ミスタービーン(Mr. Bean)426号室・生牡蠣・オリンピック開会式

ミスタービーンのレビュー記事

オリジナルエピソードの中で印象に残ったものについてふれてみます。
「ミスタービーン」を演じているローワン・アトキンソンは、2012年ロンドンオリンピックでの開会式で登場したシーンが印象深いです。

目次

オリジナルエピソードから

「426号室」に宿泊するビーン

ミスタービーンはホリデーにでかけ、ホテルに泊まります。

ホテルの正面に愛車を横付けするビーン。
(ホテルから出てきたボーイが「Is it legal?」のダレン役のマシュー・アシュフォードだということ気づきました。彼は、ミスタービーンが遊園地に行くエピソードでりんご飴を持っていた青年の役でも登場しています)

ミスタービーンがチェックインしていると、男性が後からやってきて横に並びます。ミスタービーンはどういうわけか、この男性になぜかライバル心を燃やします。ただのチェックインの書類の記入なのにマウントを取り、カンニングする学生のような動きも見せます笑。

その男性はミスタービーンの隣の部屋でした。悲しいことにミスタービーンの部屋には風呂の施設がついていなかったため、隣の男性の浴室をどうにかして使ってしまいます。そして、食事をしにダイニングまで降りると、またもや隣の部屋の男性を発見。彼よりも多く食べ物をとったり、彼の横の席で大げさにたべたりするることでなぜかマウントを取ろうとします。こんな人が実際にいたら奇妙だし面倒ですね笑。

しかし、ミスタービーンは生ガキに当たってしまいます。
彼がフランスのカンヌに旅行する映画版では。レストランで適当に注文したら生ガキが来てしまい、彼は食べたふりをします。タルタルステーキが出されたエピソードでも食べたふりをします。イギリスの牡蠣は美味しくてロンドンの高級ホテルではよく提供されるとも聞いたことがありますが、ミスタービーンはどうも生ものが苦手なようです。
私も昔に生ガキに当たったことがあり、数日間ひどい状態だったので、ミスタービーンの気持ちは分かります。

そして色々あり、ミスタービーンは裸でキーインしてしまいます。消火器やホテル内のサインを使って股間を隠しますが、前部に「Private」、後ろに「Exit」のサインを使います。移動するうちにそのサインを失くしてしまい、次には、前部に「Out of order」、後ろに「No Entry」を持ってきたのが感心してしまいました。

運転が巧みなミスタービーン

エピソードの中ではたびたびミスタービーンの上手な運転さばきを見ることができます。ミスタービーンを演じるローワン・アトキンソンは大の車好きであり、高級車やクラシックカーをコレクションするだけでなく、レースイベントにも参加するほどの腕前です。

試験会場に向かうミスタービーンは、会場の駐車場で見事なハンドルさばきによって駐車を決めます。別のエピソードでは、駐車場の料金を支払わずにゲートを通り抜けようとする場面もあり、その際に駐車場内をあちこち移動する彼の動きも実に巧みです。

手紙を投函するときには、少し離れた位置からリバースで見事にポストに横付けします。また、目的地を探しながら車のルーフから顔を出しながら立って運転する姿も。さらに映画版では、フランス国内で左ハンドル仕様のミニクーパーを運転しています。

風変わりなキャラクターである一方で、誰かの郵送物から切手をはがすために車のボンネットを開けてラジエーターや冷却システムから出る蒸気を利用したり(普通はあんなに出ない)、自分の車のバッテリーが上がれば救急車に接続して充電するというずる賢い行動も見られます。

また、運転しているわけではないけれど、歯医者に遅れそうになったときには車内で着替えながら運転したり、1月のセールで購入したソファをミニクーパーに積み、そのソファに座って巧みに運転したり、ゴーカートの上に立って操作する場面もあります。ローワン・アトキンソンなら、着替える程度のことならできてしまうのではと思いました。

学校のオープンデー(公開授業)では、すでに駐車されていたミニクーパーを手押しで押し出して自分の車をそこに停めてしまいます。しかし、それが仇となり、ミスタービーンの車は戦車によって憂き目にあいます。

床屋でのチャールズ皇太子

床屋に行くエピソードでは、ミスタービーンはチャールズ皇太子(現・チャールズ3世)の写真を見て、その髪型をオーダーします。ミスタービーンの髪はすでに整っているように見えたので、特に切る必要があったようには思えませんでしたが・・・。

しかし、ひょんなことから(いつもこのパターン笑)、別の客の髪を切ることになってしまいます。ミスタービーンは少年のヘアカットを任されますが、逆モヒカンにしてしまいます。この少年(ジェイミー・イェーツ)は、初期の「ハリー・ポッター」シリーズに登場しています。

