少年でしたが、成長とともに頭の切れるティーンエイジャーへと変化。ベンやスーザンを出し抜くようなしたたかな一面も見せるようになります。シリーズが進むにつれて声も変わり、シリーズ11では立派な大学生に。マイケルの成長ぶりを見られるのも、「My Family」の醍醐味のひとつと言えると思います。

ベン、スーザン、マイケルの3人は、シリーズを通して全エピソードに出演している唯一のキャストです。

ニック
長男のニック(クリス・マーシャル)は、シリーズ1〜4に登場します。無職でのんびりした性格、少し抜けているところもありますが、どこか憎めない魅力が彼の持ち味。常に突飛なアイデアを思いついては新しい仕事に挑戦し、スーパーで働いたり、クリスマスツリーの販売を始めたりと、家族を巻き込んで騒動を起こす存在でした。個人的には彼の奇想天外なところにたまにイラっとしてしまいましたが笑。

クリス・マーシャルは、この強烈なキャラクターのイメージが定着しすぎることを懸念して降板に至ったそうです。その後「ラブ・アクチュアリー (2003)」やCM出演など、シリアスな役柄も演じています。とはいえ、私にとってクリス・マーシャルといえば「My Familyのニック」の印象が強すぎて、いつまでもそのイメージがまとわりついています笑。

シリーズ5で一度だけゲストとして再登場しますが、ニックの降板はファンから非常に惜しまれました。

ジェイニー
長女のジェイニー(ダニエラ・デンビー=アシュ)は、典型的なイギリスのティーンエイジャー。正直、「イギリスの10代ってこういう感じよね」と納得しました(経験談笑)。きついことも平気で言うし、とにかく自分中心に世界が回っています(もちろん、すべてのティーンエイジャーがそうというわけではありません)。

彼女の関心は、数々のボーイフレンド、新しい服、自分のステータスといったことばかりで、両親を自分の思い通りに動かそうとするしたたかさも持っています。特に、ベンに対してはお金を巻き上げることしか考えていないようにも見えます。

シリーズの途中で「マンチェスター大学に通う」という設定で一時的に姿を消しますが、ほどなくして「妊娠した」と家に戻ってきます。その後はシングルマザーとしてケンゾーを出産し、再びシリーズに登場。BBCのピリオドドラマ「North & South (2004)」への主演出演による一時降板でした。

ケンゾー
そして、ジェイニーの息子であるケンゾー(テイラー・マーシャル)は、シリーズ9〜11(2008年〜2011年)にレギュラーキャラクターとして登場します。ベンとスーザンにとっては初めての孫であり、特にスーザンからは溺愛される存在です。

ケンゾーはまだ幼いながらも非常に聡明で、マイケルにも劣らないほどの頭の良さを見せます。ときには大人、特にベンを言い負かすような鋭い言葉を発することもあってそれがとても可愛いです。

アビー
アビー(シボーン・ヘイズ)はベンの従妹。不器用で天然な一面がある一方で、心優しく愛情深い性格で、そこが彼女の魅力です。シリーズ3では大学に通うため、ハーパー家に居候することに。ベンの同業者である歯科医・ロジャーとの恋愛が描かれ、結婚へと発展することに。この結婚を機にアビーの登場は徐々に減っていきますが、何度かゲスト出演しています。

ロジャー
ロジャー(キーラン・セルフ)は、ベンの歯科医の師匠の息子として登場。後に、ベンの歯科医院が入っている建物の階下の診療所を購入し、同業者に。おっとりとした性格で少し気弱なところもありますが、アビーに好意を寄せ、晴れて彼女と結婚することになります。

心温まるシーンも多い

「My Family」の登場人物だけを見ると、皆それぞれが自分勝手で、まるでバラバラな家族のように思えるかもしれません。しかし、ハーパー家は基本的にはとても仲の良い家族です。

雷が鳴り響くと、子どもたちはベンとスーザンのベッドにもぐり込んできますし、多くのエピソードで家族が協力し合い問題を解決する姿が描かれています。なんといってもベンとスーザンの仲が良く、夫婦としてのコンビネーション抜群だし掛け合いも面白いです(見どころのひとつ)。

仲の良い家族なら安心して観ることができるしユーモアも分かりやすいです。ただし大人向けのジョークが頻繁に出てくるため「お子さんにもおすすめです」とは少し言いづらいかも笑。

個人的に印象に残っているシーンは:

  • ベンとスーザンが「私たちだってドラッグをするわよ」と息巻いて、2人で吸ったものが○○だったり、
  • アビーが歌い始めてどんどんエスカレートしていき、あのニックでさえ引いてしまったり(アビーにはどこかしら「フレンズ」のフィービーを彷彿とさせるところがありますが)
  • ニックがクリスマスツリーの販売を始めようとして、部屋が大変なことになってしまったり、
  • ニックがスーパーのレジで働き始めて「宿題」を持ち帰ったり・・・等々。

視聴方法など

「My Family」は日本語字幕や吹き替え版のDVDは販売されていないようです。私が持っているDVDは、イギリスのAmazonで購入したものです(英語字幕が表示されます)。英語のリスニング学習に活用したいならお勧めです(英語の字幕を活用がお勧めな理由)。日本国内で購入しようとすると比較的価格が高めな場合が多いため、イギリスのAmazonから直接取り寄せたほうが、結果的にお得になることがあります。

家族をめぐる単語、イギリス流ジョークの言い回し、NHS(国民医療制度)や教育制度といった文化的な話題も登場します。強い方言はなく、聞き取りやすい英語です。

おわりに

ハーパー家の住まいはいつも広々としていて、とても素敵なお宅です。リビングやキッチン、ベッドルームなどのインテリアがとてもおしゃれなので、観るたびに小物や家具の配置などチェックしています笑。

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