最後には、ミスタービーンはチャールズ皇太子の写真を使ってその場から逃走します。

たまにアレンジされるエンドロール

エピソードのエンドロールでは、オープニングと同じハワード・グッドールの讃美歌風のテーマが流れますが、いくつかはそのエピソードに合わせたアレンジがされていて、それを聞くのも楽しいです。

クリスマスのエピソードではクリスマス風、ミスタービーンがロシアに送られてしまうシーンでは、重々しいイントロが徐々に忍び寄ってきてロシア風のアレンジに変わります。また、ゴルフをやっと終えることができたエンドロールではアコースティックギターなアレンジが流れ、愛車のミニクーパーが憂き目にあったシーンでは寂しげなオーケストラ風のアレンジです。

2012年オリンピック開会式

2012年ロンドンオリンピックの開会式では、ローワン・アトキンソンがピアノマンとして登場します。彼はキーボードの同じ音を叩いているだけで、その間にスマホを取り出して写真を撮ったり、くしゃみをしたりしてコミカルな演技を披露しました。

このキャラクターは、厳密には「ミスタービーン」ではなく「デレク」だったそうです。しかし、イギリスでの放送のMCは、ローワン・アトキンソンの出番が終わるときに「ミスタービーンでした」と言っていたぐらいだし、キャラクターがほぼそれでした。ミスタービーンは100か国以上で親しまれているので、世界中の視聴者は「ミスタービーン」として認識していたはずです。オリンピックの開会式・閉会式にはイギリスに貢献した著名人がたくさん出演しましたし、ローワン・アトキンソンと言えば「ミスタービーン」ですよね。おそらく著作権か何かの関係で「ミスタービーン」だと公言しなかったのかもしれません。

ローワン・アトキンソンの映像とともに、1981年の有名な映画「チャリオッツ・オブ・ファイア(Chariots of Fire)」のテーマ曲も演奏されました。

イギリスらしいユーモアで女王の登場

ミスタービーンからは話がそれますが、開会式ではイギリスらしいユーモアと荘厳さを融合させた演出が大きな話題となりました。特に印象的だったのは、ジェームズ・ボンドとエリザベス女王が登場するシーンです。

開会式が始まると、会場のスクリーンにバッキンガム宮殿が映し出され、ダニエル・クレイグが演じるジェームズ・ボンドが登場します。彼が向かう先には、なんと本物のエリザベス2世女王が待っていました。女王は自室でライティングデスクに向かっています。部屋には女王の愛犬たち(コーギー)もいます。

女王はボンドに気がつくと、立ち上がり、宮殿を後にしてヘリコプターに乗り込みます。その後、ボンドと女王がパラシュートでスタジアムに降下するというユーモラスな演出が続きます。

ヘリコプターが飛び立つと「ダムバスターズ(Dam Busters)」のテーマ曲が流れ始めます。1955年の同名映画のテーマ曲であり、イギリスではクラシックFMでもよく流れる楽曲です。勇壮で力強いメロディが特徴で、イギリスらしさを感じることができる音楽の一つでもあります。この曲に合わせて、ロンドンの街並みやアイコン的な建物が映し出されます。

バッキンガム宮殿から始まり、トラファルガー広場、ビッグベン、ウェストミンスター宮殿、ビッグベン前のウィンストン・チャーチルの銅像が登場します。チャーチルはステッキを振り上げて笑顔を見せています。聖ポール大聖堂を過ぎ、タワーブリッジの間をくぐるときには夕暮れになっており(そんなに時間はかからないはず笑)、そしてオリンピック会場に到着します。女王は「007」のテーマ曲をバックにヘリコプターから飛び降ります(もちろんスタントマン)。

モンティ・パイソンも登場

また、閉会式では、1960年代から1970年代初頭にかけて人気を博したコメディ番組「モンティ・パイソン」のメンバーであるエリック・アイドルが登場し、「Always Look on the Bright Side of Life」を披露しました。この楽曲は、映画「モンティ・パイソンのライフ・オブ・ブライアン(1979)」のラストシーンで使用されたもので、イギリスでは広く親しまれています。

おわりに

ミスタービーンは、たびたびチケットや切符を紛失します。
電車を降りるとチケットを紛失していることに気づき、駅員に見つからないようにどうにかして改札を出られるようあれこれと工夫します。また、個室車両に座っているときには、向かいの人の笑い声があまりにも大きかったため耳栓をしていたら、車内で切符をチェックする車掌がやって来て驚き、思わず窓から切符を投げてしまいます。

病院では「76番」のチケットを取ったものの、隣に座る「52番」のチケットを持つ患者が包帯でぐるぐる巻きにされて動けないのをいいことに番号を取り替えてしまいます。しかし、それがあだとなり、結局は並び直す羽目に。映画版では、せっかく手に入れたバスのチケットが、風にあおられて遠くまで飛ばされます。ミスタービーンが何かを手にするたびに「また何かが起こるんだろうなぁ」と思ってしまいます笑。

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